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No.+2
過去 『朝比奈悠莉』
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これは僕がまだ7歳の時の話。
その日は台風が接近している影響で大雨が降っていた。
当時の僕はまだ『自分らしさ』があったから、雨がたくさん降っている光景を見て、少し浮かれていたんだと思う。
僕は好奇心でそんな雨の中、傘もささずに走った。
激しく降る大粒の雨が身体に当たって痛い。でもそんなの気にならないくらい心地よくて、楽しい。
僕は自由だって感じられた。
「でも…、父さんがいたら怒られるだろうなぁ…」
僕の父は昔から厳しい。きっとこんなびしょ濡れになって家に帰ったら、父さんは激情するだろうな。
でも今日は運良く父さんが出張の日。
父さんは、僕達が人に迷惑をかける事に関して最も厳しい。
確かにそれは素晴らしいの思うし、尊敬すべきところだと思うよ。
でもね…、人に『迷惑をかける』と僕達を『縛る』っていうのは違うんじゃないかな。
僕達は、いつだって父さんの言う事を訊いてきた。
でもそれは、「この時間には何があっても帰ってこい」とか、「この時間からこの時間は勉強をしろ」
たとえどんな理由があろうと、その時間以内に帰ってこなければ、一時間以上家の蔵に閉じ込められる。
一度だけ、兄さんが弁明をしようとしたが、無駄だった。聞き入れてはくれなかった。
でもまだ、これはマシな方。
例えば、「学校の人物とは必要以上に交流を持つな」「私の教えた人だけと交流を持て」「勉強を12時間せずに遊ぶなど絶対に許さない」
そして最もひどかったのは、「お前達は私の駒だ。だから私の言う事だけ訊いていればいい」
これを聞いた一番上の兄、悠人と二番目の姉、葵は家を出ていった。
僕もこの言葉を父さんから聞いた時、あぁ…僕達に自由なんて無いんだ。とそう思った。
だから今、僕は高揚している。
そんな自由の無い中、こんな気分になれたから。
その日の景色は、生まれた中で一番綺麗な景色だった。
その日は台風が接近している影響で大雨が降っていた。
当時の僕はまだ『自分らしさ』があったから、雨がたくさん降っている光景を見て、少し浮かれていたんだと思う。
僕は好奇心でそんな雨の中、傘もささずに走った。
激しく降る大粒の雨が身体に当たって痛い。でもそんなの気にならないくらい心地よくて、楽しい。
僕は自由だって感じられた。
「でも…、父さんがいたら怒られるだろうなぁ…」
僕の父は昔から厳しい。きっとこんなびしょ濡れになって家に帰ったら、父さんは激情するだろうな。
でも今日は運良く父さんが出張の日。
父さんは、僕達が人に迷惑をかける事に関して最も厳しい。
確かにそれは素晴らしいの思うし、尊敬すべきところだと思うよ。
でもね…、人に『迷惑をかける』と僕達を『縛る』っていうのは違うんじゃないかな。
僕達は、いつだって父さんの言う事を訊いてきた。
でもそれは、「この時間には何があっても帰ってこい」とか、「この時間からこの時間は勉強をしろ」
たとえどんな理由があろうと、その時間以内に帰ってこなければ、一時間以上家の蔵に閉じ込められる。
一度だけ、兄さんが弁明をしようとしたが、無駄だった。聞き入れてはくれなかった。
でもまだ、これはマシな方。
例えば、「学校の人物とは必要以上に交流を持つな」「私の教えた人だけと交流を持て」「勉強を12時間せずに遊ぶなど絶対に許さない」
そして最もひどかったのは、「お前達は私の駒だ。だから私の言う事だけ訊いていればいい」
これを聞いた一番上の兄、悠人と二番目の姉、葵は家を出ていった。
僕もこの言葉を父さんから聞いた時、あぁ…僕達に自由なんて無いんだ。とそう思った。
だから今、僕は高揚している。
そんな自由の無い中、こんな気分になれたから。
その日の景色は、生まれた中で一番綺麗な景色だった。
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