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ラーメン屋のバイト
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ピー!!
え?
「お嬢ちゃん、残念だったねぇ。時間切れだ。」
嘘、、、!!
あと少しで、もう少しで終わるのに。
「お嬢ちゃん?金がないんだろ?ラーメン代分今日働いてもらうよ?それか彼に頼むかい?」
あたしは頭が真っ白になった。
このあたしが働くですって?
神崎グループの令嬢よ?
かと言ってお兄ちゃんを横目で見ても。
「頑張れよな?じゃ、俺帰るから。」
ブチっ。
ふざけてるの?
あたしはぶち切れた。
「あのねぇ!!誘ったのはそっちでしょ?紳士だったら奢ってくれても良くない?」
「ズーズーしい奴だな?働かざるもの食うべからずってことわざ知らないのか?」
「はぁ?じゃあお兄ちゃんは働いてるの?」
「もちろん!今日一日でいいって言ってるんだ。黙って働くんだな!じゃ。」
「最低!!」
「なんとでも言えば?」
そう言って爽やかな笑顔でお兄ちゃんは去っていった。
*
「いら、、、しゃい、、」
「違う違う!!へい!らっしゃい!!だ。」
あたしは天下の神崎グループの令嬢、、、のはず。
「すみませーん。水ください!!」
「は、、、はい。少しお待ちを、、、」
「違う違う!!へい!まいど!だ。」
もう嫌。
何が悲しくてラーメン屋、しかもチェーン店で働かなければならないのよ。
何よりあの男。
二重人格の上にケチときた。
さいっていよ!!
「かなちゃん?早くラーメン運んで!!」
あたしは名前を偽った。
天下の令嬢がお金がないなんて口が避けても言えない。
唯一の救いは、こんなラーメン屋に知り合いは来ないということ。
「かなちゃーん!急いで!餃子が出来た!」
「はいはい。ただいまー!」
そしてあたしはそこのラーメン屋で5時間も働いたのだった。
あの男、、、。
大っ嫌い!!
ケチって嫌!
そんなことを思いながら、あたしはラーメン屋の主人にバイト代たった10円をもらってエミを公衆電話で呼び出し、ウチへと帰ったのだった。
*
「はあ?」
「なんだ?その不服そうな態度は?」
朝ごはんの時間。
お兄ちゃんと一緒に食べている時、またお兄ちゃんが変なことを言い出したのだ。
「もうラーメン代を払うくらいは十分働いてきたのよ?なんでまだ働かなきゃいけないのよ?」
そうなのだ。
お兄ちゃんはあたしにまだ働けと言ったのだ。
「お前は神崎グループを継ぐ気は無いんだろう?継ぐのは俺だからな。継ぐ気がないのに神崎グループの娘だからと親の稼いだ金で生きていくつもりか?」
「そ、それは、、、」
あたしは返す言葉が見つからなかった。
「俺が神崎グループを継いだら、お前には出てってもらうからな。」
「ええ?!そんな、、、お父様が許すはずが、、、」
「かんな?いいか?働くということは厳しいものなんだ。それをお前は知らなきゃいけない。」
お兄ちゃんは真面目な顔をして言った。
「夢を見つけるのもいい。まぁ頑張れ!」
夢?
あたしはそんなこと考えたこともなかった。
*
「どうしたの?かんな?」
「えー?何が?」
「目が座ってるから。」
学校がそろそろ終わる。
今日は習いごとのない日だったのに。
「美春ごめん。今はそっとしておいて。」
あの男め。
娘であるあたしを神崎グループから追い出すのが狙いなの?
お父様もあの二重人格男に騙されているんだわ!!
「そう言えばお兄様とはどうなの?カッコいい?優しい?」
「はぁ?あの男は、、、っ」
っと待てよ。
軽はずみに言ったら藤堂グループの令嬢である美春にも危害がおよぶかもしれない。
何せ乗っ取りだもの。
「お兄様は優しいわよ?」
あたしは作り笑いを浮かべた。
「へー。いいなぁ。」
あたしは美春が羨ましいわよ。
今日はラーメン屋のバイトの日。
勝手にお兄ちゃんがバイト契約をしてしまったのだ。
お父様に言わないと。
あの男は乗っ取りを考えていると。
*
あたしがヘトヘトになってラーメン屋のバイトから帰って来ると、お兄ちゃんが待っていた。
「かんな。おかえり。」
なんだか機嫌が良い。
「夕食を食べながら、バイトの話を聞こうかな?」
まだ食べてなかったのか。
「ええ。」
今日は1人で食べることになると思っていたから、少し複雑だった。
「バイト代入ったら何が欲しい?」
ニコニコしながら上機嫌で話すお兄ちゃんを見ながらあたしは考え込む。
神崎グループの令嬢ともなれば手に入らないものはない。
ただ嬉しそうに話すお兄ちゃんを見ていると何か欲しいものって、、、と真面目に考えてしまうのだ。
乗っ取りを考えている男がこんな笑顔見せるかな?
もう少しだけお兄ちゃんを探ってみようとあたしは思った。
え?
「お嬢ちゃん、残念だったねぇ。時間切れだ。」
嘘、、、!!
あと少しで、もう少しで終わるのに。
「お嬢ちゃん?金がないんだろ?ラーメン代分今日働いてもらうよ?それか彼に頼むかい?」
あたしは頭が真っ白になった。
このあたしが働くですって?
神崎グループの令嬢よ?
かと言ってお兄ちゃんを横目で見ても。
「頑張れよな?じゃ、俺帰るから。」
ブチっ。
ふざけてるの?
あたしはぶち切れた。
「あのねぇ!!誘ったのはそっちでしょ?紳士だったら奢ってくれても良くない?」
「ズーズーしい奴だな?働かざるもの食うべからずってことわざ知らないのか?」
「はぁ?じゃあお兄ちゃんは働いてるの?」
「もちろん!今日一日でいいって言ってるんだ。黙って働くんだな!じゃ。」
「最低!!」
「なんとでも言えば?」
そう言って爽やかな笑顔でお兄ちゃんは去っていった。
*
「いら、、、しゃい、、」
「違う違う!!へい!らっしゃい!!だ。」
あたしは天下の神崎グループの令嬢、、、のはず。
「すみませーん。水ください!!」
「は、、、はい。少しお待ちを、、、」
「違う違う!!へい!まいど!だ。」
もう嫌。
何が悲しくてラーメン屋、しかもチェーン店で働かなければならないのよ。
何よりあの男。
二重人格の上にケチときた。
さいっていよ!!
「かなちゃん?早くラーメン運んで!!」
あたしは名前を偽った。
天下の令嬢がお金がないなんて口が避けても言えない。
唯一の救いは、こんなラーメン屋に知り合いは来ないということ。
「かなちゃーん!急いで!餃子が出来た!」
「はいはい。ただいまー!」
そしてあたしはそこのラーメン屋で5時間も働いたのだった。
あの男、、、。
大っ嫌い!!
ケチって嫌!
そんなことを思いながら、あたしはラーメン屋の主人にバイト代たった10円をもらってエミを公衆電話で呼び出し、ウチへと帰ったのだった。
*
「はあ?」
「なんだ?その不服そうな態度は?」
朝ごはんの時間。
お兄ちゃんと一緒に食べている時、またお兄ちゃんが変なことを言い出したのだ。
「もうラーメン代を払うくらいは十分働いてきたのよ?なんでまだ働かなきゃいけないのよ?」
そうなのだ。
お兄ちゃんはあたしにまだ働けと言ったのだ。
「お前は神崎グループを継ぐ気は無いんだろう?継ぐのは俺だからな。継ぐ気がないのに神崎グループの娘だからと親の稼いだ金で生きていくつもりか?」
「そ、それは、、、」
あたしは返す言葉が見つからなかった。
「俺が神崎グループを継いだら、お前には出てってもらうからな。」
「ええ?!そんな、、、お父様が許すはずが、、、」
「かんな?いいか?働くということは厳しいものなんだ。それをお前は知らなきゃいけない。」
お兄ちゃんは真面目な顔をして言った。
「夢を見つけるのもいい。まぁ頑張れ!」
夢?
あたしはそんなこと考えたこともなかった。
*
「どうしたの?かんな?」
「えー?何が?」
「目が座ってるから。」
学校がそろそろ終わる。
今日は習いごとのない日だったのに。
「美春ごめん。今はそっとしておいて。」
あの男め。
娘であるあたしを神崎グループから追い出すのが狙いなの?
お父様もあの二重人格男に騙されているんだわ!!
「そう言えばお兄様とはどうなの?カッコいい?優しい?」
「はぁ?あの男は、、、っ」
っと待てよ。
軽はずみに言ったら藤堂グループの令嬢である美春にも危害がおよぶかもしれない。
何せ乗っ取りだもの。
「お兄様は優しいわよ?」
あたしは作り笑いを浮かべた。
「へー。いいなぁ。」
あたしは美春が羨ましいわよ。
今日はラーメン屋のバイトの日。
勝手にお兄ちゃんがバイト契約をしてしまったのだ。
お父様に言わないと。
あの男は乗っ取りを考えていると。
*
あたしがヘトヘトになってラーメン屋のバイトから帰って来ると、お兄ちゃんが待っていた。
「かんな。おかえり。」
なんだか機嫌が良い。
「夕食を食べながら、バイトの話を聞こうかな?」
まだ食べてなかったのか。
「ええ。」
今日は1人で食べることになると思っていたから、少し複雑だった。
「バイト代入ったら何が欲しい?」
ニコニコしながら上機嫌で話すお兄ちゃんを見ながらあたしは考え込む。
神崎グループの令嬢ともなれば手に入らないものはない。
ただ嬉しそうに話すお兄ちゃんを見ていると何か欲しいものって、、、と真面目に考えてしまうのだ。
乗っ取りを考えている男がこんな笑顔見せるかな?
もう少しだけお兄ちゃんを探ってみようとあたしは思った。
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