上 下
1 / 140

001★もしかして、異世界召喚?

しおりを挟む
 唐突に真っ白な光に包まれたと思ったら………。
 なんか、これって落ちてる感覚がするんですけど………。

 これって、アレですか?
 もしかして、俗に言う異世界召喚?
 いや、ないない……はずなんですが……やっぱり落下感覚あるし……。

 いや、でも、なんで?
 一般市民というか、普通に考えても、モブ気質の私が?
 異世界召喚なんて、マジですか?

 これって、勇者召喚? それとも、聖女召喚?
 どちらにしても、巻き込まれたってコトかしらねぇ?

 もっとも、周りが真っ白で何にも見えないから、まだわからないけど。
 でも、どうやったって、間違い無く、私は、モブだから、これは巻き込まれね。
 いや、本当に、異世界召喚だったらね。

 そんなテンプレなコトを考えていたら、真っ白になっていた周りに、色と音が戻ってきたわね。
 とりあえず、周りを確認してみますか。

 背が低い私は、状況確認する為に、視線をちょっと上に向けて周りを見て驚いてしまう。
 だって、私の知ってる空手の王子様と弓の王子様が、すぐ側に居たから………。

 そして、ちょっと離れた場所には………。
 北高のバスケの王子様とゴルフの帝王様が……。
 その側には…ビッチ…げふんげふん…いやいや、びっ…そう、美少女の集団。
 御二方は、見た目美少女達を引き連れて立っていた。

 あはは、これって、マジで、異世界召喚だわ。
 完全に、私は巻き込まれ………どうしよう………。
 
 そんな呆然として言葉の無い私に、小さい子供と老人と病人に無条件で優しい空手の王子様が、私に話しかけてきた。

 「えーと、確か、同じクラスの紫音(しおん)さんだよね? 大丈夫?」

 しゃがみ込んでいた私に、空手の王子様…いやいや、黒田 真悟(くろだ しんご)君は、かがんで手を差し出してくれた。
 噂通り小さい者に優しいんだなぁ~と思いながら、私はその手に捕まって立ち上がった。
 その時、弓の王子様こと、沢田 竜司(さわだ りゅうじ)君は、私の手から転がっていた鞄を手に取り、差し出してくれた。
 この2人は、ほんとぉーに親切だと思ったわ。
 転移のとき、あっちの集団に混ざってなくて良かったって、心の底から思ったわ。
 だって、チビでチンクシャで絶壁な私は、アッチの王子様達やビッ…げふんげふん…美少女達から、無視されていたと思うから。

 立ち上がった私に、沢田君がわざわざ屈んで耳元で話しかけてきた。

 「紫音さん、聖女になりたい?」

 その言葉に、私は速攻で首をブンブン振りながら小さな声で答える。

 「私は、モブだし、何の関係も義理も恩も無い人攫い達の為に、魔王と戦うほど御人好しじゃないわ」

 私の答えに、沢田君と黒田君はにっこり笑って左右の耳に囁く。

 「「俺達も、勝手に召喚されて、相手の言いなりになるほどバカじゃないさ」」

 その言葉に、私は、小さいけどはっきりした声で言う。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。

アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。 いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。 だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・ 「いつわたしが婚約破棄すると言った?」 私に飽きたんじゃなかったんですか!? …………………………… 6月8日、HOTランキング1位にランクインしました。たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!

処理中です...