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護衛対象はキケンな男の娘 短編

真相2

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 アイドル格闘家時代に、プロフィールは公開されていたので知られているのは仕方ないとしても、わざわざ聞かされるのはやはり嫌だった。

「御器所、少しは気を使え。そんなんだから女性たちに嫌われるんだぞ」

「別に構いませんけどねぇ」

上司の鶴舞課長のたしなめもどこ吹く風と聞き流す。
 ハジメはやっぱり嫌なヤツだなと思い、心の中にある[いつか投げ飛ばしてやるリスト]に御器所の名を連ねた。

「過去の実績や外見の特徴を知っても、人となりは知らないからどうつき合っていけば分からない。とりあえず任務をこなそうとしたところ、坊ちゃんに抱きつかれて吐くのを見てな、こりゃあ取り扱い注意かなと思って、二つの事を調べることにしたんだ」

「二つのこと?」

「ひとつは小山の事だ。さいわい元担任の北方先生に元同級生の葵先生がいたので、小山が坊ちゃんの警護をしているときに雑談で人となりを訊いた」

「あ」

ハジメは心当たりがあった。

「それと古巣の壱ノ宮署に仁義を通すついでに、同期のクロ…黒田誠吾警部補からも訊いた。結果、直情径行で純情、真面目で信頼できる人柄だと知った。まあ好人物だなと受けとったんだが、反面、隠し事が苦手だなとも思った」

御器所の言葉に両課長も小さく頷く。どうやら周りにそう思われているらしいとハジメも思った。

「そこまで調べたあと、学校に戻って校外で用心棒をしていた矢島と兄貴分に話をしてきた。兄貴分はそれなりにしっかり者だったが、ドジマ…矢島のことですが、どことなく緊張感が無い。なので突いてみました、もうひとつの調べ事である殺害予告を出したヤツに心当たりはないかと」

「それで知ったんだよな狂言だと」

鶴舞課長の言葉に御器所は頷く。

「そこまで調べた上で絵図を描きました。うまく状況を活かせば江分利組を潰すことができると。それを報告したのが月曜の夜です」

「たしかにな。そして体調不良で直帰した小山には、自分で話すから言わなくていいと、我々に言ったな」

「はい」

「どうして黙ってた」

「坊ちゃんに抱きつかれて吐くようなヤツに話せないでしょう。すぐに顔に出るし下手すれば狂言だろうと言ってしまいかねません。だからあえて騙され役をやってもらいました」

 頭に血がのぼったが、実際に拒否反応を出した手前、言い返せなかった。ハジメは自分の未熟さを悔やんだ。

「ですがまあ、状況が変わりましたからもう隠す必要も無くなりましたよ」

「どういうことだ」

「坊ちゃんが今日休むと連絡がありました」
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