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ヒロインを助けるのは、ダレ?

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 微かな風が吹けばポキリと折れてしまいそうに細く華奢なアンクレットが出来、ゆうみの足首を飾り、玉子は満足げに口の端を上げるが、ゆうみの唇が小さく震えた瞬間、どす黒い塊がおぞましい呻き声と共に立ち上がった。そう、ゆうみの口の中から。

 それは大小、丸、四角、放射線ーー様々な形に姿をめまぐるしく変化させ、やがて禍々しい光が二つーーまるで眼のようなーー顕れた。

 その眼から矢のような物が放たれ玉子に真っ直ぐ向かうが、間一髪でかわす。靡いたプラチナブロンドの先が僅かに焼け、その鼻をつく臭いに玉子は眉をしかめる。


「自慢の髪なのになあ」



 玉子は体勢を立て直しながら、黒の塊に向かって両手を降り下ろした。

 雪の結晶の形の六角形の光の粒子が無数に飛んでいき、塊に直撃すると、恐ろしい悲鳴をあげながら真っ赤に爛れ、アメーバのように崩れ、床にボトリと落ちる。






 やったかーー?

 玉子はとどめを刺すべく、ミッドナイトブルーの瞳を細め、塊を踏み潰そうと歩み寄る。


「無駄無駄無駄……無駄だよ」


 背後からの声に振り向くと、横たわったまのゆうみが口以外全く動かさずに喋っている。ゆうみの声だが、ゆうみの意思で喋っているのではない事が直ぐに分かった玉子は舌打ちした。


「お前は何なんだ?何処から来た?ゆうみに取り憑いて何をするつもりだ?一体何をしたいんだ?」

「くくく……そんなにいっぺんに質問されてもねえ」

「答えろ!」


 いつもの柔和な表情を一変させ、玉子が怒気を孕んだ声で問い詰めるが、返ってくるのは小馬鹿にしたような笑い声だ。

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