上 下
252 / 328

0252★少し周りを見る余裕が出たかな?

しおりを挟む


 俺達が乗る馬車の馬達も、後ろの2台の馬車の馬達も
 本当に、よぉ~く訓練されているよなぁ

 お陰で、俺が細かい指示しなくても、一定速度で走ってくれる
 さっきもそうだったけど………素直なイイ子達だよなぁ
 いや、あの旅商人・アデルから良い買い物したよなぁ~………

 う~ん…そろそろ白夜のことも気になるし………少しくらいの間なら
 御者台に俺が居なくても、このまま目的地に向かって走ってくれそうだし

 本当に、訓練済みなだけあって扱いやすい良い馬達だよなぁ~
 後で、きちんと血統書もあったようだから、名前の確認して
 ちゃんと呼んでやらないとな

 どんな生き物だって、名前を呼んで可愛がってもらいたいものだからな

 ああそうだ、彩湖さいこ王国の東の端にある美里みさと街に
 あのアデルって商人の親類縁者が居るとか言ってたよな

 そこで、色々と新しい物を購入しよう
 扱っている物の品質が良いだろうし………

 そんなことを考えながら、いい加減、延々と何の変哲もないサバンナ風景を見ながら街道を走ることに飽きた神護は、再び馬車の中に入ったのだった。
 御者台からの、出入り口に入ると………。

 その出入り口の部分は、履物やマントなどを置く棚が設置されていた。
 先刻入った時は、そこまで意識が回らずスルーしたモノだった。

 そして、よくよく見ると、その棚の間には、堅い樹で作られた遮蔽板が入っていた。
 勿論、強化魔法が施された板である。

 それは、野盗などに襲われた時、馬車内部に容易く侵入されないようにという、防衛の意味合いのモノで、いざという時は、ソコから引き出して閉めるのだ。

 普通の引き戸の後ろに、強化魔法で補強された遮蔽板で閉められるようになっているのだ。

 だから、その遮蔽板より、出入り口は少し狭くなっていたりする。
 いや、テプテプの商人が通れるぐらいなので、神護クラスの体型だと2人どころか、3人は優に通れる広さである。

 当然、身体の大きなリオウもすんなり通れるほどだ。
 だから、よほどの大柄な者でも無い限り、出入りは不自由しない造りになっていた。

 この世界の住人からみれば、小柄な神護には、なんのことはない広さである。
 神護は、緊急時ではないので、出入り口に設置されている棚に、履物を脱いで置く。
 ただ、少しだけ、神護はこの履物が苦手だった。

 なぜなら、この世界の履物は、足にぴったりとフィットさせる為に、革紐を膝まで編み上げているだ。
 神護は、それが少し煩わしかった。

 何度も行ったり来たりしている間に、何時の間にか足のクツが変わっていたことに気付いたのは、数日前だったりする。
 それまでは、たしかに履き慣れたカジュアルなシューズだったのだが………。

 剣と魔法のファンタジー世界らしいここでは、それが一番戦闘に適した姿であるということは、与えられた知識と、実際の経験で知っていた。
 だから、神護は横着することなく、きちんと履物を履いているのだ。

 少し窮屈な感じのする履物の編み上げた革紐を解き、下駄箱となっている棚の一部にしまった神護は、足触りの良い絨毯に目を細める。

 本当に、あのアデルって名乗ったテプテプコロコロした体型だけあったな
 ブチハイエナ獣人の旅商人は、本当に良い物を入れておいてくれたようだ

 ん~…っと……やっぱり、もっとしっかりとした明かりが欲しいかな?
 流石に、見えるコトは見えるけどちょっとつらいな

 白夜をベットに寝かせに入った時も、その後の白夜のが急成長した時も
 慌てていたんで、クツを脱がずに出入りしてしまったな
 まぁ…もっとも、どうせずっとサバンナや礫砂漠を歩いてたからな

 せいぜいが砂やホコリ汚れ程度のセイか、あまり気にならなかったな
 これが湿ったところ歩いたドロ足だったらちょっと気になったけど

 お陰で、出入り口の棚の存在に気付く余裕が無かったからぜ
 馬車ン中に入るんだから、クツを脱ぐって思考もなかったし……









しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。

朱本来未
ファンタジー
 魔術師の大家であるレッドグレイヴ家に生を受けたヒイロは、15歳を迎えて受けた成人の儀で盗賊の天職を授けられた。  天職が王家からの心象が悪い盗賊になってしまったヒイロは、廃嫡されてレッドグレイヴ領からの追放されることとなった。  ヒイロは以前から魔術師以外の天職に可能性を感じていたこともあり、追放処分を抵抗することなく受け入れ、レッドグレイヴ領から出奔するのだった。

異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~

ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ 以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ 唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活 かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし

私の愛した召喚獣

Azanasi
ファンタジー
アルメニア王国の貴族は召喚獣を従者として使うのがしきたりだった。 15歳になると召喚に必要な召喚球をもらい、召喚獣を召喚するアメリアの召喚した召喚獣はフェンリルだった。 実はそのフェンリルは現代社会で勤務中に死亡した久志と言う人間だった、久志は女神の指令を受けてアメリアの召喚獣へとさせられたのだった。 腐敗した世界を正しき方向に導けるのかはたまた破滅目と導くのか世界のカウントダウンは静かに始まるのだった。 ※途中で方針転換してしまいタイトルと内容がちょっと合わなく成りつつありますがここまで来てタイトルを変えるのも何ですので、?と思われるかも知れませんがご了承下さい。 注)4章以前の文書に誤字&脱字が多数散見している模様です、現在、修正中ですので今暫くご容赦下さい。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……

踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです (カクヨム、小説家になろうでも公開中です)

とある中年男性の転生冒険記

うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。

処理中です...