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悠也、欠席の真相 1
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「おかあさーん。おばあちゃんち、雪すごい積もってるんだよ。お父さんとかまくら作って、雪だるまも作ったんだよ」
「えええっ?そ、そうなの。
「うん、すごい楽しかったよ」
豊は出不精で家族サービスを面倒臭がる性分の上に人混み嫌いだ。独身の頃は一人旅によく行っていた記憶があるので一種の詐欺ではないかと冗談混じりに抗議したら、「行きたい所にはもう大概行ってしまったので」と返され、それはそれでイラついた。
四人家族の現在、年に一度の家族旅行代わりに出かける先が私の実家で、豊の実家に出かけるのがたまの家族イベント代わりになってしまっている。
同じクラスの子の中には毎年海外旅行に行くとか、キャンピングカーで百名山登頂を目指しているなど色々な家があるようなのだが、我が家の経済規模や将来かかる教育費などを考えると、そのくらいが妥当だとは思っている。
それでもせっかく豊の実家の近くに町営の温泉やキャンプ場兼スキー場があるのでと日帰りで出かけた事がある。もちろん子どもは大喜びだったのだが、豊は「疲れた」「何でわざわざ」「帰りたい」とぶつぶつ苦情を言い続けるだけだったので懲りて、休日は私一人で子ども二人を近場の公園や地域のイベントなどで連れて行き、安上がりに気晴らしをさせることが多かった。
小学校に入った颯也がサッカーをやりたいと言い出し、私が送迎とつき添いの当番をやるという条件でスポーツ少年団のサッカークラブに入れた。
下の子を連れて当番に参加する家もあるから、悠也の方も運動公園のような場所に半日程度なら一緒に連れて行けるのだが、車の座席に余裕が無かったり飽きて脱走されてしまいそうな時は豊に託して家に置いていかなければならない。泊まりがけで実家に行ってくれるのはまだいい方で、日がな一日ビデオに子守りをさせて自分はゴロゴロしている。
なので、ちょっとーーいやかなり意外で驚いた。
「そう。かまくら作ったの、すごいね。写真ある?」
「うん、お父さんが携帯で撮ってくれた。お祖母ちゃんと一緒に夕ご飯作って食べて、今からお家帰るんだよ」
「よかったね。じゃあ明日は学校行けるね」
「うん」
まあ、こういうのもたまにはいいのか……
「お母さん、二日に帰って来るんだよね」
「う、うん」
悠也は「ににち」と発音した。
いつの間にか一月が終わり、ついこないだ明けたばかりだと思った新年も十二分の一が過ぎていた。
「そのことなんだけど、お祖母ちゃんに代わってくれる?」
電話を代わった義母は
「静ちゃん、お疲れ様。お祖母ちゃんは残念だったけど安心してるだんべ」
と労ってくれた。
私の祖母といっても七十代の義母とは十五歳違いくらいで、よくお互いを気にかけていた。
健在だった時の義母もよく「あっちのお義母さんどうぁ、まぁだ元気でさるが、稼いでだが」などと聞いてきたし、義母は義母で事あるごとに「お祖母ちゃんは元気か」「よろしく伝えてくれ」と言っていた。お互い会ったことがあるのは十年以上前の私と豊の結婚式の時だけなのだが、僻地に近いような地方の農家の嫁どうし何か共感できるものがあったのだろう。
「えええっ?そ、そうなの。
「うん、すごい楽しかったよ」
豊は出不精で家族サービスを面倒臭がる性分の上に人混み嫌いだ。独身の頃は一人旅によく行っていた記憶があるので一種の詐欺ではないかと冗談混じりに抗議したら、「行きたい所にはもう大概行ってしまったので」と返され、それはそれでイラついた。
四人家族の現在、年に一度の家族旅行代わりに出かける先が私の実家で、豊の実家に出かけるのがたまの家族イベント代わりになってしまっている。
同じクラスの子の中には毎年海外旅行に行くとか、キャンピングカーで百名山登頂を目指しているなど色々な家があるようなのだが、我が家の経済規模や将来かかる教育費などを考えると、そのくらいが妥当だとは思っている。
それでもせっかく豊の実家の近くに町営の温泉やキャンプ場兼スキー場があるのでと日帰りで出かけた事がある。もちろん子どもは大喜びだったのだが、豊は「疲れた」「何でわざわざ」「帰りたい」とぶつぶつ苦情を言い続けるだけだったので懲りて、休日は私一人で子ども二人を近場の公園や地域のイベントなどで連れて行き、安上がりに気晴らしをさせることが多かった。
小学校に入った颯也がサッカーをやりたいと言い出し、私が送迎とつき添いの当番をやるという条件でスポーツ少年団のサッカークラブに入れた。
下の子を連れて当番に参加する家もあるから、悠也の方も運動公園のような場所に半日程度なら一緒に連れて行けるのだが、車の座席に余裕が無かったり飽きて脱走されてしまいそうな時は豊に託して家に置いていかなければならない。泊まりがけで実家に行ってくれるのはまだいい方で、日がな一日ビデオに子守りをさせて自分はゴロゴロしている。
なので、ちょっとーーいやかなり意外で驚いた。
「そう。かまくら作ったの、すごいね。写真ある?」
「うん、お父さんが携帯で撮ってくれた。お祖母ちゃんと一緒に夕ご飯作って食べて、今からお家帰るんだよ」
「よかったね。じゃあ明日は学校行けるね」
「うん」
まあ、こういうのもたまにはいいのか……
「お母さん、二日に帰って来るんだよね」
「う、うん」
悠也は「ににち」と発音した。
いつの間にか一月が終わり、ついこないだ明けたばかりだと思った新年も十二分の一が過ぎていた。
「そのことなんだけど、お祖母ちゃんに代わってくれる?」
電話を代わった義母は
「静ちゃん、お疲れ様。お祖母ちゃんは残念だったけど安心してるだんべ」
と労ってくれた。
私の祖母といっても七十代の義母とは十五歳違いくらいで、よくお互いを気にかけていた。
健在だった時の義母もよく「あっちのお義母さんどうぁ、まぁだ元気でさるが、稼いでだが」などと聞いてきたし、義母は義母で事あるごとに「お祖母ちゃんは元気か」「よろしく伝えてくれ」と言っていた。お互い会ったことがあるのは十年以上前の私と豊の結婚式の時だけなのだが、僻地に近いような地方の農家の嫁どうし何か共感できるものがあったのだろう。
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