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第1部

その6

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企画部に戻ると、すぐに1課長に喚ばれた。

「昼休みに連絡があった、企画部は営業部に吸収される」

苦々しい顔で1課長は千秋をじろりと見る。お前のせいだろう、そう言いたげな顔だった。千秋は何も言い返せない。
隣のシマの2課長も無言のまま、こちらを見ている。1課長は大きく深呼吸をすると言葉を続けた。

「部長から話は聞いている、すべてはサトウのせいなのは知っている、君はただ降りかかる火の粉を払っただけなのもな。ただ、すまない、やはり割りきれない気持ちがある、それをわかって欲しい」

千秋は、すいませんでしたと頭を下げた。1課長は下がるように手を振る。
千秋は自分の席に向かうが、何割かの課員には、やはりにらまれていた。

席に戻るとメモがあり、引っ越しの準備の為に総務課で段ボール箱を受け取り、私物を入れておくようにとあった。
一色と塚本の分も要ると思い、確認しようと内線に手を伸ばしかけたが、躊躇してメールに変える。

一色くん、塚本さん、お疲れ様。
引っ越しの為に段ボール取ってくるけど、それぞれ幾つ必要ですか。

佐野

メールを打ち終わると、総務課に向かった。居づらい。終業時間まで何処かに行きたい。そんな気持ちになってきた。

総務課に向かう途中、返信が来た。

主任、お疲れ様です。
塚本さんも僕もひとつ分でよろしいです、机に置いといていただけますか、空いた時間にやります。

一色

なんていうことのない文なのだが、今の千秋には、つっけんどんな感じに受け取ってしまう。傷つきやすい時は何気無い言葉すら傷つく。

総務課に着くと所属と名前を言い、3つの段ボール箱を頼むと、課員から無言で受け取った。
おそらく年度末の忙しさでピリピリしているから、そんな対応だったのだろうが、千秋には総務課にも嫌われているのかと受け取ってしまう。

たたまれた段ボール箱を小わきに抱え、うつむきながら戻り道を歩いていると、声をかけられた。

「ん、佐野くんじゃないか。どうしたんだい」

顔をあげると見知った人がいる。

「お疲れ様です、郷常務。こんなところで何をしているんですか」

「それはこちらのセリフだよ、と言いたいところだけど、段ボール箱を持っているところをみると、総務課の帰りというところかな」

「私のせいで色々迷惑をかけてすいませんでした」

しおらしい千秋をみて、郷は少し話をしようかとロビーに誘った。
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