2 / 2
第一章︰この国のお姫様
1話︰農民カムイ
しおりを挟む
「あー、今日もいい天気だ。」
一人の男が、畑で伸びをする。
男の見た目は、黒髪に普通の男の背丈────つまり普通だった。
一つ普通でないとすれば、男の目くらいだろう。
男の目は、くすんだ赤色をしていた。
男は、森の中に畑を作り、畑や森で採れる食料で生活していた。
────不思議な事にその森の中は、男しか暮らしていない。
男は、畑を耕し、生えてきた雑草を端から端まで抜いていく。
「今日も、頑固な奴らが抜けたな…。
たまには、素直になってくれてもいいもんだが…」
男は、やれやれとため息をつき、汗を手で拭っていると、男の目の前にイノシシと狼、熊が混ざったような動物が現れる。
「…」
「…」
男とその動物は、しばらく無言で見つめ合う…
そして…
「飯だああああああああっ!」
そう言って男は、その動物に飛びかかる。
動物は、涙目で逃げたが、すぐに男に捕まる。
「いやぁー、助かった。イグロの肉と毛皮は高く売れる。それに、このイグロの大きさは、普通のより1.5倍大きい。ホントにラッキーだった。」
男は、鼻歌交じりに森を出る。
向かった先は、商人が賑わう街『スーザン』。
男は、若手の商人のとこへ先ほど捕まえた動物…イグロを持っていく。
若手の商人は、男をちらっと見たあと
「銅3枚」
そう言った。男は、その言葉を聞くとすぐ、その若手の商人の胸ぐらを掴む。
「巫山戯るな!」
その男の怒声に、周囲がざわつき、別の商人が慌てて飛び出してくる。
「こらっ!タタット!お前は、まだ新人商人だから分からんだろうが、今お前の胸ぐらを掴んでいる男、カムイの目は、商人以上にその商品の価値がわかる男だ!そんでもって、カムイが最も嫌いなことは、非合理的と不利益だ!しっかり正規の値段で売ってやらんか!」
商人は、新人商人を叱り、謝るように言った。
それでも、新人商人はカムイに対して謝ろうとはしなかった。
周りもドキドキしながら、カムイの行動を見ていた。
その時…
「助けて!」
一人の少女が、カムイの背中に飛び込んできた。
カムイは驚き、新人商人の胸ぐらを放す。そして、何が自分の後ろにくっついてきたのか振り返って見る。
すると、カムイの背中にくっついていたのは、身なりが妙に整った美少女だった。
「なっ、何だ!?」
カムイは、たじろぐ。美少女は、カムイを見て…
「ちっ、もうちょっと強そうな奴に助けを求めりゃよかった。」
思いっきり舌打ちをする。
「あ?」
カムイは、キレ気味だ。
周りの商人は、ハラハラしている。
すると、美少女は髪をかき上げながら言う。
「私の名前は、エムリシア。この国の王族…第三皇女よ!男、私を助けなさい。」
「俺の名前は、カムイだ。」
「じゃあ、カムイ!貴方に私を助ける権利を与えるわ!光栄に思いなさい。」
(超上から目線!)
商人達は、早くカムイとエムリシアにどこか行って欲しかった。
────商売の邪魔になっているのだ。
「はぁー…」
カムイは、ゆっくりため息をつく。
「俺にメリットは?」
「なっ!?」
エムリシアは、たじろぐ。
そして、口を開き────
「貴方には、この任務の光栄さが分からないの?!」
「光栄とか要らない。俺が欲しいのは、利益だ。」
カムイは、胸を張りながら言う。
「…分かったわ、金3枚払う。」
エムリシアは、カムイの堂々とした態度を見てそう言う。
しかし、カムイは納得出来ずに言う。
「もっとだ。それじゃあ、俺はお前を助けない。」
エムリシアは、悔しそうにいう。
「き、金っ、20枚っ!」
その言葉を聞き、カムイは満足そうに笑う。
「OKだ。お前は、俺が救う…金20枚にかけてっ!」
「そこは、エムリシア様のためとか言いなさいよ!」
一人の男が、畑で伸びをする。
男の見た目は、黒髪に普通の男の背丈────つまり普通だった。
一つ普通でないとすれば、男の目くらいだろう。
男の目は、くすんだ赤色をしていた。
男は、森の中に畑を作り、畑や森で採れる食料で生活していた。
────不思議な事にその森の中は、男しか暮らしていない。
男は、畑を耕し、生えてきた雑草を端から端まで抜いていく。
「今日も、頑固な奴らが抜けたな…。
たまには、素直になってくれてもいいもんだが…」
男は、やれやれとため息をつき、汗を手で拭っていると、男の目の前にイノシシと狼、熊が混ざったような動物が現れる。
「…」
「…」
男とその動物は、しばらく無言で見つめ合う…
そして…
「飯だああああああああっ!」
そう言って男は、その動物に飛びかかる。
動物は、涙目で逃げたが、すぐに男に捕まる。
「いやぁー、助かった。イグロの肉と毛皮は高く売れる。それに、このイグロの大きさは、普通のより1.5倍大きい。ホントにラッキーだった。」
男は、鼻歌交じりに森を出る。
向かった先は、商人が賑わう街『スーザン』。
男は、若手の商人のとこへ先ほど捕まえた動物…イグロを持っていく。
若手の商人は、男をちらっと見たあと
「銅3枚」
そう言った。男は、その言葉を聞くとすぐ、その若手の商人の胸ぐらを掴む。
「巫山戯るな!」
その男の怒声に、周囲がざわつき、別の商人が慌てて飛び出してくる。
「こらっ!タタット!お前は、まだ新人商人だから分からんだろうが、今お前の胸ぐらを掴んでいる男、カムイの目は、商人以上にその商品の価値がわかる男だ!そんでもって、カムイが最も嫌いなことは、非合理的と不利益だ!しっかり正規の値段で売ってやらんか!」
商人は、新人商人を叱り、謝るように言った。
それでも、新人商人はカムイに対して謝ろうとはしなかった。
周りもドキドキしながら、カムイの行動を見ていた。
その時…
「助けて!」
一人の少女が、カムイの背中に飛び込んできた。
カムイは驚き、新人商人の胸ぐらを放す。そして、何が自分の後ろにくっついてきたのか振り返って見る。
すると、カムイの背中にくっついていたのは、身なりが妙に整った美少女だった。
「なっ、何だ!?」
カムイは、たじろぐ。美少女は、カムイを見て…
「ちっ、もうちょっと強そうな奴に助けを求めりゃよかった。」
思いっきり舌打ちをする。
「あ?」
カムイは、キレ気味だ。
周りの商人は、ハラハラしている。
すると、美少女は髪をかき上げながら言う。
「私の名前は、エムリシア。この国の王族…第三皇女よ!男、私を助けなさい。」
「俺の名前は、カムイだ。」
「じゃあ、カムイ!貴方に私を助ける権利を与えるわ!光栄に思いなさい。」
(超上から目線!)
商人達は、早くカムイとエムリシアにどこか行って欲しかった。
────商売の邪魔になっているのだ。
「はぁー…」
カムイは、ゆっくりため息をつく。
「俺にメリットは?」
「なっ!?」
エムリシアは、たじろぐ。
そして、口を開き────
「貴方には、この任務の光栄さが分からないの?!」
「光栄とか要らない。俺が欲しいのは、利益だ。」
カムイは、胸を張りながら言う。
「…分かったわ、金3枚払う。」
エムリシアは、カムイの堂々とした態度を見てそう言う。
しかし、カムイは納得出来ずに言う。
「もっとだ。それじゃあ、俺はお前を助けない。」
エムリシアは、悔しそうにいう。
「き、金っ、20枚っ!」
その言葉を聞き、カムイは満足そうに笑う。
「OKだ。お前は、俺が救う…金20枚にかけてっ!」
「そこは、エムリシア様のためとか言いなさいよ!」
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる