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いやいや、ゆうみは僕の物だから。~by玉子
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しおりを挟む「ぶへっ」
中へ入るなり、ゆうみの口の中にワサワサした物が入ってきた。
「やあ、ゆうみ」
「――!――!」
この部屋のドアを見たときに嫌な予感はしていたが、やはり当たってしまった。
目の前に、赤、ピンク、黄色に白の薔薇のブーケを持った玉子が美しいミッドナイトブルーの瞳を細め佇んでいた。
花はともかく、何故に口の中へ突っ込んで来るのか意味が分からない。
「ミニ薔薇の花束だよ。
可愛いだろ?ゆうみに似合うよ」
「ふんぐ――っむぐ――」
「ふふ……これをどけろって?」
「むん!むん!ひまふふほへほほんははい!」
玉子は、花びらのような唇の端を上げ、笑った。
(うっ……可愛い……)
悔しいが、やはり美形は美形だ。
ゆうみの胸の奥がキュンと音を立てた。
玉子は、そんなゆうみの心を見透かすかのように一層艶やかに笑い、鈴を転がす声で言う。
「……この薔薇ね、退けてあげてもいいけど……
ゆうみに又、あの呪文を唱えられたら困るしなあ……」
「ふぬ――!」
そうだ、玉子に用件があったのだ。
お客から電話が!
それに、さっきのファックスの事も注意しないと!
玉子は眉を少し上げて、頷いた。
「うんうん……電話ね、それは別に放って置いていいから」
「ぬぬぬぬ――!?あんな、ぬなめめんららいわほ!!あんらひほほをはめへふへしょ!!」
――いい加減にこの薔薇を退けてくれ!!
玉子が取ってくれないなら、いっそ喰うしか無いのかしら――
ゆうみはニコニコ笑う玉子に殺意を覚えながら睨んだ。
「うんうん。
……そんな電話なんかいいから私とエッチしましょ……
て言った?」
「ぬば――!ひひゃう!!」
どこをどうしたらそうなるのだ。
――あんた、仕事をなめんじゃないわよ、と怒ったのに!!
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