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護衛対象はキケンな男の娘 短編

ようやく下校時間

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 校門で待つ怪しげな二人の男、頑張って一般的なスーツ姿のカタギになろうとしたが、醸し出す雰囲気はそうではない。
 あれが江分利組の若い衆だなとハジメは思った。

   校舎から校門までが本職の護衛の範囲、あと少しで腕に絡みつくこの軟弱少年が離れてくれる。
 そう念じながらハジメは我慢して歩く。
 早く離れて欲しいから足早なハジメに対して、いつまでもくっついていたい夏生は歩みが遅い──どころか止まる──どころか後退りする感じである。

 端からみれば、
やだー、もっと遊びたいー、帰るのやだー、
と言ってる子供を、
いい加減にしなさいもう帰るの、早く来なさい、
と言いながら連れ帰る母親のような感じである。

 拮抗──はしない。
 ハジメの方が背が高くチカラがある。さらに要所要所でうまく引っ張るので、どんどん校門に向かっていく。

「はいよ、警護はここまで。あとはこっちにに守ってもらいなさい」

「えーやだー、もっといるー」

「……あんた狙われているの分かってる? 全然怖がってないようにみえるんだけど」

 ハジメが覗き込むように顔を近づけると、目をそらしてそ知らぬ顔をして離れる。
 そしてそのままお迎えの方に行き校門から出てこちらに振り向いて手を振る。

「おねーさまー、また明日ねー」

 笑顔でそう言うと黒塗りのセダンに乗り込み、お迎えとともに帰っていった。
 ハジメはようやく緊張から解き放たれて、肩の力が抜ける。

「よ、お疲れさん」

「先輩、どこに行ってたんですか。探したんですよ」

 いつの間にかそばに来ていた御器所に、ハジメは噛みつくように言う。

「ちょっと呼ばれてな、県警本部かいしゃに戻ってた。詫びと言ってはなんだが、報告書はオレが書いておくから小山は直帰しな。体調不良ということにしておくから」

 へらへらとしている御器所に何か違和感を感じたが、実際に疲れていたので言われたとおりにした。

 先にクルマで帰る御器所を見送ったあと、しまったと思う。学校は交通の便が悪くてクルマでないと駅や街まで行けないのだ。

「葵ぃ、いる~?」

 職員室で書類を作成していた葵が顔を上げる。
 事情を話して駅まで送ってほしいと頼むと、もう少しでレポートができるからそれまで待ってと言われ、承諾した。

 じっと待っているのも何だなと思ったハジメは、恩師の北方に挨拶がてら夏生のことを聞き取る。

「──そうですか」

 ハジメが感じた違和感の正体を知り、顔をしかめた。

 その後、葵のスポーツカーで壱ノ宮駅まで送ってもらうと、電車で名古屋に帰る前に祖父母と古巣の壱ノ宮署に挨拶しておこうと思いそちらに向かう。
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