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第二章 エンドレスサマー
第二章7-2 〈ウンディーネ〉
しおりを挟む転移石とか、ラーメンとか色々あるけどやれる事を一つずつやっていくしかないな。
先ずはモヤに行ってバルガスさん達に会わないと……。
「オイコラ小僧! なんちゅーしょうもない用事でウンディーネ様呼び出しとんねん! 精霊様やぞ!!」
ウンディーネ様帰った途端にコレだよ。
いつも通りのジロに戻っちゃったよ。
いや、いつもよりも怒ってる分、関西弁もどきになってタチが悪いよ。
「しょうがないだろ? 聞きたい事あったんだから」
「そんなもんマスコに聞いたらええやろがい!」
「マスコも全てのことを知っているわけじゃないの! あんまり怒るとウンディーネ様にジロの態度が悪過ぎるってチクるぞ! ウンディーネ様がいるいないで態度が豹変するってな。もう一回召喚してもいいんだぞ~?」
「へ? いや……ちょ……そのやり方は汚くないかな? いくら何でもそのやり方はナシだわ~」
「ジロの態度次第だよ」
「……すまんかったねユウタくん」
おずおずとジロが巣穴に帰っていく背中を見送った。
本当はもうそんなに魔力残ってないから、開き直られてウンディーネ様召喚しろって言われなくて良かった。
流石に精霊のウンディーネ様クラスを召喚するのは一日一回が限度だね。
それ以上は魔力の枯渇で倒れてしまいそう……いや、そもそも精霊なんて気安く呼ぶ存在じゃないからね。
さてと、モヤに行かなきゃなんだけど、なんだかんだと時間が掛かって遅くなってしまった。
なのでモヤには明日向かうとするか。
どの道、バルガスさんには時間を二日くれって言われてたから、明日の方が都合が良かったりもするしね。
翌日の午前中、タロと2人でモヤに行く事に決め、マスコとジロ、そしてリリルにエンドレスサマーの留守を頼む。
今までと違って、いつ冒険者がダンジョン攻略に来てしまうか分からない。
万が一の保険として、見た目の愛くるしいリリルにも留守を頼む。
ダンジョン攻略に来た冒険者が、見た目は動く西洋人形のホラーなマスコと、大型のネズミが武装した物騒なモンスターにしか見えないジロしか居なかったら、攻撃か逃亡しか選択肢が無くなってしまうからな。
留守番を頼んだら、リリルはついて行きたいと駄々をこねたが、ちゃんと理由を話したら快く引き受けてくれた。
見た目は小さくても子供なわけじゃないし、それき毎回留守番させるじゃないからね。
そう思うと、毎回必ず留守番になってしまうマスコとジロは少々かわいそうだ。
ダンジョンのマスターコアであるマスコは仕方ないとして、ジロは何とも思わないのか?
それとも巣穴と水辺さえあれば満足なんだろうか?
今度聞いてみよう。
エンドレスサマーの出口まで皆んなに見送られてから、タロにフルサイズに戻る事を許可する。
「へん……しーーん! とう!!」
『ふふ…こうしてたまに元の姿に戻らぬと、どちらが我の真の姿か忘れそうになるわ』
……いつ見てもタロのこのギャップが最高に笑える。
そして俺は、まるんとした二足歩行する狼っぽいなにかから、フェンリルに無事変身したタロにまたがり、一路モヤの村を目指した。
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