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018★拉致された男子達には、神力があるようです
しおりを挟む色々と悪い方向に思考が行って、顔色を悪くしている私の耳に、長身を屈めてハルト君とジーク君が優しく囁く。
「「大丈夫、界渡りしているんだから、内包しているエネルギーがあるよ。それが、どれかの能力に、変換されるはずだから………」」
「そうかな?」
「ダメだったら、俺やジークの側にいればイイさ」
「そうそう、気にしない気にしない」
「ありがとう」
2人にそう言われて、私は無意識で詰めていた息を吐き出して、お礼を言った。
そんな私達を無視して、神官様は無口なアルス君に声を掛ける。
「アルスラーン殿、まずは、神力の水晶珠に手を置いてください」
「………」
アルス君は、黙って頷くと水晶珠に手を置いた。
すると、水晶球の中に、プリズム?みたいな色が浮かび上がった。
その光りは水晶球から溢れて、虹色に輝いてすぐに消えた。
なんかあっという間に、光って消えたなぁ~と思った。
これできちんと判定できるの?
そう思っている私の視線の先で、アルス君は緊張をほぐすように首をふっていた。
今頃? って思っていたら、アルス君は光が消える=判定結果は出たと判断したのか、神官様にちらりと視線を送ってから、ダリューン君の隣りに戻ってしまう。
水晶球が光った時から、貴族様達や騎士様達からは、おぉーという声が聞こえたが、それは今も途切れていない。
それを無視して神官様は、アルス君に、にっこり笑った。
それなのに、視線をダリューン君、ハルト君、ジーク君と移してから、予想外なコトを話し出した。
「では、ダリューン殿、ラインハルト殿、ジークフリード殿、順番に水晶球に手を置いてください。結果をまとめて判定いたしますので………」
「「「…………」」」
その命令? に、ダリューン君もハルト君もジーク君も黙って頷くだけだった。
そして、無言のままダリューン君が、水晶球に手を触れていた。
すると、水晶球は、アルス君のときと同じようにプリズムが浮かび虹色の光りを放ちあっという間に消えた。
光が消えるとダリューン君も手を離し、アルス君の隣りにもどった。
なんだかなぁ~と思い眉間にしわを寄せていた私の肩を、ぽんっと軽く叩いてからハルト君が言う。
「俺の番だから、行って来る」
それに、つい私は、ほとんど条件反射のような答えを言ってしまう。
「がんばってね。ハルト君」
「おう」
こんなときに、試合の応援みたいなコトしか言えないのは哀しかったが………。
黙っているよりは良かったと思うコトにした。
私が、ちょっと苦悩している間に、ハルト君は水晶球を触っていた。
水晶球は、プリズムから虹の輝きを放出する。
光りの量は、アルス君やダリューン君よりも多かった。
その光景を見て、私は内心で首を傾げていたが、何も言葉にしなかった。
ちょっと考えごとをしていると、ハルト君は私の隣に戻って来た。
そして、手をハイタッチという程では無い高さに上げて見せたので、私もジーク君も手を上げた。
私の手に、ハルト君の手がパンという感じて触れてきたので、思わずにこっと笑ってしまう。
ハルト君も笑っていたし、ジーク君も笑っていた。
そして、ジーク君は、私に小さく囁くと歩き出した。
「僕も行って来るね」
「がんばってね。ジーク君」
その背中にまた同じ言葉を掛けてしまう。
ジーク君の結果も、ハルト君と変わらなかった。
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