心臓

廃墟のアリス

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第十章

「今度こそ」

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もう、リヒトが来なくなってどれだけ経ったんだろう。

私の虚しさは永遠に消えない…。

そして、一つの事実が私の胸を突き刺す。

私がリヒトを殺した…。私と出会わなければ彼は死ななかった。でも…それなら他の子も?他の子も私と出会わなければ死ななかったの…?

だって私は死神だ。人の命をたやすく奪う。

でも、私だって失うの。色んなものを。

今までここに来た子たち全員が私の大切な人。私に生きる意味をくれた大事な人。

でも、皆いなくなるんだ。そしてまた何度もいろんな子が来てやり直す。


今度こそ死なせないように。

でも…、何回も何回も繰り返してもみんな消えていく…。

もう嫌だ…。もう疲れた…。

こんな地獄…。生きていたくない…。

でも…!死ねないん…だよ……。

何をやっても…。私は生き続けなければいけない。

そして明日死ぬかもしれない子と仲良くなるの。この森に来た子は、必ず私と出会ってしまう。

私がどんなに逃げようと…。

永遠に終わらない生き地獄。だから私は皆を羨ましいと思う。

だって簡単に君達は死ねるんだよ…。逃げれるんだよ。私とは違うんだよ…………。

変わらない地獄の中で永遠に生きていく私の気持ちなんて誰にも分からないだろうね。




あ……。また…誰か来た。

またこの子も死んじゃうのかなぁ……。

もう嫌だよ……。疲れた…。

でも私は逃げられない、死ねない地獄で今日も生き続ける。

だから願うんだ…。

今度こそ、君が死なないように


         












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