SCHRÖ,DINGER

空色フロンティア

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死相編

解明性のリメンバー

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 辺りを見渡すと真っ暗な空間。その中に孤独にも立ち尽くすのはただ俺ひとりのみであった。
「どこだ?ここは?」
 すると、目の前に靄の様なものがあらわれる。その霧のような物は人型で、まるで人のシルエットのように映し出されてある。
 例えるなら、かまいたちの夜みたいなシルエットになっていると言えば分かりやすいですあろう。
 そして、そのシルエットはこちらに段々と近づいて来て、俺に言葉を投げ掛ける。
「ニンゲンよ。午後5時に、一人で立木の公園に来い。それは、お前の道が開かれることになり得るヒントを与えられんとす。」
 その人型靄が不気味にもこちらをニンゲン呼ばわりしながら、指示をする。俺はさっぱり訳が分からなかった。
「辛いであろうが、これも運命なんだ。それも私の責任なのかもしれないけれども。」
 誰.....だ?
「悪いが、今は長くしゃべることはできん。時間が限られている。」
 俺はだんだんと全身の力が抜ける感覚を覚えた。そして、微かな声が聞こえてくる。
「それでは、過酷な一日へ。どうぞ。reviver」
 霞んで見えたそのシルエットがどんどん明るみになっていた。しかし、顔が見える直前に俺は目を覚ました。


「はっ!?」
 思わず布団から飛び出した。どうやらさっきの謎の声の正体は夢のようなものであったらしい。
 だが、午後5時か。何も無いとは思うが行ってみても良いのかもな。もう、俺は希薄な望みですら信じなければならないからな。
 そして、放課後に差し迫った5時間目の休み時間。玲がこちらに話しかけてきた。

「ねぇ、今日はどうするの?」

「そうだな......今日は敢えて、いつものように廃墟に向かうルートにへと進もう。俺は18時前に向かう。」

「でも、大丈夫なの?このままじゃ、また前と同じようにアイツにやられるんじゃ......」

「大丈夫だ。なんとかして見せる。」

 こんな言葉を放ったものの、それは17時の可能性に賭けたものにすぎない。さらに、今日はあの、沖橋がそもそも学校にへときていない。それは日中の俺にとって好都合であるが、何処でアイツと出くわすかもわからないからかなり怖い。

「......わかった。信じてるからね。じゃあ、今日の18時に会いましょう。」

 そして、学校も終わり。放課後になり、俺は謎の人物との約束通り立木公園にへと足を運んだ。
 公園には誰も居らず、少し異様な雰囲気を醸し出されていた。
 そして、俺は公園のベンチに腰掛けた。数分間たった後、風が急に強くなり、粉塵が辺りに撒き散らかされる。
そして、その中から出てきたのは金色の髪色をした少女であった。
 その少女はぱっと見は俺よりも年下であろう風貌をしており、スレンダー美少女であった。しかし、何処か不思議なオーラを放っていた。こう、同等の生物とは違う、何処か上等生物な気がした。

「ようこそ、来てくれたな。貴方が、カズさんか?」

「ああ、そうだ。」

「私はこの世界の時空を操る者。シュレディンガーだ。」

 既に俺の名前は把握済みって訳か。これは本物かも知れないな。

「時空を操っているって、どう言うことだ?」

「私はこの世界で時空を管理する事を命じられた、天の者なのだ。本来はこの世界に降りる事は無いのだが、時空に生じている異常事態の収束を目的に降りて来た。」

「異常って、あのタイムループの事か?」

「そう、人間がいつものように過ごしている限りこんな現象は起こり得ないはずなのだ。でも時折、人智をも越えた人間の強い意思によって、時々このループが起きてしまう。そして今回も、その例に漏れず、このタイムループが起こってしまったのだ。」

「って事は。貴方が神様のような人ですか?」

「えぇ、まぁそうだな。大体半分くらいはそんな感じです。」

 半分くらいか。どこか含みのあるような言い方だな。

「なら、教えてくれ!!何故このループが起こってしまったんだ?」

「因果は意外とも近くにあり、遠くにある。これが起こった原因は彼ら。沖橋と高見と言う名の人たちによるのが原因だと。」

「何故アイツらなんだ?一体何があったんた?」

「まあ、まあ。そう焦るな。」

「焦るさ、仲間が窮地に追いやられているんだ。」

 シュレディンガーはため息を吐きながら俺の横のベンチへと腰掛ける。

「君の気持ちは十分分かっているつもりだが、理解し難いな。」

 何が理解し難いってんだ?

「君はタイムループの現象の中にへと居る。ならば、この永遠とも言えるこの一日があるだろう。それなのに、何故時間を気にして焦る必要があるんだ?」

 なるほど、時間は永久的にあるからそれだけ焦っているのがよくわからない.....か。違う。そんなのじゃない。
 それは、あまりにも情にかけすぎている。それが合理的な判断なのであろうが、我々人間にはそんな人を見捨てる事など早々にあってはならない。
 かと言って、確かに時間はいくらでもあると言う見方もある。だが、こんな不完全な現象だ。いつパタリとバッドエンドのまま終わっても不思議ではない。
 繰り返すのは自由だが、その分別の心配事や不運の確率を上げるだけなのかもしれない。
 或いは......

「おい、何を考え込んでいる。そんな感じじゃこの先の話が進まんぞ。」

「ああ、すまん。続けてくれ。」

「うむ。実は彼らは数十年前に、あの廃墟と同じ病院に居た者たちだ。かの有名な事件だから君も知ってるだろう。

「!?」

「あと、重要な事を教えてあげる」

「重要な事?」

 なんだ?ここに来て重要な事って。怖いぞ。

「貴方は、今のところ何回この時間軸をループしていると思いますか?覚えている範囲で良いので答えてください。」

「え、あんまり数えては無いんだけど。5回とか6回とかかな?」

 俺がそう答えると神様は深刻そうな顔をしていた。そして、また下を向いてため息を吐く。

「、、、やはりそうですか。」

「どうした?なにか、まずい事でもあったのか?」

 神様は手に顎を置いて、こちらの目を見る。そして、またため息を漏らす。

「はぁー。驚かないでくださいね。さて、もうこの際、真実を包み隠さずに言ってみれば、貴方は既にこの一日を5,121,511,592回ループしています。」

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