上 下
37 / 140

039★勇者グループ+α(チンクシャな私)と美少女達グループに別れました

しおりを挟む

 私達と美少女達の会話は、どちらにしろ当たり障りのないモノになるだろう、と思ったから………。
 その代わり、私は魔法の授業の前後の時間なら、毎日でも会話して良いか、と聞いてみることにした。

 「神官様、慣れないコトが多いので、毎日でも、彼女達と会話したいんですが、宜しいでしょうか?」

 こんな我がままを、私が言っても聞いてもらえるかしら?
 チンクシャが、強気に出おって………なんて思われないかしら………。
 ネガティブな私は、また、ひとりで暗くなって行った。
 が、幸いなコトに神官様は、優しく微笑んで答えてくれた。

 「異世界から、私達の事情に巻き込む為に召喚したんです。要望は出来る範囲で、全て叶えるのは当然です。まして、水鏡など簡単な魔法ですから、毎日使用しても構いません。まして、聖女なのに離れ離れとなったアリアンロッド殿は、不安でしょうから………」

 えっ嘘…聖女召喚のテンプレ…ちやほや対応を、私にもしてくれるんですか?
 私ってば、たんなる巻き込まれのチンクシャなんですよ………良いんですか?
 だったら、それに甘えて、毎日、ガールズトークしちゃいますよ。
 まぁ…私に出来る範囲でですけどね。

 とりあえず、別々になっても、連絡手段は出来たんだからと、私達はごねる?コトを止めた。
 そして、それぞれ立ち上がり、リュックを背負いカバン他を持って集まった。
 こうして、私達は、神官様と一緒に行く美少女達グループと侍従マリウスさんに付いて行く勇者グループ+α(チンクシャな私)に分かれた。

 そして、二つのグループに分かれたままで、部屋から出て行きそれぞれの方向に向かって歩き始めた。

 誰も、後ろを振り返ったりしなかった………。
 他人を心配する(思いやる)余裕なんて無かったから………。

 謁見の間を有する政務エリアから、私達は、騎士や魔法使いなどの訓練場や宿舎のあるエリアに向かってひたすら歩いた。
 政務エリアを抜けたコトは、足元の赤いどっしりとした絨毯から、同じ赤でも、質が格段に落ちる絨毯に変わったコトでわかった。

 馬車か、馬に乗って、王城内に入る貴族、または、それに準じる者達が歩く絨毯は、汚れが付き付着する可能性が低い。
 それに、政務エリアを歩くのは、文官と侍従と近衛の騎士及び従者などという、綺麗な足元の人間だけだったから………。

 表の顔(他国の大使や貴族や王族も歩く場所)というコトもあって、重厚で精緻な模様のどっしりとした絨毯が敷いてあった。
 が、私達が向かったのは、言わば他の人に見せない場所みたいなとエリアなので、質を落としても構わなかったから………。

 特に、訓練場を使う騎士や兵士、魔法使い専用の訓練場を使う魔法使い達の足元は、確実に汚れているから………。
 気を使わなければならない王族や貴族が、存在しないエリアに入ると侍従マリウスさんが話し出す。
 
 「もう少しで、勇者様と聖女様が滞在する魔法使いの宿舎が、右側の窓から見えてきます。その奥に魔術師の塔があります。ただ、残念なコトにこの廊下からは、宿舎の陰に隠れて見えません」

 神官様より話しやすいというコトで、無口なアルス君が質問している。

 「直接、宿舎に行くんですか?」

 へぇ~アルス君の声って、見掛けのイメージよりも、高めなんだなぁ~って思った。
 そんな私の思いに関係なく会話が弾んでいく。
 マリウスさんは、にこやかに笑って答える。

 「いいえ、途中に食堂棟がありますので、まずは、そちらを案内します」

 食堂という言葉を聞いた瞬間に、私は空腹を自覚した。
 だって、放課後に買い物をして、帰宅途中で召喚されたされたんだもの。
 夏で日が長いって言っても………。

 何時もなら、夕食を食べている時間を過ぎているわ。
 うん、お腹が空いている自覚が出たら、ものすごぉーくご飯が食べたくなったわ。
 きっと、ハルト君達もそうだと思う。
 だからかな? 無口なダリューン君も質問しているのって………。

 「食堂棟って?」

 その質問に、マリウスさんは微妙にズレた答えを返す。

 「王城内で働く者達に、食事を提供する場所です」









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。

アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。 いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。 だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・ 「いつわたしが婚約破棄すると言った?」 私に飽きたんじゃなかったんですか!? …………………………… 6月8日、HOTランキング1位にランクインしました。たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!

転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!

高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

処理中です...