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犬の宿命
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「ペコ…!ペコ!!」
タルは必死に走った。この声は確実にペコのものだ。
タルはペコの身に何かあったに違いないと確信した。なんせ今日は満月だ。何があってもおかしくはない。
「タル!ちょっと待てよタル!」
タルはバルクの言うことを全く聞こえていなかった。
「タルのやつ…こんな早く走れたのか…?」
バルクはタルに追いつこうとしたが、一向に出来なかった。タルがあまりにも早すぎたのだ。
「ペコーーー!!!」
タルは夜空に叫んだ。
「よお、おチビちゃん」
「わ…わわ…」
その頃、ペコの家にはバルクの取り巻きたちがやって来ていた。
「ペコ!!逃げろ!!」
ペコのお父さんがペコの前に立ち、ペコを庇っていた。その横には、ペコのお母さんが血だらけにで倒れていた。
「お…わ…おか…」
「ペコ!!しっかりしろ!!早く逃げるんだ!!!」
「わ…ぼく…おかあ…わわ…」
ペコは何が何だか全くわからなくなっていた。
鋭い狼の匂い、お母さんの匂いと血が混ざった匂い、お父さんの匂い、色々混ざりあってペコをパニックにさせていた。
「やっぱ犬の肉ってのはうめぇもんだなぁ」
「おい、でかい方は俺にくれよ」
「何言ってんだ、お前さっきいっぱい食べただろ」
「お腹すいてんだよ!いいじゃんかよ!」
狼たちは誰がお父さんを食べるかペコを食べるかで喧嘩をしていた。
「ペコ、今のうちだ。外に逃げろ」
「おと…さん…やだよ…こわいよ…一緒にいてよ…」
「ペコ、父さんもすぐに追う。だから今は言うことを聞いてくれ、頼む!」
「おとう…さん…」
「さあ今のうちだ、早く行くんだ」
「わかった…お父さん…絶対来てね…」
お父さんは額に汗を浮かべながらにっこり微笑み、ペコは目に大量の涙を浮かべていた。
「さあいけ、ペコ。走れ!」
ペコは裏口まで走った。
(みんなに危険があることを伝えなきゃ。いや、その前に助けを…)
ペコの頭は混乱したままだったが、判断は冷静だった。
ペコは振り返らず、外に出ようとした。
しかし、一瞬のうちに回り込まれてしまった、
「おいおい、どこへ行くんだ?おチビちゃん」
「は…わわ…」
「ペコ!!!」
「2人とも逃がさねえぞ~」
狼たちは笑いながら、2人を囲んだ。そして1歩、2歩と少しずつ近づいて行った。
ペコとお父さんが背中合わせでピタリとくっついた時、玄関の扉が勢いよく開いた。
「ペコ!!!!!」
「…タル!!!!」
「お?タルじゃねえか。バルクも一緒なのか」
「お前ら、ここで何してる」
バルクがそう投げかけた。
「何って狩りに決まってんだろ、今日は満月だからさ!」
「…失せろ」
「え?なんだって?」
「ここから失せろ、そいつらには手を出すな」
「は?何言ってんだ、バルク。せっかくの獲物だぜ?」
「ああ、こいつら美味そうな犬っころだぞ。放っとけるかよ」
「黙れ、早く行け。ここから出ていけ」
「おい、ちょっと待てよバルク、どうしたんだよ。お前最近おかしいぞ」
「俺は何もおかしくない。さあ、早く出て行け」
「今日は何をしていた?なんでタルと一緒にいる?なぜこいつらを庇う」
「どうでもいいだろ、そんなこと」
「よくねーよ。俺たちの邪魔をしようって言うならそれくらい聞いてもバチは当たらねえだろ」
いつの間にかバルクの取り巻きたちがバルクを囲んだ。
「バルク…」
バルクは真っ直ぐ取り巻きたちの目を見つめ、じーっと睨んでいた。
タルは必死に走った。この声は確実にペコのものだ。
タルはペコの身に何かあったに違いないと確信した。なんせ今日は満月だ。何があってもおかしくはない。
「タル!ちょっと待てよタル!」
タルはバルクの言うことを全く聞こえていなかった。
「タルのやつ…こんな早く走れたのか…?」
バルクはタルに追いつこうとしたが、一向に出来なかった。タルがあまりにも早すぎたのだ。
「ペコーーー!!!」
タルは夜空に叫んだ。
「よお、おチビちゃん」
「わ…わわ…」
その頃、ペコの家にはバルクの取り巻きたちがやって来ていた。
「ペコ!!逃げろ!!」
ペコのお父さんがペコの前に立ち、ペコを庇っていた。その横には、ペコのお母さんが血だらけにで倒れていた。
「お…わ…おか…」
「ペコ!!しっかりしろ!!早く逃げるんだ!!!」
「わ…ぼく…おかあ…わわ…」
ペコは何が何だか全くわからなくなっていた。
鋭い狼の匂い、お母さんの匂いと血が混ざった匂い、お父さんの匂い、色々混ざりあってペコをパニックにさせていた。
「やっぱ犬の肉ってのはうめぇもんだなぁ」
「おい、でかい方は俺にくれよ」
「何言ってんだ、お前さっきいっぱい食べただろ」
「お腹すいてんだよ!いいじゃんかよ!」
狼たちは誰がお父さんを食べるかペコを食べるかで喧嘩をしていた。
「ペコ、今のうちだ。外に逃げろ」
「おと…さん…やだよ…こわいよ…一緒にいてよ…」
「ペコ、父さんもすぐに追う。だから今は言うことを聞いてくれ、頼む!」
「おとう…さん…」
「さあ今のうちだ、早く行くんだ」
「わかった…お父さん…絶対来てね…」
お父さんは額に汗を浮かべながらにっこり微笑み、ペコは目に大量の涙を浮かべていた。
「さあいけ、ペコ。走れ!」
ペコは裏口まで走った。
(みんなに危険があることを伝えなきゃ。いや、その前に助けを…)
ペコの頭は混乱したままだったが、判断は冷静だった。
ペコは振り返らず、外に出ようとした。
しかし、一瞬のうちに回り込まれてしまった、
「おいおい、どこへ行くんだ?おチビちゃん」
「は…わわ…」
「ペコ!!!」
「2人とも逃がさねえぞ~」
狼たちは笑いながら、2人を囲んだ。そして1歩、2歩と少しずつ近づいて行った。
ペコとお父さんが背中合わせでピタリとくっついた時、玄関の扉が勢いよく開いた。
「ペコ!!!!!」
「…タル!!!!」
「お?タルじゃねえか。バルクも一緒なのか」
「お前ら、ここで何してる」
バルクがそう投げかけた。
「何って狩りに決まってんだろ、今日は満月だからさ!」
「…失せろ」
「え?なんだって?」
「ここから失せろ、そいつらには手を出すな」
「は?何言ってんだ、バルク。せっかくの獲物だぜ?」
「ああ、こいつら美味そうな犬っころだぞ。放っとけるかよ」
「黙れ、早く行け。ここから出ていけ」
「おい、ちょっと待てよバルク、どうしたんだよ。お前最近おかしいぞ」
「俺は何もおかしくない。さあ、早く出て行け」
「今日は何をしていた?なんでタルと一緒にいる?なぜこいつらを庇う」
「どうでもいいだろ、そんなこと」
「よくねーよ。俺たちの邪魔をしようって言うならそれくらい聞いてもバチは当たらねえだろ」
いつの間にかバルクの取り巻きたちがバルクを囲んだ。
「バルク…」
バルクは真っ直ぐ取り巻きたちの目を見つめ、じーっと睨んでいた。
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