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置いてけぼり
星が落ちた日
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「ん?なんだこれは?忘れ物かな?」
夜が更け、静まり返った駅で、駅員さんがベンチに横たわったパンダのぬいぐるみを見つけた。
「可愛いぬいぐるみだな。きっと持ち主の子は今頃探しているだろうな…」
駅員さんはぬいぐるみをそっと持ち上げ、駅員室のカウンターに置いた。
「持ち主の子、来るといいな」
駅員さんはぬいぐるみの頭をそっと撫で、帰る支度をした。
それからもずっと、女の子がぬいぐるみを探しに来ることは無かった。
「わあ!このぬいぐるみ可愛い!」
パンダのぬいぐるみは、その駅で話題となった。
改札を通る人が足を止め、眺めてしまうほど可愛かったからだ。
「駅員さん、これって売り物?」
「違うんだ。この子は誰かの忘れ物でね、ここで持ち主の子を待っているんだよ」
「そうなんだ~。早く会えるといいね!」
小さな男の子がぬいぐるみの頭を撫でると、パンダのぬいぐるみは少し懐かしい気持ちになり、寂しくもなった。
ここに居れば多くの子供たちに可愛がってもらえるが、パンダのぬいぐるみは、あの女の子に可愛がってもらいたかったからだ。
そして、何も進展がないまま、また夜が来た。
「僕はもう、あの子に会えないのかな…」
駅の窓から夜空を眺め、パンダのぬいぐるみは寂しい気持ちに押しつぶされそうだった。
早く女の子に会いたい。その気持ちは日に日に大きくなり、募っていくばかりだった。
「神様、この綺麗な夜空から僕が見えているのなら、どうか僕の願いを叶えてください。僕は持ち主の女の子に会いたいのです。女の子もきっと、僕を探していることでしょう。寂しい思いをさせているかもしれません。どうか、僕たちをまた会わせて下さい…」
パンダのぬいぐるみは綺麗な夜空に向かって何度も願った。
しかし、そんな願いも真っ暗な夜空に吸い込まれていくだけだった。
「一体、いつになったら会えるのだろう。それとも、もう会えないのか…。」
パンダのぬいぐるみは、女の子の顔を思い浮かべ、心の中で静かに涙を流しました。
次の瞬間。
真っ暗な空に、ひとつの光が出てきた。
光はたちまち大きくなり、まるで太陽のように輝きを放った。
「ん?あれはなんだ…?」
パンダのぬいぐるみが謎の光を見ていると、光はなんとこちらへ向かってきたのだ。
「なんだなんだ!?こっちに向かってくる!」
パンダのぬいぐるみは大慌て。急いで逃げようとするが、ぬいぐるみなのでもちろん動けない。
そうこうしている間にも、光は近づいてくる。
「ま、まぶしい…どうなるの?誰か助けて!」
そうして、ついにパンダのぬいぐるみにぶつかった。
「う、う、うわぁ~!!」
眩い光がパンダのぬいぐるみを包み込む。
さらに辺り一面を光が包み込み、真っ白に染めた。
「あ、あれ…?何が起こったんだろう…」
謎の光に包まれたパンダだったが、特に変わった様子はなかった。
「一体、何だったんだろう…」
パンダのぬいぐるみがもう一度空を見上げると、あることに気がついた。
「あれ…?僕の首が動く…?」
夜が更け、静まり返った駅で、駅員さんがベンチに横たわったパンダのぬいぐるみを見つけた。
「可愛いぬいぐるみだな。きっと持ち主の子は今頃探しているだろうな…」
駅員さんはぬいぐるみをそっと持ち上げ、駅員室のカウンターに置いた。
「持ち主の子、来るといいな」
駅員さんはぬいぐるみの頭をそっと撫で、帰る支度をした。
それからもずっと、女の子がぬいぐるみを探しに来ることは無かった。
「わあ!このぬいぐるみ可愛い!」
パンダのぬいぐるみは、その駅で話題となった。
改札を通る人が足を止め、眺めてしまうほど可愛かったからだ。
「駅員さん、これって売り物?」
「違うんだ。この子は誰かの忘れ物でね、ここで持ち主の子を待っているんだよ」
「そうなんだ~。早く会えるといいね!」
小さな男の子がぬいぐるみの頭を撫でると、パンダのぬいぐるみは少し懐かしい気持ちになり、寂しくもなった。
ここに居れば多くの子供たちに可愛がってもらえるが、パンダのぬいぐるみは、あの女の子に可愛がってもらいたかったからだ。
そして、何も進展がないまま、また夜が来た。
「僕はもう、あの子に会えないのかな…」
駅の窓から夜空を眺め、パンダのぬいぐるみは寂しい気持ちに押しつぶされそうだった。
早く女の子に会いたい。その気持ちは日に日に大きくなり、募っていくばかりだった。
「神様、この綺麗な夜空から僕が見えているのなら、どうか僕の願いを叶えてください。僕は持ち主の女の子に会いたいのです。女の子もきっと、僕を探していることでしょう。寂しい思いをさせているかもしれません。どうか、僕たちをまた会わせて下さい…」
パンダのぬいぐるみは綺麗な夜空に向かって何度も願った。
しかし、そんな願いも真っ暗な夜空に吸い込まれていくだけだった。
「一体、いつになったら会えるのだろう。それとも、もう会えないのか…。」
パンダのぬいぐるみは、女の子の顔を思い浮かべ、心の中で静かに涙を流しました。
次の瞬間。
真っ暗な空に、ひとつの光が出てきた。
光はたちまち大きくなり、まるで太陽のように輝きを放った。
「ん?あれはなんだ…?」
パンダのぬいぐるみが謎の光を見ていると、光はなんとこちらへ向かってきたのだ。
「なんだなんだ!?こっちに向かってくる!」
パンダのぬいぐるみは大慌て。急いで逃げようとするが、ぬいぐるみなのでもちろん動けない。
そうこうしている間にも、光は近づいてくる。
「ま、まぶしい…どうなるの?誰か助けて!」
そうして、ついにパンダのぬいぐるみにぶつかった。
「う、う、うわぁ~!!」
眩い光がパンダのぬいぐるみを包み込む。
さらに辺り一面を光が包み込み、真っ白に染めた。
「あ、あれ…?何が起こったんだろう…」
謎の光に包まれたパンダだったが、特に変わった様子はなかった。
「一体、何だったんだろう…」
パンダのぬいぐるみがもう一度空を見上げると、あることに気がついた。
「あれ…?僕の首が動く…?」
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