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オモテナシの流しそうめんパフォーマンス!

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 社員達は童心に返って一仕事終えると惜しまれつつ小学校を後にした。チャーターしたバスで昼休憩のために青葉造園の広い外庭兼作業場に着いた。
 広い平場の脇には見本用の竹垣や柴垣が何種類か設けられ、母屋の庭との境となっている。
 離れと兼用の事務所に向かって反対側には、資材や苗木の積まれた作業小屋があり、真ん中の広いスペースには今日切り出した青竹が何本も積まれている。

 社員達が戻った時には先発組の職人達は既に作業を始め、竹の山を切ったり割ったり組んだりしていた。一方では見る間に樋が組み上がり、その手際の良さとチームワークに玄英も社員達も目を奪われる。
 もう一方の職人達は竹をどんどん輪切りにしてそれを椀だと言って各々に渡してくる。

「エクセレント!」

「ビューティフルでサスティナブルね!」

 玄英も職人達の作業を興味深く見守っていた。

 酷暑の季節を前にした今日のような日にちょうどよく流し素麺が振る舞われる。

 恒星が野外用のテーブルの上に汁の入った鍋、サラダや唐揚げ、西瓜や早生の梨などを並べた。事務のおばさん達による休日返上の力作である。

「今日もセルフサービスだからね。箸が苦手な人にはフォークとスプーンもあるよ!」

 古賀は流し素麺体験はあるらしく、恒星と一緒に食べ方を実演してみせる。

「お蕎麦やうどんは食べたことあるけど、これは初めて」

「箸にはずいぶん慣れたつもりなんだが、流れる麺をすくうのは難しいな」

 双方の社員がワイワイガヤガヤと入り混じり、お腹を満たす。D社の一同は恒三に客間に案内され、座敷や落ち縁で寝そべって休憩したり、数寄屋造りや庭の説明を受けながら自撮りを楽しんだりした後、午後は別な現場で樹齢百年を超える巨木の移植作業を見学した。

「本日は本当にありがとうございました」

 研修の日程が無事に終わり帰路に着く間際、両社の社員達は互いにすっかり打ち解けて別れを惜しみ、玄英は清武に心から礼を言った。
 わだかまりが消えたわけでは全くないが、全力での歓待への感謝と職人仕事の見事さへの敬意はまた別である。

「社員がすっかりビオトープを気に入りまして。うちの社屋に作ってみたいという声が出てます。屋上やベランダでは暑すぎて難しいでしょうか」

「そうですね。現地を見てみないと何とも言えませんが、熱帯原産で扱いの簡単なものならいけるかもしれません」

「日本原産のものでなくていいんですか」

 清武にしては珍しく可笑しそうな笑みを浮かべた。

「今日のは環境教育の教材だから厳密にやりましたが、ケースバイケースです。閉じた場所で鑑賞用に作るんなら、そう難しく考えなくても大丈夫ですよ。毎年新しい品種も出てますし」

「ずいぶん柔軟性あるんですね」せっかくならビジネスにしたらいいのに」

「ビジネス、とは?」

 清武が困惑したように眉根を寄せた。

「SDGsと癒し。商品の工夫と宣伝の仕方によっては御社の目玉商品としてバズりますよ。何ならうちの社が一枚噛んでもいい」

「遠山社長が……俺と仕事を?」

 清武はますます戸惑った様子で表情を歪めた。
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