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朝ごはん
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雨の音で目が覚める。
今日は一日中雨が降るだろうな。
なんとなく匂いでそう思った。
洗濯物はしょうがないから明日。
ベットを探ると、アルがまだ居た。
早く起きすぎたのかと思い秒針が剥き出しの時計に触れる。
今は朝の5時、いつもより早いみたいだ。
僕が起きる前にアルは朝ごはんを作ってそれから僕を起こす。
アルより早く起きたから、今日は僕が朝ごはんを作ろう。
まあ、作ると言っても両親が置いていった魔法の調理器具の頼るんだけど。
ベットの縁に手を合わせ、足を下ろして立ち上がった。
壁をつたって歩き、ドアを開ける。
ベルがいつものように鳴って、アルが起きてこないか心配だったけど布の音すらしなかったからきっと大丈夫。
寝室から10歩、歩いたところがリビング。
壁に彫ってある木の模様でも確認。
木彫りの縁に指がついたら、ドアがすぐ隣にある。
ドアノブは木彫りの位置と同じ高さ。
リンッ____。
リビングからのドアから右へ壁をつたって壁の角まで行く。
角を曲がった少し先にある木彫りの出っ張りがキッチンの入り口の印。
アルがいなかった時は一人で料理出来てたから朝ごはんも作れるはず.......。
食料が入ってる棚が一番奥にある。
一段目にはバゲットと卵が入った籠が入っている。
バターはこないだ無くなったってアルが教えてくれたから今度街に買いに行かないと。
バゲットはオリーブオイルで焼いて、卵は目玉焼きでいいか。
裏庭の畑に何かあればサラダとスープが作れる。
雨の音が弱まってきてるから、今のうちに行こう。
裏口から庭に出ると、昨日の鳥が話しかけてきた。
『今日はあいついないのか?』
「まだ寝てるよ。ねぇ、よかったら手伝ってくれない?」
『ヤダね』
「畑の野菜なんだけど、収穫出来そうなの教えて」
『後でパンよこせよ』
「もちろん」
アルがいない時からパンを交換条件に手伝ってくれる鳥。
どんな鳥なのか今まで知らなかったけどアルが教えてくれた。
声が綺麗な優しい鳥さんだ。
畑には横一列ずつにベルがついている。
縦には木の杭が打ってあって、どの列か言ってもらえれば収穫出来る。
今日、採れたのはトマトとラディッシュとアスパラ。
キッチンに野菜を置いて、バゲットを千切り鳥さんにあげる。
「はい、どうぞ」
『次は無いからな』
毎回、言うのだがアルがいない日はいつも手伝ってくれる天邪鬼な鳥さんだ。
キッチンに戻り、料理を再開する。
トマトを鍋に入れ潰す。
アスパラもいい感じに折って鍋に入れる。
アルは包丁を何処かに隠していて、アルがいる時にしか使えない。
包丁があればベーコンも切れたのに。
魔法の鍋だから、火にかけなくても呪文を言うと温まる。
カップを取り出し、水を3杯、鍋に入れ呪文を唱えて出来上がるのを待つ。
目玉焼きは、
ゴンッ_____!
「え?」
何かすごい音がした。
近くじゃないけど、なんだろう。
ドタッ__バタバタッ___。
アル?
なんかあったのかな?
「アルー?」
リンッ____。
リビングのドアのベルの音。
「アル?どうしたの?なんかあった?」
足音は静かになって、ゆっくり歩く音が聞こえる。
「アル?」
近くで床の軋む音が聞こえたから、側にいるはずだ。
卵を置いて、手を差し出す。
「へレーネ」
「うん?どうしたの?」
手に触れ、ゆっくりと抱きしめられる。
何がなんだか分からない。
「怖い夢でも見た?」
「へレーネ」
「ここにいるよ。どうしたの?」
しばらくしてアルは手に文字を書き始めた。
『起きたらいないから、何処かに行ってしまったかと思った』
「心配させちゃった?ごめんね」
『いなくならないで』
こっちのセリフだよ。
全然帰ってこないし、帰ってきたと思ったら、変なのになってるし。
「大丈夫だよ」
ずっと、側にいてね。
今日は一日中雨が降るだろうな。
なんとなく匂いでそう思った。
洗濯物はしょうがないから明日。
ベットを探ると、アルがまだ居た。
早く起きすぎたのかと思い秒針が剥き出しの時計に触れる。
今は朝の5時、いつもより早いみたいだ。
僕が起きる前にアルは朝ごはんを作ってそれから僕を起こす。
アルより早く起きたから、今日は僕が朝ごはんを作ろう。
まあ、作ると言っても両親が置いていった魔法の調理器具の頼るんだけど。
ベットの縁に手を合わせ、足を下ろして立ち上がった。
壁をつたって歩き、ドアを開ける。
ベルがいつものように鳴って、アルが起きてこないか心配だったけど布の音すらしなかったからきっと大丈夫。
寝室から10歩、歩いたところがリビング。
壁に彫ってある木の模様でも確認。
木彫りの縁に指がついたら、ドアがすぐ隣にある。
ドアノブは木彫りの位置と同じ高さ。
リンッ____。
リビングからのドアから右へ壁をつたって壁の角まで行く。
角を曲がった少し先にある木彫りの出っ張りがキッチンの入り口の印。
アルがいなかった時は一人で料理出来てたから朝ごはんも作れるはず.......。
食料が入ってる棚が一番奥にある。
一段目にはバゲットと卵が入った籠が入っている。
バターはこないだ無くなったってアルが教えてくれたから今度街に買いに行かないと。
バゲットはオリーブオイルで焼いて、卵は目玉焼きでいいか。
裏庭の畑に何かあればサラダとスープが作れる。
雨の音が弱まってきてるから、今のうちに行こう。
裏口から庭に出ると、昨日の鳥が話しかけてきた。
『今日はあいついないのか?』
「まだ寝てるよ。ねぇ、よかったら手伝ってくれない?」
『ヤダね』
「畑の野菜なんだけど、収穫出来そうなの教えて」
『後でパンよこせよ』
「もちろん」
アルがいない時からパンを交換条件に手伝ってくれる鳥。
どんな鳥なのか今まで知らなかったけどアルが教えてくれた。
声が綺麗な優しい鳥さんだ。
畑には横一列ずつにベルがついている。
縦には木の杭が打ってあって、どの列か言ってもらえれば収穫出来る。
今日、採れたのはトマトとラディッシュとアスパラ。
キッチンに野菜を置いて、バゲットを千切り鳥さんにあげる。
「はい、どうぞ」
『次は無いからな』
毎回、言うのだがアルがいない日はいつも手伝ってくれる天邪鬼な鳥さんだ。
キッチンに戻り、料理を再開する。
トマトを鍋に入れ潰す。
アスパラもいい感じに折って鍋に入れる。
アルは包丁を何処かに隠していて、アルがいる時にしか使えない。
包丁があればベーコンも切れたのに。
魔法の鍋だから、火にかけなくても呪文を言うと温まる。
カップを取り出し、水を3杯、鍋に入れ呪文を唱えて出来上がるのを待つ。
目玉焼きは、
ゴンッ_____!
「え?」
何かすごい音がした。
近くじゃないけど、なんだろう。
ドタッ__バタバタッ___。
アル?
なんかあったのかな?
「アルー?」
リンッ____。
リビングのドアのベルの音。
「アル?どうしたの?なんかあった?」
足音は静かになって、ゆっくり歩く音が聞こえる。
「アル?」
近くで床の軋む音が聞こえたから、側にいるはずだ。
卵を置いて、手を差し出す。
「へレーネ」
「うん?どうしたの?」
手に触れ、ゆっくりと抱きしめられる。
何がなんだか分からない。
「怖い夢でも見た?」
「へレーネ」
「ここにいるよ。どうしたの?」
しばらくしてアルは手に文字を書き始めた。
『起きたらいないから、何処かに行ってしまったかと思った』
「心配させちゃった?ごめんね」
『いなくならないで』
こっちのセリフだよ。
全然帰ってこないし、帰ってきたと思ったら、変なのになってるし。
「大丈夫だよ」
ずっと、側にいてね。
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