それはまるで魔法のようで

綿柾澄香

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10、純血の魔女

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 化学準備室は別館三号棟の二階にある。本館から少し離れていて、薄暗く、ここにある教室は普段あまり使われることのないものばかりだ。当然、アリサにもなじみはなく、ここに来るのには毎回少し、緊張する。

「失礼しまーす」

 なるべく明るく言って、化学準備室の扉を開く。室内の明かりは点いているのに、少し薄暗く見えるのは、窓はあるというのに、その窓から太陽の光が一切入り込まない構造だからだろうか。

「やあ、わざわざここまで来てもらって悪いね」

 と、マクスウェルは振り返る。白い色が翻る。パーカーに白衣。ポケットは白衣に突っ込んだまま。いつものマクスウェルの格好だ。いつも通り、その顔には軽薄そうな笑みが浮かんでいるものの、それはどこかいつもとは違うものだった。それが、いつもとどう違うのかはアリサにはわからない。

「で、話って何なんですか?」

 そう言いながら、アリサは扉を閉める。

「いやあ、なんか大変なことになってるよね、外」
「ええ、まあそうですね」

「外と連絡が取られへんっていうのは、かなり不便でね」
「そりゃあ、そうでしょうね」

「この現象にはほとほと困ってんねんな」
「まあ、困りますよね」

「それで……」

 と、マクスウェルが顔を上げる。

「……これはいったい何の魔法だ?」
「……は?」

 それは、想定外の言葉だった。

 この現象が魔法である可能性に、マクスウェルが気付いてもおかしくはない。ロンドンであれだけ派手に魔女が暴れたのだ。魔法というものの存在が世界中に明るみになっている以上、この現象を魔法と関連付けてイメージするのは不自然ではない。ただ、彼が放った言葉。それはまるで、アリサが魔女であることを知っているみたいではないか。

「あの、それはどういう……」

「とぼけなくてもいい。キミが魔女だということは知っている。そして、この現象も恐らくは魔法によるものだろう。ならば、キミも何らかの形で関わっていると考えるのが自然だし、妥当だろう」

 マクスウェルは、白衣のポケットに両手を突っ込んだまま、淡々とそう告げる。彼の特徴であった関西弁ではなく、標準語のアクセントで。

「いや、何を言っているのか……」

 あまりに唐突に、絶対に知られていないと思っていた相手から、秘密を明かされて、混乱はより増してくる。なぜ、どうして、いつ、どこで、どうやってマクスウェルはアリサが魔女だと知ったのか。ゴミ箱をひっくり返したみたいに思考は散らかって、うまく話せない。

 そんなアリサを無視したまま、マクスウェルは言葉を続ける。

「ああ、まあそうか。混乱しても仕方がない。そりゃそうだ。何も知らないと思っていた相手が自分のことを知っていたんだからね。しかも最大の秘密を。思考が停止してしまうのも当然だ。だが、今は緊急事態だ。あまりに切迫したこの状況で、キミのことを慮っている余裕はなかったんだ。すまない」

 そう言って、申し訳程度に少しだけ頭を下げる。すまない、だなんて彼が思っている様子は微塵も感じられない。

「そうだね、まずは僕のことをちゃんと教えるべきか」

 と、マクスウェルは真っ直ぐに、射抜くようにアリサの目を見る。

「僕がこの学校に来たのは、研究のため。けれども、それはロボット工学の研究ではなく、魔法の研究のためだ。この学校には純血の魔女、柏木アリサがいる。それが僕がこの学校に来た理由だ」

 その言葉に、アリサは余計に混乱する。彼がこの学校に来たのがそもそも魔女がいたから、といことは、アリサが魔女であるという情報がどこかからか漏れていたということだ。けれども、アリサにはそんな心当たりは微塵もない。春にちょっとした不運で拓光に魔女であることがバレてしまったものの、それ以外には絶対に他人からは魔女だとバレるようなことはなかったはずだ。ならば、唯一アリサを魔女と知る拓光が情報源か。

 いや、そんなはずはない。彼には、秘密をバラせば殺す、と脅しを(本気ではないけれども)かけている。そもそも、マクスウェルは拓光が転校してくるよりも前から、この久島高校に勤めている。それに、マクスウェルはアリサのことを『純血の魔女』と言った。拓光はアリサが魔女だということは知っているものの、純血の魔女だということまでは知らないはずだ。

 マクスウェルがどうしてアリサのことを魔女だと、しかも純血の魔女だと知っていたのか、まったくわからない。ならば、もう直接本人に聞くしかなかった。もうすでに魔女だと知られているのならば、もはや隠す必要性もない。

「ちょっと待って、じゃあ貴方は初めっから私が魔女だって知ってたの? どうして貴方がそんなことを知っていたの?」

「そんなの、僕たち科学者と魔女が繋がっているからに決まっているじゃないか」

 なんて、さも当然であるかのように、とんでもないことをさらりと言ってしまうマクスウェルに、アリサはもうなにがなんだかわからなくなってしまう。

「僕たち科学者は二十年も前に魔法を認知していた。当然だろう。世の中には、既存の科学では到底図りきれないほどの奇跡で満ちている。それを可能とする要因が、必ずどこかにあるはずなんだから。その要因のひとつが、魔法なのだと行き着くのは至極当然の帰結だと思うよ。まあ、きっかけは魔法を行使する際に消費されるするプラナが観測されたからだけれどもね」

「プラナ?」

 初めて聞く言葉に、アリサは首を傾げる。

「そう。魔法を行使する際のエネルギーの源だよ。キミたち魔女にとっての魔力だね。それを僕たち科学者はプラナと呼んでいる。キミたち魔女は、このプラナを取り込み、体内で変換させ、放出することによって魔法を行使しているんだよ。今まで、このプラナという物質が観測されていなかったから、魔女はなにも無いところからなにかを生み出しているように見えていた。けれども、プラナが観測されて、魔法の理屈がわかった。魔法は、もはや科学的に解明されつつあるんだよ。あとは理論さえ確立されれば、魔法は科学の一部となる」

「……で、あなたが私個人のこと知っていた理由は?」

「ああ、そうそう、そうだったね。さっきも言ったように、僕たち科学者と魔女は繋がっている。正確には、魔女同盟と繋がっている。なぜ科学者と魔女同盟が繋がっているのか、理由を説明したほうがいいかい?」

「ええ、ぜひ聞かせてほしいわ」

「なに、単純なことさ。プラナが観測できたということは、魔女の発見も容易になるということだ。プラナの濃度の濃いところに魔女がいるんだからね。そうして初めて科学者が公式に接触した魔女が、魔女同盟に所属している魔女だった。幸い、その魔女は我々に友好的でね。そこで僕たち科学者は魔女というものの在り方を知った。そして、何とかその魔女に協力してもらい、紆余曲折を経て魔女同盟のトップとの会談に至り、僕たち科学者と魔女同盟は手を結ぶことになった」

「ずいぶんとザックリと説明したわね」

「ははは。まあ、このあたりのことは詳しく話すと日が暮れてしまうからね。僕たち科学者は魔法のことを知りたい。そして、科学に魔法を取り込んでいきたい。魔女同盟側も、時代の流れと共に魔法の隠匿いんとくは難しいと考えるようになっていた。ならば、いっそのこと科学の一部として世の中に普及し、魔女が迫害されないような世界を望んだ。お互いに利害が一致したんだよ。ただ、だからといってそれをいきなり公表するのはあまり利口だとはいえない。プラナというものの存在が明らかになったとはいえ、魔法はいまだ未知のものだったからね。世間は、未知のものを受け入れない。いや、受け付けないといったほうが正しいか。だから、魔女同盟と科学者の繋がりは公にされなかった。魔法というものがより解明できてから世間に発表するべきだとされたんだ。魔女同盟の中で、組織が科学者たちと手を結んでいるだなんてことを知っているのは、ごく一部の魔女だけだし、科学者の中でも、魔女同盟と繋がっていることを知るものはごくわずかだ。そして、僕はそのことを知っている、ごくわずかな科学者のうちの一人だ」

「へえ、マックスって偉いんだ」

「いや、別に偉いってわけじゃないよ。たまたま、僕が魔法研究の最先端にいた、というだけさ」

 まず、どんな分野にせよ研究の最先端にいる、ということ自体が凄いし、やっぱり偉いのだと思うけれども、本人が否定していることをあえて重ねて口にすることでもないか、とアリサはマクスウェルに話の続きを促す。

「とにかく、そういうわけで、僕は魔女同盟側の情報を閲覧できる立場にあった。そして、魔女同盟には古今東西のありとあらゆる魔女の情報が網羅されている。その中にあったデータから、研究の対象として非常に興味深い存在として、純血の魔女を見つけた。今現在、この世界にたった一人しか存在していないとされている、純血の魔女というものをね。それがキミだった、というわけさ」

「……なるほどね」

 マクスウェルがアリサのことを知っていた理由はわかった。初めから、アリサの情報は科学者側に筒抜けだったのだ。魔女同盟と科学者側が手を組んでいるのだから、当然のことだ。魔女同盟は、排他的で保守的で、絶対に人間側と交わることはないと思っていた。そう思い込んでいた。だから、まさか科学者と繋がっているだなんてこと、思いもしなかったのだ。

「研究対象として純血の魔女である私を選んだ、ということはわかった。まあ、当然よね。全ての魔女のデータベースを手にしているのなら、その中からもっとも研究に向いていそうな対象に接触する。私だって、きっとそうするわ」

「まあ、そういうことだね。世界に一人しか存在しないものっていうのは、それだけで価値があるものだからね。で、本題に入るけれども……この状況に、キミはいったいどれだけ関与しているのかな?」

 そう言って、マクスウェルは机の上に置いてあったマグカップを手に取り、口をつける。からん、と氷の音がして、なにか冷たいものを飲んでいるのだということだけがわかる。もう十月で少し肌寒くなってきているというのに、わざわざ氷まで入れた冷たい飲み物を飲む理由は、アリサにはわからない。

 関与もなにも、アリサもこの現象にはまったく心当たりがない。けれども、それを言って信じてもらえるのだろうか。明らかに魔法と思われる現象。そして、その現象の起きた街にいる魔女。疑われても仕方のない状況ではある。ただ、わからないものはわからない。わからないものはどうしようもないので、素直にわからないと伝えるべきだろう。

「お生憎さまだけれども、私はこの現象には全く関与していないわ。私だって、こんな状況に目を剥いているし、なにがどうしてこうなったのか、説明してほしいくらいよ」

「……そんなはずはない。こんな常識では計り知れないような状況を創り出してしまう芸当なんて、魔法でしか成し得ないはずだ。それに今朝、莫大な量のプラナが観測されたんだ。この事象は、魔法によるものだと、僕は確信をもって断言できる。そして、この街に魔女はキミ一人しかいない。ならば、キミが何らかの形でかかわっていると考えるのが当然だろう?」

「まあ、そうね。私があなたの立場でも、きっと同じように考えると思う。けれども、今回のこの問題については、本当に私もなにもわからないの。神に誓ってもいい」

「魔女が神に誓うというのもなんだかおかしな話だけれども……本当にキミじゃないのか?」

「ええ、そうよ。そもそも、私程度の魔力じゃこんな大規模な魔法なんて使えないと思う。ま、試したことなんてないけどね。こんな、街一個をまるまる切り取るようなマネ、考えたこともなかったし」

 マクスウェルは片眉を上げて、何かを探るようにアリサを見る。嘘をついていないかどうかを見極めようとしているのかもしれないけれども、ただ観察するだけで相手が嘘をついているかどうかなんて、わからないだろう。左手を口元に当て、小さくぶつぶつと呟いているけれども、その内容まではアリサには聞き取れない。

「でも、これを見てほしい」

 マクスウェルは教室の片隅に置かれた一つの机の前に移動する。そこにはノートパソコンが一台置かれている。それを開いて、アリサに見せる。その画面にはなにか、グラフのようなものが映し出されている。

「これはなに?」

「プラナの数値、波長を図に表したものだ。魔女の使う魔法に変換されるプラナには、それぞれ個々人のパターンがあってね。このパターンで、特定の魔女個人を判別できるくらいには信頼の出来るものだと僕は思っている。そして、これが今朝観測されたプラナのパターンだ」

 そう言って、マクスウェルはパソコンの中のマウスポインタを動かして、グラフを強調する。

「そして、これが普段のキミの魔法のパターン」

 と、マクスウェルはパソコンのキーをいくつか押して、表示されていたグラフにもう一つのグラフを重ねた。そのグラフは、元々表示されていたグラフと、ほぼ重なるようにして表示されている。いつの間にか、自分の魔力のパターンを計測されえていたということに、アリサは少し不快感を覚えたけれども、今はそのことをどうこう言っている状況ではないということくらいはわかる。お仕置きは、すべてが解決してからだ。

「……つまり、この現象を引き起こした魔法は、私の魔法とほぼ同一のものだっていうことを言いたいのね」

「僕はまったく同じだと思っていたけどね」

「でも、グラフは完全には一致していないでしょう?」

 画面上のグラフは、わずかにブレている。同一のものだといわれれば、同一のものだといえるし、違うものだといわれれば、違うものにもみえる。科学に疎いアリサには、そのあたりの判別はつかない。

「確かに、プラナの情報の精度はまだまだ発展途上で、DNA鑑定ほどの信頼度はないかもしれない。けれども、今までに僕が見てきた魔女たちのプラナの反応はそれぞれまったく異なっていて、ここまで似通った形になるものはひとつもなかった。世界中に存在する魔女の数はかなり少ない。確か、数百人だったかな。そんな少ない数の中で、さらに特定の範囲内で似たような反応があるのならば、それは同一のものといっても差し支えはないと思う」

「そんなこと言われても、関係ないものは関係ないもの。知らないわ。DNA鑑定だって一〇〇%には絶対ならないって聞いたことがあるし、一〇〇%でないということは、違うという可能性もゼロではないということでしょう?」

「ああ、そうだね。たまたま、この街にキミ以外の魔女がいて、たまたま、その魔女のプラナの反応がキミのものとそっくりで、たまたま、その魔女が魔法を行使した、という可能性はゼロではない。けれどもそれは、現状況においては限りなく一〇〇%に近いものだ」

 確かに、そんな偶然が起こるとは考えづらい。

 推論に推論を重ね、その中で導き出された、もっとも可能性の高い方を選ぶのは、とても科学者らしい選択だ。けれども、その高い可能性から取り残された、低い可能性の方を見捨てずに信じ抜くのが、奇跡を信じる魔女の在り方だ。

 二人の意見は平行線で、交わるような気配はない。

「で、どうするの? 何度も言うけれども、私は絶対にこんなことに関わっていない。ならば、さっきあなたが言ったように、たまたま、この街に私以外の魔女がいて、たまたま、その魔女のプラナの反応が私のものとそっくりで、たまたま、その魔女が魔法を行使した、っていう奇跡のような偶然があったのだと思うわ」

「科学者は、奇跡よりも軌跡を信じる。僕は、僕が重ねたデータを信頼している」

「私は魔女よ。魔女は、わずかに残された、可能性の中に埋もれた奇跡を信じる」

 互いに互いの目を見たまま、逸らさない。これまでのやり取りで、それぞれが主張を曲げないとわかった以上、会話は続かない。沈黙の中で、時計の秒針が、やや強すぎる自己主張の音を鳴らし続けている。

 なにかを切り出そうとしたのか、マクスウェルが唾をのむ音がやけに大きく聞こえた。けれども、声を出そうとしたその瞬間に、再び異変が起きて、彼は何も言えなかった。

 地面が揺れている。

 小さくて細かな、けれども強い振動。地震のときの特有のかすかな浮遊感にめまいを感じながら、それでもアリサは何とか教室の外に出る。それに続くようにしてマクスウェルも外に出た。
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