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0226★ブチハイエナ獣人の商人が現われました
しおりを挟むある程度を巾着袋に放り込み、キャラバン隊からこちらが視認できる距離になる頃には、ただ肉を分けて、薄切りにして干す作業へと変える。
ちなみに、キャラバン隊が肉の量を不審がらないように、調節して巾着袋にしまっていたのは言うまでもない。
その旅商人の大キャラバン隊は、遠目にも判る、大物の獲物を解体している神護の姿を見かけ、旅専用の街道から降りて、一目散に駆け寄って来たらしい。
ちなみに、少しづつだが馬車の形や御者台に乗る風体が違っていた。
1番最初に目に付いたのは、やはりブチハイエナの耳を持つ獣人だった。
その左側に、耳がひときわ大きい、どう見てもリカオン獣人の集団が居た。
そして、反対側の右側には、見るからに鋭くいかつい感じの、狼の獣人のグループが居た。
この世界に呼ばれてから、神護は《転移》チートかと疑いたくなるほど視力や聴力が良くなっていたので、遠目でも見極めが付き、声もかなり拾えていたのは確かな事実だった。
そんな中、神護が獲った獲物を買い取ろうと、走ってきた商人グループの馬車隊は少し離れた位置で停車した。
そして、ブチハイエナの獣人と判る、小太りの男が馬車から飛び出し、伴走させていた馬に飛び乗って、神護達の方に突進して来た。
左右の狼獣人やリカオン獣人も、それに続いて神護の方に走り寄って来る。
最初に到着したブチハイエナ獣人の男は、馬から下りて、息切れの汗だくで、神護に訴えるのだった。
「ゼェ~……はぁー…はぁー……ダッ…ダンナァ~…
そ…その…にじ…い…ろ…オオトカゲの…肉を…あっしに…
売ってくれませんかぁ~………
言い値で……買い取りますから………ハァ…ハァ……
珍しい…虹色オオトカゲ………それも…伝説級の…肉なんて
……ハァハァ………欲しいって……望んだからといって……
虹色オオトカゲの肉なんて、そうそう手に入りませんから…ね」
ほとんど、飛び込んで来るような勢いで来た商人らしい小太りの男を見て、神護はしみじみと思う。
はぁ~…白夜にマントを被せておいてマジで良かったなぁ………
つーか、遠目でそうかなぁ? と思ったけど
やっぱりブチハイエナの獣人なんだな
耳も髪もまだら模様で、もふもふしたいって姿じゃねぇ~な
ちょっと襟足から短いタテガミがあるけど、尻尾は短めだし………
じゃなくって、やっぱり虹色オオトカゲの肉が目的か
神護はそんなことを考えながら、自分に向かって、ゼイゼイしながらも、精一杯ニコニコと笑って言う商人をまじまじと見詰める。
見事に、コロコロテプテプとした、いかにもやり手らしい体型の商人を………。
ふむ、確かこういう場合は……ギスギスのガリガリの商人よりも
コロコロでテプテプの商人の方が安全だったよなぁ……たぶん
その体型が、私、手広くイイ商売してますって証明の筈だしな
ふむ、虹色オオトカゲの肉と引き換えに馬と馬車を譲ってもらうかな?
最低限必要な、生活必需品も欲しいしなぁ……
馬も馬車も無い状態をどう説明するかなぁ?
あっ…そうだ……でっけぇー…虫に襲われたことにしちまえばイイか
少しだけど、そういう知識もあるんだし……さてどう言おうか?
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