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0281★カエスという名の魔植物のようです

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 翼を隠す意味で、頭からすっぽりとフードを被る白夜は、好奇心で御者台からあちこちを見ていた。

 神護も、流れる景色をなんとなく見ながら、じょじょにスピードを上げていく。

 馬達は朝食をもらえたことで、上機嫌で走りやすい速度まで上げて走っていた。

 ちなみに、リオウは最初顔だけ御者台の背もたれに出していたが、白夜の様子にひかれて、ズリズリと上半身を出して、背もたれに両手を掛けていた。

 いくら神護が強くて、安全だと理解わかっていても、やはり天敵?の虹色オオトカゲの出現は嫌だったが、やっぱり好奇心は抑えられなかったらしい。

 順調に、何事も無く進む馬車に、神護は思いついた疑問を白夜に聞く。

 「そう言えば、この馬車の車輪って
  何で出来ているんだろう?
  あまり振動を感じないんだが?」

 神護の疑問に、代わり映えしない景色に飽きてきていた白夜が答える。

 「あっ…ああ……それはですね
  ゴモの樹の蔓で出来ているんですよ

  私も 転生前に興味があって
  調べたことがあったので……

  とても弾力性のある太い蔓を魔法で
  円形になるように編むんですよ

  同じ太さのモノを探すのが
  けっこう大変だそうです」

 「ふ~ん…ゴモの樹の蔓ねぇ……
  ゴムみたいな弾力性があるセイで
  振動が少ないのかな?」

  ふむ、この異世界と
  俺が生れ育った世界は

  結構、似たようなモノが
  存在しているんだなぁ……

  あっ……だったら、砂漠なんだし……
  アレはあるのかなぁ?

 そんなコトを思いながら、神護は同種のにがぁ~いモノがあることも思い出す。

  確か、アレって
  スイカの原種って話しだったよなぁ

  名前は……コロシントウリだっけか?
  苦くて下剤効果があるとか…………

  まぁ…原種だけあって
  確かソレは、10センチ程度の
  小さいヤツだから…………

  見間違うことはないと思うけど
  ここは異世界だ、気をつけよう

  じゃなくて、どうせだったら
  マジでスイカないかなぁ~……

  いや、水には困ってないから
  そういう意味じゃ大丈夫だけど

  こうジリジリと暑いとなぁ……
  冷えたスイカが恋しくなるな……

 そんなことを考えながら、延々と走り続けた視線の先のかなり先に、街道から少し離れたところに、一際見事な緑のジュータンがあった。

 「白夜、あそこに緑色のジュータンが
  見えるんだけど

  アレは、お前にも見えるか?
  それとも、俺だけが見えている
  幻覚かなんかか?」

 神護に指差された方向を見た白夜は、とぉ~っても嫌そうな表情になる。
 その表情に気付いた神護は、小首を傾げて聞く。

 「とうした?」

 「見えますが アレはダメです 父上
  さっさと 馬車をいったん止めて

  何頭か綱を放して 先行で走らせて
  アレに馬が喰われている間に
  一気に驀進するか

  街道の反対側に降りて
  少し離れた場所を

  ゆっくりと振動を立てないように
  そぉ~っと通過するしかないです」

 白夜の緊迫した様子に、先頭馬が耳を神経質にパタパタさせて、神護を振り返った。

 その動作から、危険なモノと判断して、神護は馬達の負担にならないようにゆっくりと停止する合図を送る。

 勿論、神護の指示を受け、先頭の馬が大きく嘶くと、後ろの馬達にもそれが伝わったらしく、嘶きが返って来る。

 「そうか、アレは幻覚じゃないんだな
  そして、かなりキケンなモノなんだな

  俺は馬達を犠牲にするつもりはない
  無理に驀進しなくても良いからな

  必要なら、ここから街道から降りて
  静かに進んでも良いが

  アレはいったい何なんだ? 白夜」

 神護は、小首を傾げながら、かなり近くなった緑のジュータンを見詰める。
 白夜はその問い掛けに、その知識が神護に無いことを知る。

 〔私が持っている知識の全てを
  あの時 譲渡したつもりでしたが………

  結構 知識が欠けているようですね
  じゃなくて さっさと説明しないと……〕

 「アレは カエスって呼ばれる魔植物で
  ああやって 緑のジュータンを作って
  獲物が来るのを待つんだけど…………」

 「けど?」

 「たぶん 推測ですが………
  獲物が獲られない場合の為なのか?

  食肉植物の魔植物カエスは
  地下茎を広範囲に伸ばしているんです

  下から獲物が通るのを待ち構えていて
  獲物が出す振動に反応して 襲うんです

  あれだけ広範囲に大きいと
  たぶん 反対側にも同じぐらい

  地下茎を伸ばしている可能性があります

  だから 大抵の砂漠の移動者は
  馬を数頭犠牲にして

  その間に 地下茎から伸びる
  複数の触手を掻い潜って

  無理矢理通過するんです」









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