タイムパラドックス

kinmokusei

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タイムパラドックス次元への道

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「あった!!」


秋時は地球人じゃないからもしかしてないと思っていたが。


目の前には懐かしい秋時と少しの間過ごした家。


(全然違う人が住んでいたりして、、、?)


そんなあたしの不安を察したのか、ムーンがズカズカと秋時の家の庭に入って行く。


「ちょっ、、、待ってよ!誰かいたらどうするの?」


あたしは慌てて言ったが。


「俺たちの姿は見えないだろ?だから平気だって!」


あ。

そか。


「見たところ空き家だな。庭の手入れがされていない。」


「そう、、、だね。」


あたしは少し残念なような不思議な気持ちだ。


「鍵しまってるな。中に入る魔方陣を描くよ。」


「うん。」


(秋時どうしてるだろう。)


この家を見るとなんだか切ない。


秋時はあたしを好きではなかった。


美鈴さんをよみがえらせるためあたしは利用されたんだ。


でも憎む気持ちは出てこない。



「できたぞ!」


ムーンの言葉にあたしはハッとした。






ムーンを見ると5歳児にもどっていた。


「魔力使い果たしちゃった。」


「そう。とりあえず家の中へ、、、」


そこであたしはよく考えた。


「ねぇ。あたしたち死んでるんだから家の中へ入ること出来たんじゃない?」


「あっ!そうだね。魔力無駄に使っちゃった。」


どうにも頼りないとあたしはため息をついた。


「とにかく入ろう。」


「せっかくだから魔方陣でね?」


「はいはい。分かったわよ。」


そうしてあたしは秋時の家の中に入った。


「ほこり臭いなぁ。」


ムーンはぶつぶつ言っているが、あたしは真っ直ぐ秋時の部屋へ向かう。


「あったぁ!!これよ!この本。」


古びているが、確かにタイムパラドックスと書いてある。


「どれ?見せて?」


ムーンが言った。


待つこと数分。


「で?どうなのよ?」


あたしはしびれを切らせて言った。




「この魔方陣描けば行けるんだけど、、、」


そう言いながらムーンはあたしに本を見せた。


「じゃあすぐに描いてよ!」


あたしは秋時のことが気になって仕方がない。


「魔力使い果たしちゃったって言ったじゃん。」


ムーンは呆れ顔だ。


5歳児に呆れられても。


「魔力っていつ回復するの?明日?明後日?」


「1週間くらいかな?」


「ええ?!そんなに?」


あたしはついつい声が大きくなる。


「魔力の目覚めてないアース様に言われたくない。」


ゔ。


(痛いとこをついてくるな。)


「こんなこともあろうかとレンスの実をたくさん持ってきておいて良かった。」


「レンスの実?」


「うん。太陽系銀河の神はこれを食べて生きているんだ。」


「果物よね?それ?」


「まぁそうだね。」


あたしは困った。


子供の頃メロンを食べ過ぎたせいで果物アレルギーになってしまったからだ。


「あたし果物はちょっと、、、」


「食べないと消滅するよ?」


ムーンは真顔で恐ろしいことを言った。





「消滅?!」


あたしはまた大声を出す。


「メロンみたいな味だから美味しいよ?」


(余計嫌なんですけど)


「魔力回復にもいいんだ。アース様も食べるといいよ。魔力が使えるようになるよ?」


ムーンはそう言いながらずっと背負っていたリュックからなすびみたいな果物を出す。


「あたしはいいよ。」


「消滅したいの?」


半ば脅しである。


あたしは仕方なくアレルギーのことを言った。


すると。


「なーんだ。そんなことか。この粉をかければパンみたいな味になる。他にもいろいろあるよ?」


みたとこ胡椒のような瓶だ。


それが何本もある。


あたしはピザ味というのを食べた。


「同じ味じゃ飽きちゃうからね。僕眠くなってきたから寝るね。」


ピザ味の果物。


なんだか不思議な感じがした。





「味噌バターコーンラーメン味?」


「うん!好きなんだ!あとチャーハン味!」


そう言いながらムーンはレンスの実にかじりつく。


(もう!分かっているのかしら?今日でちょうど1週間なのに!)


とか思いながらあたしも食べているのだけど。


意外と美味しいと思うあたしもあたしだ。


ムーンとあたしは秋時の家で1週間を過ごした。


(まさかとは思うがタイムパラドックス次元に行くことを忘れてないよね?)


こんなに不安になるのはこの1週間ムーンがその話に触れなかったせいなのだけれど。


「ね、ねぇ?」


あたしは恐る恐る聞く。


「もう1週間になるんだけど、、、その、、、。」


「傷つくぞ?」


え?


ムーンはいつの間にかあたしくらいの年齢の姿をしていた。


「傷つく?」


あたしは訳分からず聞き返した。





「秋時、、、いやオータムはサターンと婚約した。アース様のことなんか忘れてる。」


婚約?


あたしはめまいがした。


「それでも行くんだぞ?いや、行かないといけない。」


ムーンはまっすぐにあたしの瞳を見る。


行きたくないとは言わせないように。


ムーンは続けた。


「これは銀河の戦争だ。聖剣を持つオータムと闘うんだ。肝に命じとけ。行くぞ!」


ムーンはあたしの返事を待たずに庭に出て魔方陣を描きだした。


闘いなんて、、、。


あたしには想像つかない。


あたしの中では秋時と一緒に過ごした思い出がある。


今でも秋時の笑顔を思い出せる。


それが敵?


確かに利用はされた。


でも。


秋時があたしに剣を向けることなど想像もできなかった。





魔法陣を描き終えたムーンはあたしに言った。


「行くぞ!」


その言葉であたしと一緒にムーンは魔方陣に入る。


そうすると魔方陣が光り始めた。


(タイムパラドックス次元。秋時との思い出の場所。秋時、、、あたしまだ秋時が好きだ。)


心の中は不安と微かな期待があった。




みんないない。


人の気配がない。


「着いたぞ。」


懐かしい。


「プルート様が治めている次元だ。覚悟はいいな?」


「えっ?プルート様はここにいるの?」


あたしは驚きムーンを見つめる。


「決してプルート様を困らせるなよ?」


ムーンはあたしの問いに答えなかった。


そして歩くこと10分。


懐かしいプルート様の棟を見つけた。


前は一回は来れたけど2回目は跡形もなくなっていた城だ。


「この棟は移動するんだ。プルート様を狙うやからは多いからね。」


「大変なんだね?」


「あーそうさ。何せ太陽系銀河を治めているんだからな。」



ムーンは得意げに言った。





でも。


ちょっと引っかかるのはムーンの話し方。


(いくら魔法で成長したからってあたしより年下のくせに偉そうじゃないかい?)


「入るぞ。」


時の棟の前でムーンが言う。


「はいはい。」


そして中に入った。


そこには。


「ウラヌス!!」


「アース様。ウラヌス様とお呼び下さい。」


ムーンの小言はスルーするとして。


「プルートはいないの?」


「アース様。だから、、、」


「うるさいわね!!ムーンは黙っててよ!」


ウラヌスはそんなあたしたちを見て苦笑いをした。


「プルート様は今太陽系銀河に結界を張っています。やっと覚醒してくれましたね。奈津、いやアース。」


穏やかに笑うウラヌスだが、少し疲れているようだ。


「サターンが目覚め今太陽系銀河は大変なことになっております。この日が来るのをどれだけ待ったことか、、、。」


ウラヌスの瞳にあたしが映った。


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