128 / 322
第1部
その3
しおりを挟む
次々と起こる出来事に、皆が状況把握できずにいた。
何をどうしたらこの事態を収拾できるのか、分からずに沈黙しているこの状況の中、一色が口を開く。
「……つまりチーフは、このニュースを伝えるために、急いで来たという訳ですか」
「ええそうよ。この事実を知らずに、もし群春さんと契約していたら、森友さんに多大な迷惑がかかるかも知れないからね」
「そのために急がれた訳ですか。少々行き過ぎな気もしますが、こちらは御礼を言うべきなのでしょうね」
千秋の言葉を芝原が拾う。そして一色が言葉を続ける。
「という事は群春さん、先程の価格は大丈夫なんですか。ご自身で事実確認した上での、商品を確認した上での価格なのですか」
その言葉に群春側は、うっ、とした顔になる。一色は未確認なのを確信した。芝原もだ。
「課長、群春さんのプレゼン内容は、どうやら怪しくなってきましたが、如何いたしましょう」
芝原の言葉に、森友の課長も顔色が悪くなってきたが、ここは返事をしないといけない場面だ。全員の視線が課長に集まった。
「うっ」
突然、課長が胸を抑えて机に突っ伏した。
「課長、課長、」
隣に座っていた係長が声をかける。
「す、すまない、胸が苦しくなってきた。わ、私は医務室に行ってくるから、後の事は係長、君に任せる」
そう言うと、よろよろと立ち上がり部屋を出て行こうとする。突然、決定権を与えられた係長はあたふたするが、立ち上がり課長について部屋を出て行こうとする。
「係長」
「課長が心配なので、私が付き添っていく。後の事は芝原くん、君に任せる」
「僕がですか」
「し、心配するな、どどどどんな結論が出ても、わわわ私が、せせせせせ、責任をとととととるかかかららら」
人生の一大決心を、踏ん切り悪く覚悟したような言葉を残し、係長は課長を支えながら医務室に向かった。
残された6人のうち5人は、芝原を見つめる。芝原はふうとひと息つくと、全員に席に着くように促した。
「さて、慌ただしいコンペとなりましたが、もう終わりにしましょう。聞いての通り最終的な決定は私がする事になりました。双方他に言うことはありませんか」
千秋達も群春側も沈黙のまま頷いた。
「では結論を言います。エクセリオンさんは担当者の遅刻、価格の変更無し、持ってくると言われた付加価値の提示無し、尚且つ当社の警備員に乱暴を働くような行為をされました」
芝原はじろりと千秋達を見る。
何をどうしたらこの事態を収拾できるのか、分からずに沈黙しているこの状況の中、一色が口を開く。
「……つまりチーフは、このニュースを伝えるために、急いで来たという訳ですか」
「ええそうよ。この事実を知らずに、もし群春さんと契約していたら、森友さんに多大な迷惑がかかるかも知れないからね」
「そのために急がれた訳ですか。少々行き過ぎな気もしますが、こちらは御礼を言うべきなのでしょうね」
千秋の言葉を芝原が拾う。そして一色が言葉を続ける。
「という事は群春さん、先程の価格は大丈夫なんですか。ご自身で事実確認した上での、商品を確認した上での価格なのですか」
その言葉に群春側は、うっ、とした顔になる。一色は未確認なのを確信した。芝原もだ。
「課長、群春さんのプレゼン内容は、どうやら怪しくなってきましたが、如何いたしましょう」
芝原の言葉に、森友の課長も顔色が悪くなってきたが、ここは返事をしないといけない場面だ。全員の視線が課長に集まった。
「うっ」
突然、課長が胸を抑えて机に突っ伏した。
「課長、課長、」
隣に座っていた係長が声をかける。
「す、すまない、胸が苦しくなってきた。わ、私は医務室に行ってくるから、後の事は係長、君に任せる」
そう言うと、よろよろと立ち上がり部屋を出て行こうとする。突然、決定権を与えられた係長はあたふたするが、立ち上がり課長について部屋を出て行こうとする。
「係長」
「課長が心配なので、私が付き添っていく。後の事は芝原くん、君に任せる」
「僕がですか」
「し、心配するな、どどどどんな結論が出ても、わわわ私が、せせせせせ、責任をとととととるかかかららら」
人生の一大決心を、踏ん切り悪く覚悟したような言葉を残し、係長は課長を支えながら医務室に向かった。
残された6人のうち5人は、芝原を見つめる。芝原はふうとひと息つくと、全員に席に着くように促した。
「さて、慌ただしいコンペとなりましたが、もう終わりにしましょう。聞いての通り最終的な決定は私がする事になりました。双方他に言うことはありませんか」
千秋達も群春側も沈黙のまま頷いた。
「では結論を言います。エクセリオンさんは担当者の遅刻、価格の変更無し、持ってくると言われた付加価値の提示無し、尚且つ当社の警備員に乱暴を働くような行為をされました」
芝原はじろりと千秋達を見る。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
家に帰ると夫が不倫していたので、両家の家族を呼んで大復讐をしたいと思います。
春木ハル
恋愛
私は夫と共働きで生活している人間なのですが、出張から帰ると夫が不倫の痕跡を残したまま寝ていました。
それに腹が立った私は法律で定められている罰なんかじゃ物足りず、自分自身でも復讐をすることにしました。その結果、思っていた通りの修羅場に…。その時のお話を聞いてください。
にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる