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ついておいで

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「お菓子、あげるよ」

学校の帰り道、一人で帰っていると、
知らないおじさんが、声をかけてきた。

私は、

「ううん。」

と、首を横に振った。

おじさんの車には、もう2人、おじさんの友達が乗ってた。
2人とも、私を睨むように見てた。
目が合うと、怖かった。


「お母さんにダメって言われてるから、いかないよ。」

私は、早足で歩いた。


「追いかけろ」

おじさん達が、後ろを着いてくる。


「好きな物、買ってあげるよ」

私は立ち止まった。

「なんでも?」

「もちろん。おもちゃでも、絵本でも、好きな物なんでも。」

ちょっと、揺らいだ。

「でも、やっぱり行かないよ。」


私は、また早足で歩いた。

おじさん達は、まだ着いてくる。


「お母さんとも、友達だよ」

おじさんは、お母さんと友達らしい。

「ほんとう?」

「本当だよ。だから、家まで送って行ってあげるよ」

おじさんは、ニコニコ笑顔で優しそう。
本当にお母さんの友達なのかも。

「私の家知ってるの?」

「もちろんだよ。お母さんの友達だからね」


それなら、大丈夫かも。
お母さんの友達なら。家を知っているなら。


「さあ、車に乗って。家まで送るよ」


私は、おじさん達の車に乗った。

車の中で、お菓子をくれた。ジュースもくれた。
楽しい話を沢山してくれた。



「あれ?おじさん、私の家こっちじゃないよ」


私がおじさんに言っても、おじさんは無視した。


「おじさん?」

「大丈夫だよ。ちょっと寄り道をするだけだからね」


そっか。もしかして、おもちゃを買ってくれるのかな?
わくわく。わくわく。



でも、それは違った。
車は、人のいない道を通って、どんどん山の中へ入っていく。
もうすぐ、日が暮れてしまう。


「おじさん、私の家、こっちじゃないよ?」

もう一度教えてあげた。
もしかして、迷子かもしれないから。


「大丈夫。大丈夫。」

おじさんは、そう言うだけだった。


山道を走っていると、おじさん達は誰も笑ってなかった。
さっきまで、楽しくおしゃべりしてたのに。
楽しくお菓子パーティーをしてたのに。


「おじさん...?」


おじさんは、返事をしてくれなくなった。
ハンドルを握って、前だけ見てた。



「さあ、着いたよ。」

しばらくすると、知らない場所に着いた。


「おじさん、ここはどこ?私の家は?」

「もうお家には帰さないよ。大人しく着いてきてくれてありがとう」

「お母さんは?お父さんは?」


だんだん、怖くなってきた。

「もう会えないよ。君は今日からここで暮らすんだ」

「嫌だ!嫌だ!おうちに帰してよ!」


私は、たくさん泣いた。


「だめだ。ここで暮らすんだ」


おじさん達は、怒っていた。
逃げようと走ったけれど、すぐに捕まっちゃった。


「やだやだ!お母さん!お父さん!助けて!」


私がどんなに暴れても、おじさん達は離してくれなかった。


「うるさい!」


おじさんは、大きな声で怒った。
それが怖くて、私は泣き止んだ。


「さあ、中へ連れていけ」


私はいっぱい暴れた。
たくさん叫んだ。

でも、誰も助けに来てくれなかった。



おじさん達は、女の子を家の中へ連れていき、閉じ込めた。
女の子が出てくることは二度となかった。
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