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0315★まだ譲渡された記憶の処理が終わってないようです

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 だが、そこは神護である。
 思い悩んでも、それだけでは物事は解決しないと言うコトをよぉ~く知っているので、そこから導き出される様々な出来事を即座に計算する。

 それもこれも、良くも悪くも色々と問題を起こす長兄・真司の我が儘など振り回された結果だった。
 とにかく直面した事態を考え、内容を細分化し、最善と最良を取得する為に、最悪な想定と対処方法を考えるようになったていた。

 その為、即座に意識を切り替えるコトが出来るようになっていた神護だった。
 ゆえに、白夜のいまだにじわじわと大きくなりつつある翼を観察しながら、なにをどうしたら良いかを考える。

 ふむ…でも、今白夜を観ている者達の認識は、混血児かぁ~…
 まぁなぁ…翼だけが、見るからに異常な成長の仕方しているもんなぁ
 そのセイで、こいつ等には白夜がそういう風に見えるのかぁ~

 なるほど、その設定は使えるな……っていうか、使わないと損だな
 それがこのファンタジー世界の常識だっていうなら、使わない手はない
 異常な成長の他に、俺と白夜の姿の相違は、そのセイってコトで済むしな

 あの様子からいくと、飛翔族との混血児はあまり育たないようだしな
 さしずめ、両親の持つ特性に身体が合わなってヤツだな
 そのセイで、成長しきれずに衰弱死しちまうってところかぁ?

 このファンタジーな世界の住人って、獣人が基本みたいだからな
 ほとんど獣相を持つ者ばかりだし…… 
 きっと、婚姻にも種族的な相性ってモンがあるんだろうしな

 例え本人同士が好き合っていても、獣人ゆえに特徴的な獣相があるからな
 その両者の相性によっちゃぁ~…子供ができなかったするだろうし
 下手すっと、異形で生まれたり短命だったりするんだろうなぁ~…たぶん

 つっても、白夜は本当は俺の子供じゃないからなぁ……
 実際には、どんな血統か全然知らないんだよなぁ……
 いや、白夜の本来の種族が飛翔族ひしょうぞくってコトは知っている

 本人の口からも、自分は飛翔族ひしょうぞくの者であると聞いたしな
 それに、知識としてもだけど、少しだけ本来の姿も知っている
 【転生】の前の白夜の姿も、おぼろげにだが覚えているしな

 今思い返すと、背中には薄汚れていたが白く大きな翼があったもんな
 …くそっ…あの時のことを、深く思い出そうと……眩暈めまいがする
 まだ…あの時の知識酔い?がぶり返してくるのかよ

 うぅぅぅ~………なんか、クラクラするぞぉ
 短期間に、大量の情報を無理矢理詰め込まれたセイだよなぁ…はぁ~……
 白夜本体に、ホタル、それに【ルシフェル】の知識も半端なかった

 お陰で、俺の頭脳でも情報が膨大過ぎてキャパオーバーしちまったよ
 そのセイで、いまだに知識検索ってモンができねぇ
 どんなに詳細に思い出そうとしても、記憶が滅茶苦茶乱れる

 知識を引っ張り出そうとすると、船酔いのような眩暈めまいがする
 おぼろげに、断片的にしか覚えていないところもあるっつーのに
 無理をすると…すげぇ~あやふや状態になりやがるんだもんなぁ

 まるで、記憶がピースの足りないジグソーパズルと化しているようだ
 やっぱり譲渡された《魔力》とそれを扱う為に必要な呪文etc.
 膨大な知識量に酔っ払ったのは痛かったなぁ

 記憶の消化が終わらないのに、次々と詰め込んだセイだよなぁ
 お陰で、重要な知識も取り出せない状態だせ
 もっとスマートに知識を引き出せたら、楽で良いのに……

 パソコンのように、知識の統合と上書きを勝手にしてくれれば良いのに
 これは、何処かに落ち着いて、ちまちまと眩暈めまいと戦わないとダメだな
 待っていても、一向に統合する気配が無い

 とは言え、ホタルや【ルシフェル】の持つ種族的に継承した知識は膨大だ
 そこに生きて来た時の記憶も入っているとなると………はぁ~……
 【転生】の前に譲渡された、白夜の知識は些細なモノなんだろうけどな

 それでも、魔法などがない世界から来た俺の頭脳には負担なんだろう
 これでも、サヴァン症候群並の記憶力を誇っていたんだけどなぁ
 情報の統合が終わっていないセイで、簡単な内容でも調べられない

 さっさと、統合と上書きが終われば、いちいち白夜に聞かないで済むのに
 多すぎる情報量のセイで、記憶混乱を起こしているから困っちまう

 まぁ…でも、白夜本人が自分は【転生】したって言っているんだ
 そういう意味では、混血児の線は無いはずだろう
 ただ、その設定は便利で良いなぁ……説明いらずで、助かるぜ

 卵から孵るのを見たんだから、有り得ない
 ……って、まてよ、この世界の獣人はどうやって誕生するんだ?
 飛翔族ひしょうぞくの者は、卵で生まれるみたいだけど

 だからって、下手に聞くこともできないんだから、困ったもんだぜ
 妻が架空の存在で、出産に立ち会って無いってバレたら困るからな
 言葉に気を付けねぇーとヤバイな

 こういう時は、不用意な発言は控えるにこしたことはねぇ
 ふむ、白夜がこうして得体の知れない成長の仕方をするのは……
 もしかしたら【転生】前の記憶の影響ってことも考えられるからな

 生前の記憶がこうだったはずって言う思いが、変化をもたらすコトもある
 そうじゃなくても、滅多にない高栄養を食べちまっているしな
 余剰なエネルギーが、白夜の思いに反応して顕著に出た可能性もあるしな

 まぁ……なに、たっぷりの栄養と安全な空間を確保してやれば良いだけだ
 草すれば、よっぽどじゃないかぎりきちんと育つだろう
 白夜には、獣相らしきモンはねぇーからな

 両親の相性の良くない……って、いうのが当てはまらないからな
 ちょっと混乱してるなぁー俺も……はぁ~……
 卵から孵ったんだから、純粋な飛翔族《ひしょうぞく》だよなぁ……たぶん

 そう言えば、飛翔族《ひしょうぞく》って、背に翼を有するんだから
 元が鳥と同じ習性や習慣があるのかなぁ?
 くすっ………【転生】したコトを考えると、さながら不死鳥かな?

 俺が知っている伝説とかだと、最短が五百年に一度だったかな?
 他に、千年・五千年・一万年ってのがあったなぁ~…
 最短で五百年に一度、噴火している火口に身を投じる

 そして、火炎の中から再生するフェニックス
 じゃないけど、禁断の【転生】かぁ……
 記憶持ったままっていうのは切ないよな

 でも、白夜は自分の背負う義務と責任を知っているからなぁ
 きっと、真っ新になって新たな人生を生きることは許せなかったんだろう
 今も、口にしていないが弟達が気になってしょうがないようだからな







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