13 / 60
あげは紅ははかないらしい
いやソレじゃなくて、男を見せな
しおりを挟む
翌日、エスカレートする蛮族と戦いながら、午前中の授業を終えると、1階に向かい、はっちゃんに声をかけ、究のところに向かう。
昨日よりは心を許しているのかな。笑顔が多いと思う。
「青草先輩ぃ これよかったらぁ」
「え、はっちゃんそれってお弁当?」
「ナポリタンはぁ 夜に食べるからぁ ピラフをぉ 作ってきましたぁ」
はっちゃんと同じような小振りな可愛らしいタッパーを取り出すと、怖がりながら究に差し出す。
とまどう究に、絶対に断るなよ 余計な事を言うなよ と目で脅迫するように伝えるが、ダメだ。全然こっちを見ていない。
「ピラフか。それならこの豆で淹れよう」
中身も味も確認せずに、いそいそとコーヒーを淹れはじめる。呆れてしまったが、断らなかっただけマシかと思うことにした。
3人で食事をしながら、放課後の待ち合わせを決め、食後のコーヒーを飲む。
「うわぁ すごぉいぃ ピラフに合いますぅ あぁわかったぁ バターに合わせたんですねぇ」
「そうなんだ、バターの油脂でコーヒーの味が阻害されてしまう。どうしたらいいかと考えた結果、いっそのことバターに合わせた配分にしてみたんだよ」
「先輩ぃ すごぉいぃ」
昨日と同じように、2人の世界が拡がりはじめている。
究とはっちゃんの間の真ん中から、見えない球体の空間が生まれ、それがどんどん拡がり2人を包み込んでいく。
もちろんあたしは、その空間に入れない。
拡がる球体に圧されて、壁に張り付いてしまうような感じになっていた。
「よかったね、はっちゃんがコーヒーの違いが解る人で」
かろうじて、それだけは言えた。
あらためて放課後の待ち合わせを確認したあと、あたしは先に戻ると言って部屋を出る。
校舎の両端にも渡り廊下があればいいのに と思いながら北校舎に移ると、素直に中央階段から上がるのが面白くないなと思ったのと、蛮族が張っているかもしれないという第六感が働いたので、東端の階段から上がることにした。
階段を上がろうとすると、踊り場に人影が見える。
誰だろうと思いながら上がると、あたしに気がついたのか、慌てた感じでこっちを見た。ムトーちゃんだ。
その向こうにはビトーちゃんがいる。なんだろう、ただならぬ空気を出していた。
「どうしたの2人で。なんかあったの」
「いえ、なにも」
そう言いながらも、少し赤く、そう、紅潮って感じで2人は頬を染めて、目線を下にそらした。
さっき、はっちゃん達が出していた空気と同じものを感じたが、まさかね。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴りはじめたので、あたし達は急いで教室に戻った。
昨日よりは心を許しているのかな。笑顔が多いと思う。
「青草先輩ぃ これよかったらぁ」
「え、はっちゃんそれってお弁当?」
「ナポリタンはぁ 夜に食べるからぁ ピラフをぉ 作ってきましたぁ」
はっちゃんと同じような小振りな可愛らしいタッパーを取り出すと、怖がりながら究に差し出す。
とまどう究に、絶対に断るなよ 余計な事を言うなよ と目で脅迫するように伝えるが、ダメだ。全然こっちを見ていない。
「ピラフか。それならこの豆で淹れよう」
中身も味も確認せずに、いそいそとコーヒーを淹れはじめる。呆れてしまったが、断らなかっただけマシかと思うことにした。
3人で食事をしながら、放課後の待ち合わせを決め、食後のコーヒーを飲む。
「うわぁ すごぉいぃ ピラフに合いますぅ あぁわかったぁ バターに合わせたんですねぇ」
「そうなんだ、バターの油脂でコーヒーの味が阻害されてしまう。どうしたらいいかと考えた結果、いっそのことバターに合わせた配分にしてみたんだよ」
「先輩ぃ すごぉいぃ」
昨日と同じように、2人の世界が拡がりはじめている。
究とはっちゃんの間の真ん中から、見えない球体の空間が生まれ、それがどんどん拡がり2人を包み込んでいく。
もちろんあたしは、その空間に入れない。
拡がる球体に圧されて、壁に張り付いてしまうような感じになっていた。
「よかったね、はっちゃんがコーヒーの違いが解る人で」
かろうじて、それだけは言えた。
あらためて放課後の待ち合わせを確認したあと、あたしは先に戻ると言って部屋を出る。
校舎の両端にも渡り廊下があればいいのに と思いながら北校舎に移ると、素直に中央階段から上がるのが面白くないなと思ったのと、蛮族が張っているかもしれないという第六感が働いたので、東端の階段から上がることにした。
階段を上がろうとすると、踊り場に人影が見える。
誰だろうと思いながら上がると、あたしに気がついたのか、慌てた感じでこっちを見た。ムトーちゃんだ。
その向こうにはビトーちゃんがいる。なんだろう、ただならぬ空気を出していた。
「どうしたの2人で。なんかあったの」
「いえ、なにも」
そう言いながらも、少し赤く、そう、紅潮って感じで2人は頬を染めて、目線を下にそらした。
さっき、はっちゃん達が出していた空気と同じものを感じたが、まさかね。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴りはじめたので、あたし達は急いで教室に戻った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
甘灯の思いつき短編集
甘灯
キャラ文芸
作者の思いつきで書き上げている短編集です。 (現在16作品を掲載しております)
※本編は現実世界が舞台になっていることがありますが、あくまで架空のお話です。フィクションとして楽しんでくださると幸いです。
貸本屋七本三八の譚めぐり ~実井寧々子の墓標~
茶柱まちこ
キャラ文芸
時は大昌十年、東端の大国・大陽本帝国(おおひのもとていこく)屈指の商人の町・『棚葉町』。
人の想い、思想、経験、空想を核とした書物・『譚本』だけを扱い続ける異端の貸本屋・七本屋を中心に巻き起こる譚たちの記録――第二弾。
七本屋で働く19歳の青年・菜摘芽唯助(なつめいすけ)は作家でもある店主・七本三八(ななもとみや)の弟子として、日々成長していた。
国をも巻き込んだ大騒動も落ち着き、平穏に過ごしていたある日、
七本屋の看板娘である音音(おとね)の前に菅谷という謎の男が現れたことから、六年もの間封じられていた彼女の譚は動き出す――!
はじまりはいつもラブオール
フジノシキ
キャラ文芸
ごく平凡な卓球少女だった鈴原柚乃は、ある日カットマンという珍しい守備的な戦術の美しさに魅せられる。
高校で運命的な再会を果たした柚乃は、仲間と共に休部状態だった卓球部を復活させる。
ライバルとの出会いや高校での試合を通じ、柚乃はあの日魅せられた卓球を目指していく。
主人公たちの高校部活動青春ものです。
日常パートは人物たちの掛け合いを中心に、
卓球パートは卓球初心者の方にわかりやすく、経験者の方には戦術などを楽しんでいただけるようにしています。
pixivにも投稿しています。
彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり
響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。
紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。
手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。
持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。
その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。
彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。
過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
イラスト:Suico 様
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
傍へで果報はまどろんで ―真白の忌み仔とやさしい夜の住人たち―
色数
キャラ文芸
「ああそうだ、――死んでしまえばいい」と、思ったのだ。
時は江戸。
開国の音高く世が騒乱に巻き込まれる少し前。
その異様な仔どもは生まれてしまった。
老人のような白髪に空を溶かしこんだ蒼の瞳。
バケモノと謗られ傷つけられて。
果ては誰にも顧みられず、幽閉されて独り育った。
願った幸福へ辿りつきかたを、仔どもは己の死以外に知らなかった。
――だのに。
腹を裂いた仔どもの現実をひるがえして、くるりと現れたそこは【江戸裏】
正真正銘のバケモノたちの住まう夜の町。
魂となってさまよう仔どもはそこで風鈴細工を生業とする盲目のサトリに拾われる。
風鈴の音響く常夜の町で、死にたがりの仔どもが出逢ったこれは得がたい救いのはなし。
煙みたいに残る Smoldering
梅室しば
キャラ文芸
【雨の高原。夏合宿に集まった剣道部員。ほの暗い体育館に謎の血痕が現れる。】
剣道有段者の兄の伝手を使って、潟杜大学剣道部の合宿に同伴した生物科学科の学生・佐倉川利玖。宿舎の近くにある貴重な生態系を有する名山・葦賦岳を散策する利玖の目論見は天候の悪化によって脆くも崩れ、付き添いで呼ばれた工学部の友人・熊野史岐と共にマネージャーの東御汐子をサポートするが、そんな中、稽古中の部員の足の裏に誰のものかわからない血痕が付着するという奇妙な現象が発生した──。
※本作はホームページ及び「pixiv」「カクヨム」「小説家になろう」「エブリスタ」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる