52 / 140
054★自棄で結婚を口にしたら、エライことになりました4
しおりを挟む信じられない内容に、私は思わず固まってしまう。
マジですか? 結婚じゃなくて……女性を買うんですか?
それも、親兄弟で………夫って、兄弟全員で頑張ったってコトですか?
ファンタジーの高潔な騎士様って、ここには存在しないんですね。
なんか生々しいし、騎士様のイメージが、ガラガラと崩れていきます。
それに、女性が可哀想です。
そして、それは、ハルト君たちに守られなかったら、私が辿る道なのかもって思ったわ。
今の私は、ハルト君達に結婚を申し込まれているから、ある意味で安心だけど………。
女性の立場を知っているか? 聞いているか? を聞いてみようと思って質問した。
「それって、騎士様の会話なの? それに女性の人権は無いの? 売り買いされる存在なの?」
私の質問に、アルス君が苦笑しながら答えてくれる。
「ソレね…こっちでは、夫の権利を売り買いしているって感じかな?」
はっ? 夫の権利? それってなんですか? 離婚すれば良いでしょ?
でも、なんか、奴隷を売り買いする感じではないな?
ここは、とりあえず聞いてみよう。
「離婚して、売るんじゃないの? あの赤い国みたいに?」
私の素朴な質問に、髪を書き上げてアルス君が答える。
イケメンは何をやってもカッコイイですね。
なんか目の保養したけど………悔しい気がするわ。
「それがね、こっちには離婚って、言葉自体が無いんだよね」
えっ? 離婚が無い? 言葉自体が無いって?
それって、離婚してないのに、別の人達に買われるってこと?
あうぅぅぅ~………意味がわからないわ?
私は思わず枕の上で首を傾げ、無意識に質問していた。
「それって………」
むかむかしている私を宥めるように、ハルト君が私の手を撫でながら言う。
「女性を馬鹿にしているし、大切にしていないって、アリアは感じるだろう。でも、売られる女性にも事情があるし、その夫にも理由があるんだ」
「で…でも………」
事情や理由があるって言われても、信じられないわ。
私は、つい頬を膨らませてしまう。
すると、私の頬をするりと撫でてジーク君が言う。
「その女性は、何人もの子供を産んでるけど、女の子は産んでい無いんだって………。だから、自分の産んだ息子に嫁が欲しいから、他の男と関係を持って、嫁を買うお金を手にしたってコトなんだよ」
ジーク君の説明は、何かわかるんだけど…でも、納得いかない内容だった。
それに、自分の息子の嫁を買う為に、身を売るって……変じゃないの。
私の感覚とは相容れないモノだわ。
「えっぇぇぇ~………」
納得できませんという顔している私に、さらにジーク君が言い募る。
「ここでは、必ずしも、女の子が生まれるわけじゃない。だから、女の子が欲しかったら夫を変えるって、方法が1番確実だろ。でも、離婚が無いから………。だから、夫に息子に嫁を与えたいから、夫の権利を売って欲しいって言うわけだ」
言われてみれば、確かに、精子との相性が悪いなら、相手を変えるという方法しか無いってわかるわ。
でも、変えたからって、かならず女の子が生まれるって保障は無いのに………。
売られた先でも、男しか生まれなかったら、また、売られる予定なのかしら?
自分を大切にしていないし、夫は妻を愛していないのかな?
なんか、わけがわからなくなってきたわ。
色々と思考してぐらぐらしている私に、黒く笑ってハルト君が説明してくれる。
「ってコトは、美談にしてるけど、女性にもメリットがあるんだ。何としても女の子を産みたいって本能に従ってるからさ」
うわぁ~……今度は、本能ときましたか………。
人間も動物だから、本能には逆らえませんよねって、なんとなく納得させられました。
ここの女性は、何がなんでも女の子を産みたいって………。
そこは、もう聞きたくなくなりました。
だから、私は、女性の出産数を聞いてみることにしました。
ちょっと、切れてきている私です。
「その場合は、子供を何人産んでいるの?」
1
お気に入りに追加
1,214
あなたにおすすめの小説

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。

悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する
ブラックベリィ
恋愛
書いてみたいと思っていた悪役令嬢ですが、一風変わったように書けたらと思いながら書いております。
ちなみに、プロットなしで思いつきで書いているので、たまに修正するハメになります(涙)
流石に、多くの方にお気に入りを入れてもらったので、イメージ部分に何も無いのが寂しいと思い、過去に飼っていた愛犬の写真を入れました(笑)
ちなみに犬種は、ボルゾイです。
ロシアの超大型犬で、最多の時は室内で9頭飼っておりました。
まぁ過去の話しですけどね。
とりあえず、頑張って書きますので応援よろしくお願いします。

悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる