気が付いたら転生していて、皇子様でした

００７★とにかく、レアリア辺境伯爵領に避難しないとね

　これは、塩の専売で上がった利益から出しているから、領地経営に響いたりしていないわ。
　もともとレアリア辺境伯爵領は、レアリアス王国っていう国だったんだからね。

　色々な学校があったり、色々な制度があったりするのは当然だわね。
　レアリアス王国の最後の王女と我が国の皇子が結婚して、レアリア辺境伯爵領になったんだもの。

　だから、間を空けながらレアリア辺境伯爵家に、皇女が降嫁しているのよね。
　帝国としては、レアリア辺境伯爵家に皇族を入れておきたい。

　そして、皇位継承権第１位だけど、後ろ盾を失った私を臣籍降下させるのに丁度良いのよね。
　利用価値の無くなった母上というやっかいな荷物も、レアリア辺境伯爵家に押し付けたいっていうのが本音よね。

　だって、あの考え無しのババアは、父上の寵愛を一身に受けていた母上を暗殺しようとするもの。
　第５皇子が生まれてから、父上の足が遠のいたババアは、自分と違って父上に寵愛されていた者達を嫉妬心から殺そうとしているもの。

　実際に、父上の御手付きになった侍女達を何人も殺しているしね。
　あんなモン野放しにするなよ。

　父上にとって、強引に嫁いできた皇妃は、寵愛する対象外なんですよ。
　第５皇子を産ませたコトだって、予定外だったと思うわね。

　グラドール帝国の皇女である皇妃から産まれた、グラドール帝国皇族の血を引く皇子を皇太子にするしか無いんだもの。
　でも、それをすれば我が帝国は、グラドール帝国の傀儡国家になってしまうわ。

　そして、何れはグラドール帝国の属国か、いち大公家として扱われるかのどっちかになる未来しかないわね。
　ったく、さっさと毒でも盛って、病弱な皇子にしておけば良かったのにね。

　もっとも、子種を失くす薬を盛って、男じゃなくなる様にして、自分から死ぬように持って行く予定なのかしら？
　それって、余計な時間がかかるから、我が帝国の不利になるのよね。

　どうするつもりなのかしらね。
　あのババアも第５皇子も、毒を持って脆弱な体にすれば良いのに………。

　いけないいけない、今は、この帝国の未来より私と母上と私達に付き従う者達の為に、さっさとレアリア辺境伯爵領に避難する方が大事よ。
　じゃなくって、母上の部屋から私の部屋に戻ってから、もう少し考えてみるしかないわね。

　「母上、私は、部屋に戻ります
　　何かありましたら、お呼びください」

　「わかったわ」

　疲れたように言う母上に、頷くと私は立ち上がった。
　そして、さっさと母上の部屋から私の部屋へと移動したのだった。

　こうゆう時に思うのは、宮の建物が広くて移動に疲れてしまうので、動く歩道があったら良いなって………。
　５歳児の身体も疲れる原因よね。

　体力は無いし、小さいから、足も短くて歩幅は無いもの。
　いっそ騎士に抱っこされて移動した方が便利よね。

　でも、それじゃ体力は付かない。
　ついでに、悪意有る騎士に抱き上げられたら、誘拐されてしまうわ。

　騎士に抱っこされた皇子って認識は、とっても不味いのよ。
　無理やり抱き上げられて声を奪われたりしたら、誰も違和感を持たないから、簡単に誘拐されてしまうもの。

　早く成長して大きくなりたいわ。
　そうすれば、護身用に剣を習えるし、魔法も教えてもらえるもの。

　せっかく、剣と魔法の世界に転生したんだから、楽しむべきよね。
　問題は、第３皇子で皇位継承権第１位だったってコトね。

　もっとも、もう少しで臣籍降下して、レアリア辺境伯爵になるんだから、今よりはずっと自由よね。