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第一章 運命の歯車は動き出す
第6話「罠」
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「どういうことだ…?」
「…………どうせみんな死ぬの。それにもし、あの仮面野郎が言っている事が本当だとしたら…、きっと今から始まるのは最低最悪な地獄のゲーム。相当な思いが無い限り、あの人達が生き残るなんて無理なの。」
その真剣な眼差しに、春叶は反論出来なかった。
彼女は本当に彼らのことを思って言っているのだから尚更。
「でも…!」
春叶はそのまま見殺しにする事なんてしたくなかった。
でも、そんな春叶の思いとは裏腹に、リリィの言葉は続く。
「だから無駄なのっ…!そんなんじゃ……」
だが、突如そんな彼女の声が途切れ、リリィはその場に倒れ込んだ。
「う……あ…」
そう発した彼女は小刻みに震え、どこかを見ている。
その視線の先にあるものを…、春叶は見た。いや…見てしまった。
そしてどうしてリリィがこうなったのか、一瞬で分かった。
その光景と共に聞こえたのは…、逃げた人達の断末魔。
「ぎゃあああぁぁ…!!!」
「やめて…、やめてよ…!!だ…だれか…たす…け…」
「痛い痛い痛い痛い…!!!イタイ…イタ…い…」
「し、死にたくない…!死にたくない…助けて…!」
あたりに飛び散る血…、無造作に捨て置かれた死体…、そして泣き叫びながら必死に助けを求める彼ら。
おそらく常人なら、人生に一度も見ることのないであろうこの光景。
先程まで当たり前のように動いていた人が無様に殺され、次々に倒れていく。
恐怖で胸が締め付けられる…。
「(あぁ…。もう気が狂いそうだ。目の前にいるのに、助けたいのに…、体が震えて動かない…)」
でも…、この光景を見た事にショックを受けている自分が何よりも自分勝手で最悪だ…、とそう春叶は思った。
「な、なによ…!何なのよ…あれ…!」
「は…、初音ちゃん…。だ…大丈夫だよ…。泣か…ないで…おち…ついて…」
だが、周りの人達も例外ではなかった。
「ゆ…唯華も泣いてるじゃない…!」
「大丈夫…大丈夫だか…ら…!」
そう言って泣きながら寄り添う初音と唯華。
春叶も、もう泣きそうだった。1秒がとてつもなく長く感じる。
早く終わってくれ…、と願いながら待ち続けた。
…………やっと…、断末魔が止んだ。彼らの体感時間は何時間も経っているが、おそらくそんなに時間は経っていないだろう。
「はぁ………」
気を抜いた瞬間一気に体の力が抜け、春叶はその場に力なく倒れ込んだ。
そして考える。これから自分達は地獄のような…、いや…地獄よりも苦しい日々を過ごす事になるだろうと…。
体中に緊張が走る。
「(俺は絶対生き残らなければならないんだ…!)」
その理由がある限り…。絶対に。春叶は生き残らなければならない。
「…………どうせみんな死ぬの。それにもし、あの仮面野郎が言っている事が本当だとしたら…、きっと今から始まるのは最低最悪な地獄のゲーム。相当な思いが無い限り、あの人達が生き残るなんて無理なの。」
その真剣な眼差しに、春叶は反論出来なかった。
彼女は本当に彼らのことを思って言っているのだから尚更。
「でも…!」
春叶はそのまま見殺しにする事なんてしたくなかった。
でも、そんな春叶の思いとは裏腹に、リリィの言葉は続く。
「だから無駄なのっ…!そんなんじゃ……」
だが、突如そんな彼女の声が途切れ、リリィはその場に倒れ込んだ。
「う……あ…」
そう発した彼女は小刻みに震え、どこかを見ている。
その視線の先にあるものを…、春叶は見た。いや…見てしまった。
そしてどうしてリリィがこうなったのか、一瞬で分かった。
その光景と共に聞こえたのは…、逃げた人達の断末魔。
「ぎゃあああぁぁ…!!!」
「やめて…、やめてよ…!!だ…だれか…たす…け…」
「痛い痛い痛い痛い…!!!イタイ…イタ…い…」
「し、死にたくない…!死にたくない…助けて…!」
あたりに飛び散る血…、無造作に捨て置かれた死体…、そして泣き叫びながら必死に助けを求める彼ら。
おそらく常人なら、人生に一度も見ることのないであろうこの光景。
先程まで当たり前のように動いていた人が無様に殺され、次々に倒れていく。
恐怖で胸が締め付けられる…。
「(あぁ…。もう気が狂いそうだ。目の前にいるのに、助けたいのに…、体が震えて動かない…)」
でも…、この光景を見た事にショックを受けている自分が何よりも自分勝手で最悪だ…、とそう春叶は思った。
「な、なによ…!何なのよ…あれ…!」
「は…、初音ちゃん…。だ…大丈夫だよ…。泣か…ないで…おち…ついて…」
だが、周りの人達も例外ではなかった。
「ゆ…唯華も泣いてるじゃない…!」
「大丈夫…大丈夫だか…ら…!」
そう言って泣きながら寄り添う初音と唯華。
春叶も、もう泣きそうだった。1秒がとてつもなく長く感じる。
早く終わってくれ…、と願いながら待ち続けた。
…………やっと…、断末魔が止んだ。彼らの体感時間は何時間も経っているが、おそらくそんなに時間は経っていないだろう。
「はぁ………」
気を抜いた瞬間一気に体の力が抜け、春叶はその場に力なく倒れ込んだ。
そして考える。これから自分達は地獄のような…、いや…地獄よりも苦しい日々を過ごす事になるだろうと…。
体中に緊張が走る。
「(俺は絶対生き残らなければならないんだ…!)」
その理由がある限り…。絶対に。春叶は生き残らなければならない。
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