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葬式行列 4〜シニアに冬登山はお勧めできない〜
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「すみません。チェーン巻きますので少しお待ちください」
畑中君は諦めて直線路まで後退して車を停め、後ろを振り返って申し訳なさそうに頭を下げた。周囲のおば達から安堵のため息が漏れた。
父は「いい、いい。ここで降りて歩くべえ」と答えた。
「お婆さんが『楽しねえで歩け』つってんだべ。とにかく昔風の好きな人だったもの」
一行が苦笑しながら下車すると、葬儀の間止んでいた雪が再びちらつき始めた。
改めて葬列の順番通りに並び直し、「気いつけて」「滑らないように」とお互いに声を掛け合いながらえっちらおっちらと登っていく。
墓地への進入路はたかだか数十メートルほどの舗装された車道だが、急な坂は凍った雪に覆われている。足腰が特別悪い人はいなそうだが、それなりに高齢な母の一番上の兄と姉が手ぶらで後ろの方にいる。付き添いの従兄が伯父を支え、畑中君は伯母に手を貸しながら、自分が悪いわけでもないのにしきりに謝っていた。
進入路の急坂を登りきると猫の額ほどの平らな駐車場に出る。ご住職達は晃夫の車で先に到着していた。SUV車に大人三人分の重量なので、スタッドレスタイヤでもちゃんと登ってこれたようだ。ご住職達は上着も着ずに合掌で葬列を出迎えた。
入り口から実家の墓までの雪かきは昨日父と晃夫と颯也が済ませてくれてある。雪遊びの延長だと思って張り切って出かけた颯也もさすがにげんなりして帰ってきた。
家の墓のある場所まで登るのに夏なら一分もかからないが、山の斜面を切り拓いた墓地なので、崖とまではいわないが勾配の角度だけならさっきの進入路の倍はありそうだ。
一番下の凍結した雪は掻ききれず、今朝の雪がその上に積もっているので危ない。
手前に共同墓地建立記念の石碑と、大きな赤松とが建っている。
急峻なリアス式海岸特有の、海からすぐに山地が続く地形のお陰で天気のいい日はここから故郷の町が一望できてその向こうには海が見えるのだが、今日は一面が灰色に曇っていて何も見えない。
「すみません。チェーン巻きますので少しお待ちください」
畑中君は諦めて直線路まで後退して車を停め、後ろを振り返って申し訳なさそうに頭を下げた。周囲のおば達から安堵のため息が漏れた。
父は「いい、いい。ここで降りて歩くべえ」と答えた。
「お婆さんが『楽しねえで歩け』つってんだべ。とにかく昔風の好きな人だったもの」
一行が苦笑しながら下車すると、葬儀の間止んでいた雪が再びちらつき始めた。
車外に出て改めて葬列の順番通りに並び直し、「気いつけて」「滑らないように」とお互いに声を掛け合いながらえっちらおっちらと登っていく。順番はあっという間に崩れたが、とにかく安全優先だ。
墓地への進入路はたかだか数十メートルほどの舗装された車道だが、急な坂は凍った雪に覆われている。足腰が特別悪い人はいなそうだが、最高齢の伯父は追い越して行く面々に気遣われながら「大丈夫、大丈夫」と言ってゆっくり登っていく。畑中君は長姉の伯母に手を貸しながら、自分が悪いわけでもないのにしきりに謝っていた。
畑中君は諦めて直線路まで後退して車を停め、後ろを振り返って申し訳なさそうに頭を下げた。周囲のおば達から安堵のため息が漏れた。
父は「いい、いい。ここで降りて歩くべえ」と答えた。
「お婆さんが『楽しねえで歩け』つってんだべ。とにかく昔風の好きな人だったもの」
一行が苦笑しながら下車すると、葬儀の間止んでいた雪が再びちらつき始めた。
改めて葬列の順番通りに並び直し、「気いつけて」「滑らないように」とお互いに声を掛け合いながらえっちらおっちらと登っていく。
墓地への進入路はたかだか数十メートルほどの舗装された車道だが、急な坂は凍った雪に覆われている。足腰が特別悪い人はいなそうだが、それなりに高齢な母の一番上の兄と姉が手ぶらで後ろの方にいる。付き添いの従兄が伯父を支え、畑中君は伯母に手を貸しながら、自分が悪いわけでもないのにしきりに謝っていた。
進入路の急坂を登りきると猫の額ほどの平らな駐車場に出る。ご住職達は晃夫の車で先に到着していた。SUV車に大人三人分の重量なので、スタッドレスタイヤでもちゃんと登ってこれたようだ。ご住職達は上着も着ずに合掌で葬列を出迎えた。
入り口から実家の墓までの雪かきは昨日父と晃夫と颯也が済ませてくれてある。雪遊びの延長だと思って張り切って出かけた颯也もさすがにげんなりして帰ってきた。
家の墓のある場所まで登るのに夏なら一分もかからないが、山の斜面を切り拓いた墓地なので、崖とまではいわないが勾配の角度だけならさっきの進入路の倍はありそうだ。
一番下の凍結した雪は掻ききれず、今朝の雪がその上に積もっているので危ない。
手前に共同墓地建立記念の石碑と、大きな赤松とが建っている。
急峻なリアス式海岸特有の、海からすぐに山地が続く地形のお陰で天気のいい日はここから故郷の町が一望できてその向こうには海が見えるのだが、今日は一面が灰色に曇っていて何も見えない。
「すみません。チェーン巻きますので少しお待ちください」
畑中君は諦めて直線路まで後退して車を停め、後ろを振り返って申し訳なさそうに頭を下げた。周囲のおば達から安堵のため息が漏れた。
父は「いい、いい。ここで降りて歩くべえ」と答えた。
「お婆さんが『楽しねえで歩け』つってんだべ。とにかく昔風の好きな人だったもの」
一行が苦笑しながら下車すると、葬儀の間止んでいた雪が再びちらつき始めた。
車外に出て改めて葬列の順番通りに並び直し、「気いつけて」「滑らないように」とお互いに声を掛け合いながらえっちらおっちらと登っていく。順番はあっという間に崩れたが、とにかく安全優先だ。
墓地への進入路はたかだか数十メートルほどの舗装された車道だが、急な坂は凍った雪に覆われている。足腰が特別悪い人はいなそうだが、最高齢の伯父は追い越して行く面々に気遣われながら「大丈夫、大丈夫」と言ってゆっくり登っていく。畑中君は長姉の伯母に手を貸しながら、自分が悪いわけでもないのにしきりに謝っていた。
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