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木下にて
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「…おい…おい!目を覚ませ」
「ん…?ここは?」
バルクが目を覚ますと、見知らぬ場所にいた。
「起きたか、大丈夫か?」
「ここはどこだ?」
「桃の木の下だ。丁度いい穴があってな。全く。お前たちを1人で運ぶのは大変だったんだぞ」
「あいつらは…?一体どうなった?」
「ああ、あいつらはしっぽ巻いて逃げてったさ。あの間抜け面を見せてやりたかったぜ」
タルはそう言って笑った。
「お前が追い払ったのか?あのお前が!?」
「なんだよ、意外で悪かったな」
タルはまた笑った。
「もう時期日が昇る、それまで寝てるといいさ」
「お前は寝ないのか?」
「俺が見張りしとくよ。まだ狼がうろついてるかもしれないしな」
「そうか…。なら俺も起きてる」
「いいよ、俺が起きとくから病人は寝とけよ」
バルクはタルの言うことを無視し、起き上がった。
そしてタルの横に行き、腰を下ろした。
「ありがとうな、助けてくれて」
「なんだよ、それはこっちのセリフだ。バルクが居なかったらみんなやられてたさ」
「いいや、俺はまだまだ未熟な狼だ。あんなやつらにここまでされちまったしな。お前と、それとこの人のおかげだ」
バルクはペコのお父さんを見た。すやすや気持ちよさそうに眠っている。
「ああ、そうだな」
タルとバルクは笑い合い、そして、朝まで語り合った。
日が登り、辺りが明るくなった頃、ペコとペコのお父さんは目を覚ました。2人は起きてすぐにハグを交わし、2人で泣きあった。タルとバルクはそれを微笑ましく見て、少し羨ましいと思った。その後、2人にも状況を説明した。
「タル君、バルク君、色々貸しができちゃったね。また家においでよ、いいものは作れないが、ご馳走するよ」
「ありがとう、じゃあ、俺たちはもう行くよ」
「タル!また後でね!いつもの場所で待ってるから!…あ!バルクもおいでよ!」
「え?俺もいいのか?」
「もちろん!僕達もう友達だからね!」
「…へへっ。ありがとよ、じゃあ後でな」
「うん!」
バルクは目に涙をうかべ、それが誰にもバレないように振り返り歩いていった。タルには気づかれていたが…。
「ふっ。じゃあ後でな。ペコ」
「うん!ばいばーい!」
「タル君、ペコのことをよろしくね」
タルはペコのお父さんに笑いかけ、バルクの後を追って走って行った。
「じゃあ行こうか、ペコ」
「うん、僕お腹すいちゃった!」
「じゃあ果物でも探しに行くか!」
「うん!」
ペコとお父さんは2人で仲良く歩いていった。
「ん…?ここは?」
バルクが目を覚ますと、見知らぬ場所にいた。
「起きたか、大丈夫か?」
「ここはどこだ?」
「桃の木の下だ。丁度いい穴があってな。全く。お前たちを1人で運ぶのは大変だったんだぞ」
「あいつらは…?一体どうなった?」
「ああ、あいつらはしっぽ巻いて逃げてったさ。あの間抜け面を見せてやりたかったぜ」
タルはそう言って笑った。
「お前が追い払ったのか?あのお前が!?」
「なんだよ、意外で悪かったな」
タルはまた笑った。
「もう時期日が昇る、それまで寝てるといいさ」
「お前は寝ないのか?」
「俺が見張りしとくよ。まだ狼がうろついてるかもしれないしな」
「そうか…。なら俺も起きてる」
「いいよ、俺が起きとくから病人は寝とけよ」
バルクはタルの言うことを無視し、起き上がった。
そしてタルの横に行き、腰を下ろした。
「ありがとうな、助けてくれて」
「なんだよ、それはこっちのセリフだ。バルクが居なかったらみんなやられてたさ」
「いいや、俺はまだまだ未熟な狼だ。あんなやつらにここまでされちまったしな。お前と、それとこの人のおかげだ」
バルクはペコのお父さんを見た。すやすや気持ちよさそうに眠っている。
「ああ、そうだな」
タルとバルクは笑い合い、そして、朝まで語り合った。
日が登り、辺りが明るくなった頃、ペコとペコのお父さんは目を覚ました。2人は起きてすぐにハグを交わし、2人で泣きあった。タルとバルクはそれを微笑ましく見て、少し羨ましいと思った。その後、2人にも状況を説明した。
「タル君、バルク君、色々貸しができちゃったね。また家においでよ、いいものは作れないが、ご馳走するよ」
「ありがとう、じゃあ、俺たちはもう行くよ」
「タル!また後でね!いつもの場所で待ってるから!…あ!バルクもおいでよ!」
「え?俺もいいのか?」
「もちろん!僕達もう友達だからね!」
「…へへっ。ありがとよ、じゃあ後でな」
「うん!」
バルクは目に涙をうかべ、それが誰にもバレないように振り返り歩いていった。タルには気づかれていたが…。
「ふっ。じゃあ後でな。ペコ」
「うん!ばいばーい!」
「タル君、ペコのことをよろしくね」
タルはペコのお父さんに笑いかけ、バルクの後を追って走って行った。
「じゃあ行こうか、ペコ」
「うん、僕お腹すいちゃった!」
「じゃあ果物でも探しに行くか!」
「うん!」
ペコとお父さんは2人で仲良く歩いていった。
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