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第4章
第14夜 二人之星契(2)
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灯台に到着した俺たちは、息を切らしながらも晴れやかな表情を浮かべていた。朝日に照らされた白い灯台は、まるで俺たちの未来を照らす希望の光のようだった。潮の香りが鼻をくすぐり、遠くで鳴くカモメの声が響く。
俺は深呼吸して、先輩の方を向いた。今まで言えなかった言葉が、胸の奥からムクムクと湧いてくる。
「先輩……ずっと一緒にいられなくて、ごめんなさい」
俺の言葉に、先輩はびっくりしたみたいに目を丸くした。その瞳に、地球の海みたいな深い青が揺れてる。でも、すぐに何かを悟ったみたいに静かに頷いた。
「蛍くん、地球を任せたよ」
先輩の言葉に、俺は一瞬ドキッとした。その重みが、俺の肩にズシンとのしかかる。でも、先輩の瞳に映る決意を見て、自分の気持ちとちゃんと向き合わなきゃって思った。
「うん……でも、必ず戻ってきます。10年後、きっと」
強い決意を込めて言うと、先輩の目に涙が光った。その一粒一粒が、星のように輝いている。
「ここで会おう。約束だよ」
先輩は優しく微笑んだ。
「私、もう大丈夫。ちゃんと待ってるから」
その笑顔に、胸が締め付けられる。でも同時に、なんか不思議と安心できた。まるで、先輩の故郷の星から届いた温かい風に包まれてるみたいな感じ。
「俺も……昔みたいに、もう迷いません」
そう言って、先輩の手をぎゅっと握った。その温もりが、俺の決意をさらに固くする。
「ねぇ、蛍くん」
先輩が急に茶目っ気たっぷりの顔で言った。
「私と一緒に寝てくれない?」
思わず笑いそうになるのを必死で我慢して、俺も負けじと冗談っぽく返した。
「またそれですか。もう」
俺は朝の海をぼんやりと眺めながら、いつものように断った。でも、心の中では何かが変わり始めている気がした。
先輩は長い黒髪を耳にかけ、八重歯を見せて笑う。その仕草が妙に色っぽくて、俺は慌てて目をそらした。
「どうせまた、眠れないんでしょ?」
「けち。いいじゃん、別に減るもんじゃないし」
それが2コ上の先輩が言うことか――。でも、その言葉の裏に隠された本当の気持ちが、なんとなく分かった気がした。先輩の孤独、そして俺を必要としている気持ち。
「先輩……」
俺は何て言えばいいか、必死で考えた。
「俺、本当は怖いんです」
先輩は優しい目で俺を見つめた。その瞳には、まるで銀河みたいな深さがあった。
「何が怖いの? 教えて」
「地球に行って……先輩のこと忘れちゃうかもって。それに、本当に地球を守れるのかなって……」
先輩は少し考え込むみたいに目を閉じて、それからゆっくり俺の方を向いた。
「大丈夫だよ。私たちの絆は、そんな簡単には消えないから。それに……」
先輩は少し照れくさそうな顔で続けた。
「私ね、地球の音楽聴くたびに、蛍くんのこと思い出すんだ」
「音楽……ですか?」
「うん。私の星には音楽がないから。だから、地球の音楽は私にとってすっごく特別なんだ」
先輩の言葉を聞いて、胸がジーンと熱くなった。音楽が先輩にとってそんな大切な意味を持ってたなんて。
「じゃあ、毎日『星色卒業式』聴きます。そうしたら、先輩のこと思い出せるから」
「私も聴く。四光年も離れてても、心はちゃんと繋がっていようね」
その言葉聞いて、俺は思わず笑顔になった。音楽が俺たちを繋ぐ架け橋になるんだ。そう思ったら、なんだか不思議と温かい気持ちになった。
「はい。約束ですよ。毎日、同じ時間に聴きましょう」
「うん、約束!」
二人で見つめ合って、また笑顔になる。もう迷う気持ちはなくなってた。
先輩が真剣な顔で空を見上げた。その横顔に、故郷を想う切ない気持ちが浮かんでる。
「頑張ってね、蛍くん」
俺は深呼吸した。今まで言えなかった言葉が、胸の奥からムクムクと湧いてくる。
「……それ、お願いなんですか? それとも部長命令?」
先輩の目が急に大きく見開いた。そして、ゆっくりと優しい笑顔になった。その瞳に、涙がキラリと光ってる。
「お願いだよ、蛍くん」
「じゃあ、俺のお願いも聞いてください」
「うん、いいよ。何?」
先輩がにっこり笑うと、瞳の端っこに溜まってた涙の粒が、ピンク色の頬をツーっと伝った。
「何でも聞くよ」
その言葉に背中を押されて、俺は深呼吸した。
「10年後、絶対に会いましょう。ここで」
言葉にした瞬間、先輩の瞳に星みたいな輝きが浮かんだ。
「うん、約束する」
先輩の声は少し震えてた。俺たちは何も言わずに、ギュッと抱きしめ合った。
灯台のふもとに立つ俺たち。朝日に照らされながら、先輩が俺に顔を近づけてきた。そっと唇が触れる。柔らかくて、甘い香りがした。まるで時間が止まったみたいだった。
4光年の彼方からやってきた、半径3メートルの幸せ。その言葉の本当の意味は、まだよく分からない。でも、きっといつか分かる日が来るんだろうな。
キスが終わって、俺たちは灯台の近くにあるベンチに向かって歩いた。座ってみると、目の前に広がる景色に息をのむ。朝日に照らされた海面が、まるでダイヤモンドみたいにキラキラ輝いてた。
ポケットから小さな音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンを二人で分け合う。「星色卒業式」の柔らかなメロディが流れ始め、先輩の手を握りしめる。
「ねぇ、蛍くん。私と一緒に寝てくれない?」
先輩が優しく言った。俺は照れ隠しに笑いながら、黙ってコクンと頷いた。
ポカポカと温かい日差しが降り注いでる。ボーッと朝の海を眺めてたら、先輩が小さな声で呟いた。
「日焼けしちゃった」
そう言って、先輩は火照った頬を俺の肩にsそっとのせた。その仕草が妙に愛おしい。
「これからも、よく眠れるといいですね。先輩」
俺は先輩の髪をそっと撫でた。シルクみたいに滑らかで、地球の人の髪とはちょっと違う感じがする。
先輩が可愛い寝息を立て始めるのを見届けてから、俺もゆっくり目を閉じた。
俺は深呼吸して、先輩の方を向いた。今まで言えなかった言葉が、胸の奥からムクムクと湧いてくる。
「先輩……ずっと一緒にいられなくて、ごめんなさい」
俺の言葉に、先輩はびっくりしたみたいに目を丸くした。その瞳に、地球の海みたいな深い青が揺れてる。でも、すぐに何かを悟ったみたいに静かに頷いた。
「蛍くん、地球を任せたよ」
先輩の言葉に、俺は一瞬ドキッとした。その重みが、俺の肩にズシンとのしかかる。でも、先輩の瞳に映る決意を見て、自分の気持ちとちゃんと向き合わなきゃって思った。
「うん……でも、必ず戻ってきます。10年後、きっと」
強い決意を込めて言うと、先輩の目に涙が光った。その一粒一粒が、星のように輝いている。
「ここで会おう。約束だよ」
先輩は優しく微笑んだ。
「私、もう大丈夫。ちゃんと待ってるから」
その笑顔に、胸が締め付けられる。でも同時に、なんか不思議と安心できた。まるで、先輩の故郷の星から届いた温かい風に包まれてるみたいな感じ。
「俺も……昔みたいに、もう迷いません」
そう言って、先輩の手をぎゅっと握った。その温もりが、俺の決意をさらに固くする。
「ねぇ、蛍くん」
先輩が急に茶目っ気たっぷりの顔で言った。
「私と一緒に寝てくれない?」
思わず笑いそうになるのを必死で我慢して、俺も負けじと冗談っぽく返した。
「またそれですか。もう」
俺は朝の海をぼんやりと眺めながら、いつものように断った。でも、心の中では何かが変わり始めている気がした。
先輩は長い黒髪を耳にかけ、八重歯を見せて笑う。その仕草が妙に色っぽくて、俺は慌てて目をそらした。
「どうせまた、眠れないんでしょ?」
「けち。いいじゃん、別に減るもんじゃないし」
それが2コ上の先輩が言うことか――。でも、その言葉の裏に隠された本当の気持ちが、なんとなく分かった気がした。先輩の孤独、そして俺を必要としている気持ち。
「先輩……」
俺は何て言えばいいか、必死で考えた。
「俺、本当は怖いんです」
先輩は優しい目で俺を見つめた。その瞳には、まるで銀河みたいな深さがあった。
「何が怖いの? 教えて」
「地球に行って……先輩のこと忘れちゃうかもって。それに、本当に地球を守れるのかなって……」
先輩は少し考え込むみたいに目を閉じて、それからゆっくり俺の方を向いた。
「大丈夫だよ。私たちの絆は、そんな簡単には消えないから。それに……」
先輩は少し照れくさそうな顔で続けた。
「私ね、地球の音楽聴くたびに、蛍くんのこと思い出すんだ」
「音楽……ですか?」
「うん。私の星には音楽がないから。だから、地球の音楽は私にとってすっごく特別なんだ」
先輩の言葉を聞いて、胸がジーンと熱くなった。音楽が先輩にとってそんな大切な意味を持ってたなんて。
「じゃあ、毎日『星色卒業式』聴きます。そうしたら、先輩のこと思い出せるから」
「私も聴く。四光年も離れてても、心はちゃんと繋がっていようね」
その言葉聞いて、俺は思わず笑顔になった。音楽が俺たちを繋ぐ架け橋になるんだ。そう思ったら、なんだか不思議と温かい気持ちになった。
「はい。約束ですよ。毎日、同じ時間に聴きましょう」
「うん、約束!」
二人で見つめ合って、また笑顔になる。もう迷う気持ちはなくなってた。
先輩が真剣な顔で空を見上げた。その横顔に、故郷を想う切ない気持ちが浮かんでる。
「頑張ってね、蛍くん」
俺は深呼吸した。今まで言えなかった言葉が、胸の奥からムクムクと湧いてくる。
「……それ、お願いなんですか? それとも部長命令?」
先輩の目が急に大きく見開いた。そして、ゆっくりと優しい笑顔になった。その瞳に、涙がキラリと光ってる。
「お願いだよ、蛍くん」
「じゃあ、俺のお願いも聞いてください」
「うん、いいよ。何?」
先輩がにっこり笑うと、瞳の端っこに溜まってた涙の粒が、ピンク色の頬をツーっと伝った。
「何でも聞くよ」
その言葉に背中を押されて、俺は深呼吸した。
「10年後、絶対に会いましょう。ここで」
言葉にした瞬間、先輩の瞳に星みたいな輝きが浮かんだ。
「うん、約束する」
先輩の声は少し震えてた。俺たちは何も言わずに、ギュッと抱きしめ合った。
灯台のふもとに立つ俺たち。朝日に照らされながら、先輩が俺に顔を近づけてきた。そっと唇が触れる。柔らかくて、甘い香りがした。まるで時間が止まったみたいだった。
4光年の彼方からやってきた、半径3メートルの幸せ。その言葉の本当の意味は、まだよく分からない。でも、きっといつか分かる日が来るんだろうな。
キスが終わって、俺たちは灯台の近くにあるベンチに向かって歩いた。座ってみると、目の前に広がる景色に息をのむ。朝日に照らされた海面が、まるでダイヤモンドみたいにキラキラ輝いてた。
ポケットから小さな音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンを二人で分け合う。「星色卒業式」の柔らかなメロディが流れ始め、先輩の手を握りしめる。
「ねぇ、蛍くん。私と一緒に寝てくれない?」
先輩が優しく言った。俺は照れ隠しに笑いながら、黙ってコクンと頷いた。
ポカポカと温かい日差しが降り注いでる。ボーッと朝の海を眺めてたら、先輩が小さな声で呟いた。
「日焼けしちゃった」
そう言って、先輩は火照った頬を俺の肩にsそっとのせた。その仕草が妙に愛おしい。
「これからも、よく眠れるといいですね。先輩」
俺は先輩の髪をそっと撫でた。シルクみたいに滑らかで、地球の人の髪とはちょっと違う感じがする。
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