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変動的不等辺三角形はじまる メグミ編

狂宴の女子会

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「部下のためにコンパニオン呼ぶなんてすごいね、私にはとてもマネできないよ。だからせめて助けさせてくれ」

「そんな、気にしないでください。僕が勝手にやったことですから」

というか勝手にメグミがついてきて、たまたま同席しただけなんです、本当に気にしないでください。

「受け取ってくれ、先輩の顔を立てると思って」

そう言われたら受け取るしかなかった。罪悪感が……。

 来年もよろしくおねがいしますと挨拶して見送り店に戻ると、席替えをしていて、美恵を中心に蓮池さんとメグミが座っていて、対面側には両端に北今くんと玉野くんが座っている。

「あ、班長こっちへどうぞ」

「席替えしたの」

「はい、合コンぽくしてみました」

納会だったのに……。

 空いた真ん中の席に座ると正面の美恵と目が合う。毎日会ってるけど、こういう状況だとなんか照れるな。
 合コンだとすると、玉野くんの相手がメグミで、北今くんの相手が蓮池さんなのか。

「それじゃあらためまして乾杯ーー!!」

 すでにできあがっている元々居た僕達に追いつこうと、美恵が急いで酔おうとするから心配になる。

「慌てなくてもいいよ、このあとカラオケルームに行くんだから」

「おお、さすが彼女さんに優しいっすねー」

完全に酔っ払ってる北今くんが茶化す。

「羨ましいっす」

こっちもできあがっている玉野くん、なんか目が据わっているぞ。
 メグミは男達より美恵に興味があるらしい、しきりに話しかけている。それはいいんだが、その会話を蓮池さんが興味深そうに聴いているのが一番気になる。

 メグミが男だとバレるのはギリギリまだいいが、弟だとバレるのはまずい。そのことを美恵に伝えたいが、この状況では無理か。ならば。

「そ、そっかぁ合コンぽくね。だったら北今くんも玉野くんも目の前の人をお相手してあげないとね。ほ、ほら、二人ともグラスが空いてるよ」

 話し相手変更して酔い潰すもしくはトイレに行かせる作戦決行。



──十数分後、北今くんと玉野くんの屍が僕に寄り添っていた。逆に潰されてどうする、北今くん、一番若手だろうが。玉野くん、ラグビーで鍛えた身体は飾りか。

「ふふーん、班長、作戦失敗しましたね」

蓮池さんが勝ち誇ったように言う。

「作戦て」

ほろ酔いになった美恵が薄紅に頬を染めながら訊き返す。

「あたし達、いーや、たぶんあたしね。酔い潰そうとしたでしょ」

「そ、そんなつもりはないよ。ちゃんと気遣いするように若手を指導しようと……」

「美恵ー、班長て嘘つくとどうなるんだっけ」

「圭一郎さんはねー、どもってから平静を装って敬語になるのー」

「あー、それ昔からそう、けいちゃんて変わんないわねー」

 完全に酔っ払ってるメグミも絡んできた。
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