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0261★お風呂の準備はできました

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 神護の言葉に、白夜は嬉しそうに頷く。

 「はい 父上」

 今まで、神護に守られる一方だったので、ちょっと、いやかなり哀しかった白夜は、自分が役に立つことがあることに喜びを感じていた。
 そう、自分という存在が、ただ神護に守られるだけのお荷物じゃなく、少し成長して、役に立つ存在になったということを実感し、嬉しそうに笑う。

 そして、白夜はいそいそと飼葉の用意をし始める………が。

 「白夜、どうせ馬車ン中で馬達の飼い葉の用意をするんだから……
  人目もねぇーから、それ脱いでもイイぞ………重いだろ……
  できるだけ、身体と翼の負担は無くしておいた方がイイからな」

 そう言って、神護は白夜に纏わせた、マントと肩布を外してやる。
 2枚脱いだ白夜は、身体が軽くなったこともあって、いそいそと6頭分の飼い葉桶を用意し、飼い葉を入れ始める。

 背中のまだ小さい翼を嬉しそうにパタパタさせながら、嬉しそうに馬達の飼葉桶に飼葉を分ける姿に、神護はクスクスと無意識に笑う。

 やっぱ、翼を隠す為の重い布を外し、人目を気にせずに動けるのは
 そうとう、嬉しいようだな

 美里みさと街に行って見て、街ン中の様子とか確認して
 大丈夫そうだったら、翼に布を掛けるのはやめよう
 そうとう、白夜の負担になっているようだからな 
 
 嬉しそうに馬の世話をしている白夜の様子を確認してから、神護は1番前の生活用の馬車に着替えを取りに戻る。
 馬達は、ご飯まだかなぁ?…っと、いう顔で、前後の馬車を出入りする神護をじぃーっと見ていた。

 当然、後ろの2台の馬車に繋がれていた馬達もである。
 それに気付いた神護は、着替えとバスタオルもどきを運び終えてから、後ろの2台の馬車の後部馬車の外枠を引っ張り出して、馬達を入れられるように床板を並べた。

 ついでに、馬達用の飼葉桶と水桶を、壁にある輪っこへと設置し、飼葉と水を入れる。

 ふむ、白夜が入れていた程度で良いんだろう

 後ろの2台の馬車の3番目の馬を入れる馬車の中に、それらを設置した神護は、たったと白夜のいる1台目の馬車の中へと戻った。
 ちなみに、リオウはというと、白夜の側にべったりといたりする。

 1台目の3番目の馬車に戻った神護は、さっそく白夜に水浴びさせることにした。
 水浴びといっても、実際には、温水である。

 馬達用の飲み水として用意してあった水樽の水は、神護が思っていたよりも冷たくなかった。
 神護は、いそいそと馬達の大きな飲み水桶を水樽の側に用意し、低レベルの火炎系の呪文で、鉄の棒を熱して水樽の中に浸ける。

 それだけで、水樽の水は身体を洗うのに手頃な暖かいお湯へと変化する。
 ちなみに、その鉄の棒は外部から侵入されないように内側から嵌めるかんぬきに使われるモノだったりする。 

 「よし、良い温度になったな、コレぐらいがちょうど良いよな」

 水樽に手を入れて温度を確認した神護は、白夜を呼ぶ。

 「白夜、風呂だぞ、それ、脱がせてやるからこい」

 「はぁ~い 父上 お風呂ですか?」

 こんな砂漠のド真ん中でお風呂なんて なんて贅沢なんだろうか
 いや 父上ぐらい《力》があれば気にならないんでしょうねぇ………

 私としては 嬉しいだけですけどね
 父上と一緒におふろぉ~

 そんなコトを考えつつも、お風呂は嬉しいので、白夜はいそいそと神護の前に立つのだった。










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