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第2章
二人の関係
しおりを挟む遠慮の「え」の字もない流星さんは、そんな下世話な質問もぐいぐいくる。
そりゃあ、まもりさんは綺麗で優しくて……とても素敵な人だと思う。
一緒にいると落ち着くし、家事ができないところも意外性があって可愛いと思うし――
(って、私……まもりさんのことが結構好きなのかな?)
改めて意識した途端、顔が熱くなった。
と、そこでハッとあることに気づく。
(まさか)
なぜ流星さんがそこまで私たち二人の仲を疑うのか。
なぜ私にその気があると勘繰るのか。
それはもしかすると、彼がまもりさんのことを好きだからではないのか……?
家族や友人としての『好き』ではなくて、本気の意味での『好き』――つまりは恋愛感情を抱いているということ。
それが事実なら、まもりさんの『待っている相手』というのが流星さんであることにも頷ける。
彼らは実はそういう関係で……えっと、つまりは恋仲?
頭の中がぐるぐるとして、パンクしそうになる。
「絵馬ちゃん、大丈夫?」
まもりさんが隣から心配してくれる。
「だ、大丈夫、です……たぶん」
頭はまだ混乱しているけれど、このまま黙っているわけにもいかない。
私は流星さんの質問に答えるべく、改めて彼の険しい顔に向き直る。
彼からの質問――すなわち、私はまもりさんのことが好きなのか?
「そ、その。まもりさんのことは、とても尊敬しています。すごく優しくて、あたたかくて、包み込んでくれる人っていうか……」
「おう。だから、好きなのかって聞いてんだ」
苛立ちを含んだ眼光で迫られ、私は慌てて答える。
「す、好きは好きですよ!」
つい、そんな告白まがいの言葉を口にしてしまって、私は慌てて付け加える。
「あっ、好きっていうのはそういう意味じゃなくて、えっと、普通に人としての好きって意味で。間違っても、お二人の仲を邪魔するような感情ではありませんから!」
「はあ?」
あ、いま余計なことを言ったかも――なんて考えているうちに、流星さんはその整った顔を斜めに歪ませて、
「お前、何か勘違いしてねーか?」
「へ?」
勘違い。
何のことだかわからず、私は無意識のうちにまもりさんの方へ縋るような視線を向けていた。
すると彼は、私の心中を汲み取ったかのように穏やかな微笑を浮かべて言った。
「流星は僕の従兄弟だよ。昔から仲は良いけれど、変な意味じゃないから誤解しないでね」
「え?」
(従兄弟……?)
思わぬ返答に、私は拍子抜けする。
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