蓮華の花言葉

kinmokusei

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出会いは夢の中

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自分をなかなか好きになれない可憐ちゃん。
夢の中でとても自分に自信がある男の子と出会います。






ふわふわ、ふわふわ。
子供の頃は雲の上に乗れると思っていた。
サンタクロースは不思議と信じてなかったが、雲には乗れると信じて疑わなかった。
でも、年をとるにつれ雲は霧のようなもので山に行っても乗れないと学んだ。
あの夢から覚めた感覚。
今でも覚えている。

あたしはよく不思議な夢を見る。
今は雲の上に乗っている。
夢は自由だ。
夢の中では不可能も可能になる。

時は3025年。
地球全土は一つの王国が治めていた。
あたしはそこの姫、可憐。
夢見。
未来を見通す力がある。

世界を変えることになるであろう少女。
生まれる時そう予言されて生まれてきた。
父、母が国王になれたのもあたしの夢見の能力があったためだ。

あたしは夢見でありながら、自分に全く自信がない。
外に出ることも許されず、ただ会えるのは父と母だけ。
自由なのは夢の中だけ。
それを寂しさということすら分からない毎日。

そんな時だった。
いつものように夢見の仕事として夢の中を彷徨っていると、1人の男の子に出会った。





「あれ?
よう!
こんにちは、お姫様。」

男は可憐に話しかけてきた。
可憐は生まれてから今まで父と母以外の人に会うのは初めてだった。
うろたえていると、、、。

「なんだ?
挨拶も知らないのか?
オレは勇気。
お前を嫁にする男だ。」

自信満々な男。

「父上や母上がそんなことお許しになるはずはないわ。」

あたしは言った。

「お前は父と母が何をしているのか知っているのか?」

あたしは途端にうつむく。

「お前の力を使って私服を肥やしている。
村の民は過度な労働を強いられ、税金は高い。
俺についてこい。
見知らぬ世界をお前に見せてやる。」

そこで可憐は目覚めた。

勇気、、、。
世界を変える申し子。

それが可憐の未来を見通す今度の予言であった。




「なんと不吉な、、、。」

父王は言った。

「勇気と言ったかぇ?
その者をひっ捕え直ぐに打ち首にするのじゃ。」

母上も言った。

夢見は嘘をつけない。
起きた途端、夢で見た者やこれから起こるであろう事を告げてしまう。
ただ、はずれたことはない。

いつも部屋に監禁され、父上と母上にだけしか会うことを許されない。
夢見を始めたのは10歳の時。
もう少しで16になる。

あの男の子、、、。
嫁って。
あたしまだ15なのに。
本気かしら?

ただその男の子が死ぬはずはない。
あたしの夢見ははずれた事がないからだ。

父王の天下も終わるのだろう。

盛者必衰。
昔の名を残した歴史上の人物も必ず滅びる。
平曲にも記されている。
平家物語とも言うが。

あたしは夢見。
あの男の子もあたしの力が欲しいのだろう。

父上や母上と変わらないわ。

あたしはそう思った。


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