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護衛対象はキケンな男の娘 短編
迎撃
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「PC7より本部へ、PC7より本部へ、岩塚交差点にて襲撃を受ける、岩塚交差点にて襲撃を受ける、応援を要請、応援を要請」
巡査の無線呼びかけを背に聞きながら、ハジメは状況を確認する。
──残った五人のうち二人は素手、さっきナイフを落としたヤツらだ。残りの三人のうち二人はナイフを、あと一人はスタンガンを持ってる──
ハジメはさらに観察する。
──ナイフ持ちは、持ち慣れているけど使い慣れてない……、脅しに使うつもりか。となるとスタンガンはまだ来ない、まずはあたしを何とかしないといけないから。つまりまずはあたし狙い──
そこまで考えたところで、素手の二人が左右から同時に突っ込んできた。手のかたちから掴まえにきたと判断したハジメは、その寸前に一気にしゃがむように身体を低くしずめる。
突然目標を失った二人は一瞬止まる。
すかさずその隙をついて、殴りやすい左側からきた男に右斜下からのアッパーを叩き込み、すぐに左フックを右側の男の頬にぶちかます。
ほぼ同時に行われたその行為により、他からは襲いかかった男たちは勝手に倒れたように見えただろう。それほど素早い動きだった、
──あと三人──
汗ばんで肌に貼りつきはじめたシャツの袖口ボタンは普段から外してある。動きやすくするためだ。
ズボンもわずかにサイズ大きめを選んでいるから、動きをさまたげない。まだいけると思っていると、ふたたび主犯格から指示がとぶ。
「相手は女だ、ひんむいてやればそんだけで動けなくなる」
それを聞いた途端、残った男たちの目がニヤつく。劣勢ムードだったのが優位に戻った、そんな感じだった。
──くっ、これだから男は──
格闘家時代も警察官になっても、対峙する男たちはほぼ女の部分を狙ってくる。その度にハジメは恥ずかしさよりも怒りが沸き、それを原動力に叩きのめしてきた。
──返り討ちにしてやる──
じりじり近づいてくるナイフ持ちたちに意識を集中していると、思わぬ事態が起きる。スタンガン男が左からが直接夏生を狙って突っ込んできたのだ。
体当たりのように肩からくる男に、素早く前に立ちはだかり左膝蹴りを顔面に叩き込む。その時偶然なのか狙ってなのか分からないが、スタンガンがハジメのふくらはぎに触れてしまう。
「うあっ」
意識はとばなかったが、動きが止まってしまう。
チャンスとばかりにナイフ男のひとりが近づき、ハジメの襟元を掴んで一気に引きちぎる。
豊満な乳房を包んだ薄ピンクのブラジャーが露わになり、それを見てナイフ男は勝ち誇ったような顔をした。
巡査の無線呼びかけを背に聞きながら、ハジメは状況を確認する。
──残った五人のうち二人は素手、さっきナイフを落としたヤツらだ。残りの三人のうち二人はナイフを、あと一人はスタンガンを持ってる──
ハジメはさらに観察する。
──ナイフ持ちは、持ち慣れているけど使い慣れてない……、脅しに使うつもりか。となるとスタンガンはまだ来ない、まずはあたしを何とかしないといけないから。つまりまずはあたし狙い──
そこまで考えたところで、素手の二人が左右から同時に突っ込んできた。手のかたちから掴まえにきたと判断したハジメは、その寸前に一気にしゃがむように身体を低くしずめる。
突然目標を失った二人は一瞬止まる。
すかさずその隙をついて、殴りやすい左側からきた男に右斜下からのアッパーを叩き込み、すぐに左フックを右側の男の頬にぶちかます。
ほぼ同時に行われたその行為により、他からは襲いかかった男たちは勝手に倒れたように見えただろう。それほど素早い動きだった、
──あと三人──
汗ばんで肌に貼りつきはじめたシャツの袖口ボタンは普段から外してある。動きやすくするためだ。
ズボンもわずかにサイズ大きめを選んでいるから、動きをさまたげない。まだいけると思っていると、ふたたび主犯格から指示がとぶ。
「相手は女だ、ひんむいてやればそんだけで動けなくなる」
それを聞いた途端、残った男たちの目がニヤつく。劣勢ムードだったのが優位に戻った、そんな感じだった。
──くっ、これだから男は──
格闘家時代も警察官になっても、対峙する男たちはほぼ女の部分を狙ってくる。その度にハジメは恥ずかしさよりも怒りが沸き、それを原動力に叩きのめしてきた。
──返り討ちにしてやる──
じりじり近づいてくるナイフ持ちたちに意識を集中していると、思わぬ事態が起きる。スタンガン男が左からが直接夏生を狙って突っ込んできたのだ。
体当たりのように肩からくる男に、素早く前に立ちはだかり左膝蹴りを顔面に叩き込む。その時偶然なのか狙ってなのか分からないが、スタンガンがハジメのふくらはぎに触れてしまう。
「うあっ」
意識はとばなかったが、動きが止まってしまう。
チャンスとばかりにナイフ男のひとりが近づき、ハジメの襟元を掴んで一気に引きちぎる。
豊満な乳房を包んだ薄ピンクのブラジャーが露わになり、それを見てナイフ男は勝ち誇ったような顔をした。
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