愛しのお兄ちゃん

kinmokusei

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お兄ちゃんのスパルタ家庭教師

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お兄ちゃんはお母様のことを知っている。


「家庭教師できるの?あたしはそんなにバカじゃないわよ?勉強は得意な方だし。」


「さっき言っただろ?教えるのは勉強のことだけじゃないんだよ。世間知らずのお嬢様には社会勉強をしてもらうんだ。」


いちいちカンに触る男だ。


「世間知らずで常識はずれな妹だからな。」


彩音お兄ちゃんは笑いながら言った。


「だいたい俺のこと女だと思いこんでるなんてバカの何者でもない。」


「それは名前が彩音って言うから!」


「養子が来るってことは聞いてたんだろ?女だったら養女って言うだろ?だから男だと分かるだろうが。だから涙に頼んでバーカって言う伝言を頼んだんだよ。」


さっきから黙って聞いていればいい気なって!


寂しくなくなるということを期待した反面、これからこの毒舌に付き合わなきゃならないと思うと気が重くなった。






「で?なんでそのお兄さんと雪山にスキーに行くことになるのよ?」


美春はあたしの話を聞いて大爆笑。


(ひとごとだと思って、、、!)


「あたしにだって分からないわよ!ただお父様には兄妹の親睦を深めたいとかなんとか言ってたけど。」


「キャハハ!!いいじゃない?行って来なさいよ!」


「ったく!あの二重人格男。何企んでるのかしら!!美春も美春よ?あたしの不幸を笑いものにして!」


あたしはため息をつく。


「嫌なら断ればよかったじゃない?」


「それは、、、そうだけど。」


あたしは昨日のことを思い出す。







『はぁ?スキー?嫌よ!』


『運動音痴でスキーなんて出来ないか?』


カチーン!!


『行ってやろうじゃない!!』






「かんなの性格見抜いているみたいね?あははは!」


ほんとだ。


なんかうまくのせられた気がする。






「で?かんなってスキーやったことあったっけ?」


「そんなのないわよ。でも簡単そうじゃない?大丈夫よ!」


「確かにかんなは運動神経いいけど、、、。大丈夫?」


美春はニヤニヤ笑っている。


「なんとかなるわよ!」


半分意地だった。






「ぎゃー!!痛い!」


これで転んだの何回目だろう。


「あははは!!ぎゃーって。もっと女らしい叫び方出来ないのか?」


今日は日曜日。


お兄ちゃんの車で2人でスキー場に来た。


簡単に思われたスキーは思った以上に難しいもので、、、。


お兄ちゃんはスノーボードでスイスイ滑っている。


しかもあたしを笑い飛ばしながら。


「うるさいわね!わざとよ!!」


あたしは苦しい言い訳をして再び立ち上がってまたこけた。


(痛いし、もうやだ。)


「そろそろなんか食おうぜ?疲れただろ?」


天の助け。


しかしながら、素直じゃないあたしは。


「まだいいわよ!」


そう言った。


「素敵なレディは素直じゃないとダメだぞ?」


「うるさい!絶対滑って見せるんだから!!」



自分で言って後悔をする。






「で?かんなってスキーやったことあったっけ?」


「そんなのないわよ。でも簡単そうじゃない?大丈夫よ!」


「確かにかんなは運動神経いいけど、、、。大丈夫?」


美春はニヤニヤ笑っている。


「なんとかなるわよ!」


半分意地だった。






「ぎゃー!!痛い!」


これで転んだの何回目だろう。


「あははは!!ぎゃーって。もっと女らしい叫び方出来ないのか?」


今日は日曜日。


お兄ちゃんの車で2人でスキー場に来た。


簡単に思われたスキーは思った以上に難しいもので、、、。


お兄ちゃんはスノーボードでスイスイ滑っている。


しかもあたしを笑い飛ばしながら。


「うるさいわね!わざとよ!!」


あたしは苦しい言い訳をして再び立ち上がってまたこけた。


(痛いし、もうやだ。)


「そろそろなんか食おうぜ?疲れただろ?」


天の助け。


しかしながら、素直じゃないあたしは。


「まだいいわよ!」


そう言った。


「素敵なレディは素直じゃないとダメだぞ?」


「うるさい!絶対滑って見せるんだから!!」



自分で言って後悔をする。






「じゃ、俺は飯を食いに行ってくるから。せいぜい頑張れよ?」


そう言ってさっさとお兄ちゃんは行ってしまった。


(なんなのよ?転んであちこち痛いし、やっぱり来るんじゃなかった!!優しさのかけらもないし。人が頑張ってるのに笑い飛ばすしお兄ちゃんなんて大っ嫌い!!)


あたしは半泣きで、スキーをやる。


お腹が空いて仕方がない。


もう嫌だ、、、!


あたしは涙をポロポロ流してその場にうずくまる。


すると。


「かんな?心配で見にきた。やっぱり飯は2人で食った方がうまいよな?」


彩音お兄ちゃんだった。


「、、、。」


あたしは涙が出てうつむく。


「俺だって始めから滑れた訳じゃない。とにかく行くぞ?」


?!


ふわりとあたしはお兄ちゃんにお姫様抱っこをされた。


「さっきは笑って悪かったな?あんまり可愛いからつい、さ。」


か、かわ、、、?


お兄ちゃんは優しく微笑んだ。





お兄ちゃんの顔をチラ見する。


(なんて優しく笑うんだろう、、、。)


お兄ちゃんって本当は、、、すごく優しい?






「ギャハハハハ!!」


前言撤回。



「何がそんなにおかしいのよ!!」


「だって何食いたい?って言ったらオムライスって。ほんと子供だよなぁ?」


お兄ちゃんはお腹を抱えて笑っている。


「オムライス好きな大人だっているわよ!!」



まったく。


「そろそろ帰らないとな。遠くまで来たからな。また来ようぜ?」



「絶対嫌!!」


「これも家庭教師の一貫なんだよ。お前の意見は却下。」


彩音お兄ちゃんのスパルタ家庭教師。


これはほんの始まりでしかなかった。





「はぁ?社交ダンス?」


「もう入会しといたからな?」


お兄ちゃんは満面の笑み。


「俺が教えてるところだから心配ないって!」


はぁ?


「あのねぇ?そこら辺のジジババじゃないのよ?社交ダンスなんて嫌よ!!」


「素敵なレディは趣味も清楚じゃなくちゃな?」


ゔ、ゔ。


「とにかくやることは決定だからな?」


鬼!!


社交ダンスなんて美春に知られたら笑い飛ばされる。


あたしはため息をつくのだった。






そもそも謎なのよ。


社交ダンス教えてるっていったい何者よ?


「何か話したらどうだ?高校では友達いるのか?」


お兄ちゃんとの夕食。


お母様が死んでから1人で食べていた。


本当だったら和気あいあいと話したいところだけど。


「いるわよ!」


あたしはついついお兄ちゃんに冷たくあたってしまう。


それは、お兄ちゃんの毒舌のせいでもあるんだろうけど。


なんだか照れくさいのもあるのだ。


「ふーん。」


お兄ちゃんはご飯を食べながら、あたしに色々聞いてくる。


「かんなは16だっけか?」


「そうよ!」


「女子校だったよな?小中高大とエスカレート式の。確か名門校だっけな?」


「そうね。」


「冷たいなぁ。それじゃ彼氏できねーぞ?」


「あたしはきっと政略結婚よ。お父様の決めた人と結婚して、その人があたしの家を継ぐの。」


「じゃあ、それは俺か?」


は?


「、、、ッゲホッ。」


あたしはお兄ちゃんの一言に、ご飯を喉に詰まらせた。






「み、水!:」


すかさずお世話役のエミが水を持ってくる。


あたしはそれを一気に飲み干して言った。


「なんでそうなるのよ!!」


「そうなるって?」


お兄ちゃんは意地悪そうに笑う。


「だから!なんであたしがお兄ちゃんと結婚することに、、、」


すると丁度悪いタイミングでお父様が帰って来た。


「かんな、、、。彩音と結婚したいのか?」


え??


「お父様?ちょっと待って!あたしは、、、!」


するとお兄ちゃんがとんでもないことを言い出した。


「雪山に行き、お互い気持ちが通じ合いました。まだかんなは若いけどわたくしはかんなと結婚したいと思っています!」


ちょっとたんま!!


あの二重人格男、、、!


何言い出すのよ!!



「お父様!あたしは、、、!」


「彩音とかんながそんな仲になるとは。まぁ彩音は優秀だし、いいだろう。」


またまたたんま!!


「お父様?待って下さい!!あたしは、、、、!」


「悪い。仕事が残っているんだ。また明日な。」


え?


「お父様!待って!!」






お父様ったらもう!!


「お兄ちゃん?ふざけたこと言わないでよね?!そもそもお兄ちゃんがうちに養子に来たのはうちの会社を継ぐためでしょ?!」


「そうだよ。だからかんなと結婚するんじゃないか。」


お兄ちゃんは何がおかしいのか笑っている。


「だから!あたしがうちを継がないから、お兄ちゃんが養子になったのよ!だいたい兄妹で結婚なんてマスコミのえじきもいいところよ!あたしは絶対嫌ですからね!!」


「かんな?眉間にしわ寄ってるぞ?俺だけに見せる顔だろう?俺はかんなのこともっと知りたい。」


さっきまでバカにするように笑っていたお兄ちゃんが突然真剣な表情を浮かべて言った。


「なっ、、、?!」


あたしは初めて見るお兄ちゃんの真面目な表情に言葉が詰まる。


「俺はかんなが好きだから。」


は?


お兄ちゃんは真顔で言うので、あたしは顔から火がふいた。






「あははは!冗談だよ!ほんっとバカだよなぁ?お前。」


お兄ちゃんは大笑い。


わなわなわな、、、。


またバカって言った!!


からかわれた!!


「お兄ちゃんなんて、大っ嫌い!!」


ガシャーン!!


あたしはお兄ちゃんにフォークとナイフを投げつけ、勢いよく立ち上がって部屋に引きこもった。



あんなやつ、大っ嫌い!!


すると数分くらいして、コンコンと部屋をノックする音が聞こえた。


「かんな?明日は社交ダンスの日だからな?あんまり怒るとハゲるぞ?」



ハゲ、、、?


「うるさい!!」


あたしはドアに向かって枕を投げつけた。


なんなの?


なんなのよ?


嫌い!


大っ嫌い!!


社交ダンスなんか行くかっつーの!!






「かんな?今日機嫌悪いわね?」


美春があたしの顔を覗き込む。


「ちょっとね、、、。」


もう少しで学校も終わる。


そしたら社交ダンスに行かねばならない。


にしてもだ。


今思い出しても腹がたつ。


あの二重人格男め。


「かんな?眉間にしわがよってるよ?どうしたって言うのよ?」


話す気にもならない。


「ねぇ?今日美春の家行っていい?」


社交ダンスなんで行きたくない。


美春の家で隠れていよう。


しかし。


「えっ?今日?今日はちょっと、、、。」


「えー。なんでよ?」


「都合悪いのよ。ごめん。」


おかしい。


美春の様子。


「何かあたしに隠してない?」


「そ、そんなことないわよ?全然ない!!」


美春は嘘をつくのが下手だ。


親友なのに隠し事か。


ちょっと寂しいな。


でも美春にだって事情がある訳だし。


仕方ないよね?


でもどうしよう?


社交ダンスか。


行くしかないのかなぁ。


あたしはため息をついた。







放課後。


「かんな?帰るわよ?」


美春の言葉にどきりとする。


「あたし、今日は図書室で明日の予習するから、先帰っていいよ。」


「え?あのでかい図書館?」


うちの学校には大きな図書館がある。


学校の敷地面積が広いから建てられたのだろうけども。


「ふーん。まぁいいわ。あたしも今日は用事があるし。先に帰るね。」


美春はそう言って帰って行った。


一体用事ってなんだろう?


不思議に思ったけど、何より今しなきゃいけないのは、社交ダンスに行かないことだ。


あたしは隠れるように図書館に向かって歩き出した。


しかし。


「お待ちしておりました。かんな様。」


うげっ!?


涙!?


どうしてここが。


図書館に入るなり、お兄ちゃんの世話役である涙が待ち構えていた。





「バカの考えることなどお見通しだ。」


「はあ?」


「彩音様の御伝言でございます。」


涙は顔色変えずに言うが。


もしかして、いや間違いなく涙もあたしをバカにしている。


ムカついたのであたしは怒鳴った。


「社交ダンスなんて行かないわよ!!あんたあたしをバカにしてるでしょ?!」


「バカになどしておりません。彩音様の御伝言を伝えただけです。では参りましょう。」


まるで機械のように話す涙。


「ちょっ、、、!?行かないって言ってるじゃない!!話聞いてた?!」


「貴方様に素敵なレディになってもらいたいという彩音様のご配慮でございます。だからかんな様のご意見は聞けません。行きましょう。」


「嫌よ!絶対、、、って、、、え?」


「いいから来なさい!!」


涙のすごい力。


あたしは引っ張られるように車までひきづられて行った。





涙の馬鹿力、、、。


車の中に連れて来られたあたしは半ば諦めモード。


というか涙が怖い。


女よね?


どこから出るの?


あんな力。


「かんな様。一つ社交ダンスに行く条件として守ってもらいたいことがございます。」


「は?」


無理矢理連れて来た癖に何よそれ?


「彩音様は神崎グループの養子になられたことを隠しております。だから社交ダンスの講師である小野寺様とお呼び下さい。」


「小野寺?」


「そうです。下の名前では呼ばないようにお願いいたします。決してお兄ちゃんなどとも。」


隠すくらいなら呼ばなきゃいいのに。


しかし。


小野寺って、一体?


偽名かしら?


「もう少しで着きます。決してボロを出さないようにお願いします。」


だから!


それならあたしを呼ぶことないでしょが!!


あたしは疑問に思ったが、涙の馬鹿力を思い出し、口をつむぐのだった。







「では行ってらっしゃいませ。」


(まったく。なんなのよ?)


あたしは入口に向かって歩く。






『小野寺と聞いて、何も反応がありませんでした。』


『そうか。分かった。』





「きゃー!!」


入口を入るとすぐすごい声が聞こえてきた。


「小野寺様ー!!」


中でも一番怒鳴っている女の子。


その子を見てあたしはギョッとする。


「美春?!」


名前を呼ばれて振り返る美春。


美春もギョッとした顔をした。


「か、か、かんな、、、?なんで?」


へ?


どうしよう?


あの涙の威圧感半端無かったし。


「ち、父から習えってね?美春は?」


「あ、あ、あたしもよ?」


なんとなく気まずい。


でも良く見ると美春は社交ダンス用の衣装を着て、髪を整え、やる気満々。


美春の用事ってこれ?


それより奴よ!


お兄ちゃんは、、、。


えっ?


あたしは目を奪われた。






「やぁ、初めての生徒さんかな?」


うわぁっ!!


お兄ちゃんもさることながら、この人もかなり、、、。


「俺は聖夜(せいや)。春?春の知り合い?」


春?


「いえ!さっき初めてだからと話しかけられただけで、、、!確か名前はか、、、なでしたよね?」


はぁ?


「み、、、ふがっ!」


「かなさん?ちょっとこちらへ。聖夜さんすみません。」


あたしは美春に口を塞がれて人混みに紛れた。


「かんな!!あたしはここでは春と名乗ってるの!!藤堂グループの令嬢ということも隠してるの!かんなも神崎グループのことも隠した方が良いし、名前も偽名を使った方がいいわ!!」


「えっ?なんで?」


「いれば分かると思うわ。小野寺様や聖夜様は人気で、、、」


「春?ここにいた。早くレッスンをしようね。かなさんでしたっけ?今日は見学しててね。」


にっこりと笑う聖夜さん。


色気がすごいんですけど。


でも。


なんでみんなで偽名を、、、?






聖夜さんに連れて行かれる美春の背中を見ながらあたしの頭は疑問でいっぱいだった。


お兄ちゃんに問いただしたいところだけど、、、。


「きゃー!!小野寺様ー!!」


この大きな練習場で、一際大きな声援を受けている彼、お兄ちゃんよね?あれ。


みんな騙されているわ。


あの二重人格男に。


美春は、、、と。


あれだ。


練習場の隅で聖夜さんにレッスンを受けているようだ。


にしてもだ。


お兄ちゃんと一緒にさっきからずっと踊っているあの女の人誰?


黄色い声を聞いていると。


「いやー!!若葉様とばかりー!あたしとも踊ってぇー!!」


つまり、あの女の人は偽名だろうけど若葉というんだろう。


でも、社交ダンスっていうからジジババの集まりかと思っていたけど、、、。


結構年齢層が若い。


でもとても躍る気にはなれないけど。


そんなことを思いながら練習場の中央で踊るお兄ちゃんを見ていた。





「何ブスッとした顔してるんだ?」


ぬけねけと。


この二重人格男が!!


「あたしと知り合いだと言うことを隠して、社交ダンスすっごい楽しそうだったわね?あたしは退屈で仕方がなかったわよ!」


それもそのはず。


お兄ちゃんはあたしに教えるどころか、他の女と踊ってばかりだったのだ。


特にあの若葉って子。


あたしは最初から最後まで見てただけ。


「なんだ?やきもちか?」


「は?そんなんじゃないわよ!正体隠して小野寺なんて名乗って!お父様に言いつけるからね!!」


「あ。言ってなかったか?おまえのお父さんに会ったのはあの社交ダンスでなんだよ。」


え。


「若葉とはコンクールのパートナーだからなぁ。社交ダンスおまえに勧めたのもおまえのお父さんが若葉との踊りを見て気に入ってくれたからなんだよ。どうだった?」


帰りの車の中。


あたしは考える。


そりゃまあ、、、。


真面目にやってたけど。


素敵だと思ったけど。


「別に。興味ないわ。」


素直に素敵だったと言える性格ではないのだ。


あたしは。





「はぁ?手芸教室?」


「そ!社交ダンスは火曜日。手芸教室は水曜日。ピアノの教室は木曜日。釣り教室は金曜日。土、日、月曜は休み。どうだ?」


あたしはめまいがした。


「あのねぇ?!だいたい釣り教室って何よ?」


「あ。じゃあ他のならいいんだ?」


お兄ちゃんはニヤリと笑う。


「良くない!!あたし行かないからね?絶対に行かないから!!」


「涙に迎えに行かせるから。なっ?」


えっ?


涙?


あの怪力の持ち主の、涙?


ご飯を食べながら言い合うあたしたち。


釣り教室とかわけわかんないけど、やっぱり1人よりは楽しいかな?


「分かったわよ。行くわよ。行けばいいんでしょ?」


「なんだ?やけに素直だな?」


お兄ちゃんが意地悪そうに笑うので、あたしは慌てて言った。


「涙の怪力がすごいからよ!!」



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