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第5章 内戦編
第69話 ギルドのお手伝いをしますわ!
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お父様とお母様が去った後、私はしばらくその扉を見つめていた。
ウイリアム皇太子に逆らい没落した父が、再び領主に戻ることは現実的に不可能だろう。
それはわかる。
ただ私は、お母様たちにずっと近くにいて欲しかったのだ。
私の心にぽっかりと大きな穴が空いた気がした。
でもこんなところで立ち止まっていられないわ。
内戦が長引けば長引く程、みんなが疲弊していくのよ。
「メリー様、我々はどう動きましょう?登録している冒険者なら動かすこともできますよ。」
ギルド長が私に話しかけていたようだが、私は自分の頭を整理することに夢中。
全く話を聞いてはいない。
まずは、パラデュール伯爵をどうやって追い返すかね。
それが達成されないと先へは進めないわ。
その後、領地を経営するために爵位をいただかなきゃね。
でも一体だれに?どうやって?
「メリー様?あのー聞いてます?」
ギルド長は再度私に話しかけてくるが、知ったことではない。
マーサと、オットーは苦笑いをしながらフーッとため息をついた。
「パラデュール伯爵は月に1度は、町長との会合のためにモーリヤの街にいらっしゃいます。」
とオットー。あなたいつの間に彼のことを調べていたの?
「力を誇示するためか伯爵が街に来る際には、数十人の護衛の方を引き連れているようですね。街に入られると手を出せなくなりますが、街に向かう間なら狙い目かと。」
あなた危険なことをサラッと言うわね。
つまり、パラデュール伯爵が街に入る前に狙えっていうのね。
でも護衛もいるんでしょ?そう簡単に捕まってはくれないはしないわ。
「そこでお嬢様の魔法です。
お嬢様が魔法トーナメントで見せた土魔法で、護衛とパラデュール伯爵を分断するんです。
私の魔法力はそこまで大きくないわよ。分断なんてできないわ。
「お嬢様、マカロンの力お忘れですか?
マカロンの力でお嬢様の魔力を増大させるんです。
そうすれば、比較的楽にパラデュール伯爵を捕えることが出来るでしょう。
捕えたらこっちのものですよ。私たちには【拷問の申し子】のマーサがいます。
一度彼女に関わったら、決して逆らうことなんて出来なくなりますよ。」
マーサは二コリと笑う。
その笑顔の裏に一体どれほどの悪魔が潜んでいるのだろう?
「ギルドは領主拉致には加担は出来ないですが、見張りをつけることくらいは出来ると思います。」
「それでいきましょう。
まずはパラデュール伯爵と対話の機会(拉致)を持たなきゃいけませんわ。
まごころを込めてもてなし(監禁)、誠心誠意お願い(脅迫)すればきっとわかってもらえると思いますの。
彼も悪い人じゃないはずだわ(極悪人)。」
・・・・・・・・・・・
私はパラデュール伯爵が現れるまでは、ギルドで寝泊まりすることになった。
ただで寝泊まりするのは申し訳ないので、午前中はギルドの手伝いをし、午後からは街に出て情報収集を行った。
ギルドの手伝いでは、受付嬢をすることになった。
冒険者たちのクラスに応じたクエストを斡旋。依頼者のクエスト内容を伝えたうえで、報酬の額を提示する。
クエスト終了後も、戦利品やクエストの達成状況を吟味する。
もちろん、こんな難しいタスクはすぐに出来るわけはない。
私の隣に元ベテラン受付嬢が付き、私の補佐をしてくれるのだ。
もちろんこのような状況に置いても、私の悪役令嬢語が敏感に反応する。
むしろこのような状況にこそ、生き生きと反応するのだ。
「はっ、あなたたちがこのクエストをお受けになられるですって!?ご自身たちの実力をご存じないのでしょうか?
はっきり申し上げますと、犬死にされるだけですわよ。」
「あなたソロでこのクエストをお受けになるおつもりですか?
無謀すぎて涙が溢れてきましたわ。
私の涙、お安くは無いですわよ?」
「あなた、私の目を節穴だとお思いですか?あなたの報酬提示額、一桁お間違えですわ。
この程度の活躍で増長なさらないで頂けませんか?」
他の受付嬢が言いにくいことでも、悪役令嬢語はすぱっと言ってのけるのだ。
辛辣な私の言葉だが、意外と受けがいい。
私の悪役令嬢後の後に、周りから拍手まで起こる始末だ。
ストレートな物言いが、逆にスタッフにも冒険者たちにもズバッと突き刺さる。
いつの間にか、私のいるカウンターに大勢の行列ができるようになっていった。
そして午後は街での情報収集だ。
パラデュール伯爵が街に訪れる前に出来るだけ情報を集めておきたい。
パラデュール伯爵の悪政ぶりは街中の至る所から聞こえて来た。
「あの伯爵がこの領地に来てから、ずいぶんと様子が変わった。
税金が倍増したおかげで、多くの商人たちが街から出てしまった。
そのため、日常品すら不足し物価が高騰。
私たちも生活を切り詰めなければ、やっていけないんです。」
「はぁ、パラデュール伯爵?あんな奴はクズだ。
税を払えない街の人に、金を貸してはくれるがその利息がえげつねぇ。
借金が払えなくなると、容赦なく家財一式を売っぱらい、借金のカタにそいつらを奴隷として売るって言うぜ。
おっと、こんなこと誰にも言うなよ。俺も売られちまうからな。」
「パラデュール伯爵には屈強な護衛がついています。
特に護衛頭のポナパルトは元々、ウイリアム殿下の親衛隊の一人。
その粗暴な行いが元で、解雇されたところを伯爵が採用したんです。
パラデュール伯爵が今の地位を得たのも、彼が対立したいた者たちを全て打倒していたからだと噂されていますね。」
どうやら、パラデュール伯爵の拉致監禁。一筋縄ではいかなそうだ。
ウイリアム皇太子に逆らい没落した父が、再び領主に戻ることは現実的に不可能だろう。
それはわかる。
ただ私は、お母様たちにずっと近くにいて欲しかったのだ。
私の心にぽっかりと大きな穴が空いた気がした。
でもこんなところで立ち止まっていられないわ。
内戦が長引けば長引く程、みんなが疲弊していくのよ。
「メリー様、我々はどう動きましょう?登録している冒険者なら動かすこともできますよ。」
ギルド長が私に話しかけていたようだが、私は自分の頭を整理することに夢中。
全く話を聞いてはいない。
まずは、パラデュール伯爵をどうやって追い返すかね。
それが達成されないと先へは進めないわ。
その後、領地を経営するために爵位をいただかなきゃね。
でも一体だれに?どうやって?
「メリー様?あのー聞いてます?」
ギルド長は再度私に話しかけてくるが、知ったことではない。
マーサと、オットーは苦笑いをしながらフーッとため息をついた。
「パラデュール伯爵は月に1度は、町長との会合のためにモーリヤの街にいらっしゃいます。」
とオットー。あなたいつの間に彼のことを調べていたの?
「力を誇示するためか伯爵が街に来る際には、数十人の護衛の方を引き連れているようですね。街に入られると手を出せなくなりますが、街に向かう間なら狙い目かと。」
あなた危険なことをサラッと言うわね。
つまり、パラデュール伯爵が街に入る前に狙えっていうのね。
でも護衛もいるんでしょ?そう簡単に捕まってはくれないはしないわ。
「そこでお嬢様の魔法です。
お嬢様が魔法トーナメントで見せた土魔法で、護衛とパラデュール伯爵を分断するんです。
私の魔法力はそこまで大きくないわよ。分断なんてできないわ。
「お嬢様、マカロンの力お忘れですか?
マカロンの力でお嬢様の魔力を増大させるんです。
そうすれば、比較的楽にパラデュール伯爵を捕えることが出来るでしょう。
捕えたらこっちのものですよ。私たちには【拷問の申し子】のマーサがいます。
一度彼女に関わったら、決して逆らうことなんて出来なくなりますよ。」
マーサは二コリと笑う。
その笑顔の裏に一体どれほどの悪魔が潜んでいるのだろう?
「ギルドは領主拉致には加担は出来ないですが、見張りをつけることくらいは出来ると思います。」
「それでいきましょう。
まずはパラデュール伯爵と対話の機会(拉致)を持たなきゃいけませんわ。
まごころを込めてもてなし(監禁)、誠心誠意お願い(脅迫)すればきっとわかってもらえると思いますの。
彼も悪い人じゃないはずだわ(極悪人)。」
・・・・・・・・・・・
私はパラデュール伯爵が現れるまでは、ギルドで寝泊まりすることになった。
ただで寝泊まりするのは申し訳ないので、午前中はギルドの手伝いをし、午後からは街に出て情報収集を行った。
ギルドの手伝いでは、受付嬢をすることになった。
冒険者たちのクラスに応じたクエストを斡旋。依頼者のクエスト内容を伝えたうえで、報酬の額を提示する。
クエスト終了後も、戦利品やクエストの達成状況を吟味する。
もちろん、こんな難しいタスクはすぐに出来るわけはない。
私の隣に元ベテラン受付嬢が付き、私の補佐をしてくれるのだ。
もちろんこのような状況に置いても、私の悪役令嬢語が敏感に反応する。
むしろこのような状況にこそ、生き生きと反応するのだ。
「はっ、あなたたちがこのクエストをお受けになられるですって!?ご自身たちの実力をご存じないのでしょうか?
はっきり申し上げますと、犬死にされるだけですわよ。」
「あなたソロでこのクエストをお受けになるおつもりですか?
無謀すぎて涙が溢れてきましたわ。
私の涙、お安くは無いですわよ?」
「あなた、私の目を節穴だとお思いですか?あなたの報酬提示額、一桁お間違えですわ。
この程度の活躍で増長なさらないで頂けませんか?」
他の受付嬢が言いにくいことでも、悪役令嬢語はすぱっと言ってのけるのだ。
辛辣な私の言葉だが、意外と受けがいい。
私の悪役令嬢後の後に、周りから拍手まで起こる始末だ。
ストレートな物言いが、逆にスタッフにも冒険者たちにもズバッと突き刺さる。
いつの間にか、私のいるカウンターに大勢の行列ができるようになっていった。
そして午後は街での情報収集だ。
パラデュール伯爵が街に訪れる前に出来るだけ情報を集めておきたい。
パラデュール伯爵の悪政ぶりは街中の至る所から聞こえて来た。
「あの伯爵がこの領地に来てから、ずいぶんと様子が変わった。
税金が倍増したおかげで、多くの商人たちが街から出てしまった。
そのため、日常品すら不足し物価が高騰。
私たちも生活を切り詰めなければ、やっていけないんです。」
「はぁ、パラデュール伯爵?あんな奴はクズだ。
税を払えない街の人に、金を貸してはくれるがその利息がえげつねぇ。
借金が払えなくなると、容赦なく家財一式を売っぱらい、借金のカタにそいつらを奴隷として売るって言うぜ。
おっと、こんなこと誰にも言うなよ。俺も売られちまうからな。」
「パラデュール伯爵には屈強な護衛がついています。
特に護衛頭のポナパルトは元々、ウイリアム殿下の親衛隊の一人。
その粗暴な行いが元で、解雇されたところを伯爵が採用したんです。
パラデュール伯爵が今の地位を得たのも、彼が対立したいた者たちを全て打倒していたからだと噂されていますね。」
どうやら、パラデュール伯爵の拉致監禁。一筋縄ではいかなそうだ。
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