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0119★気付かなかった孵化の前兆4 古《いにしえ》の女神の神殿へ

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 周囲を《索敵》する為に双眸を閉じていた神護は、知覚される限り敵らしいモノが無いコトを感じて、安堵の溜め息をそっと吐き出す。
 そして、閉じていた双眸を開き、神護は剣帯と剣の確認をする。

 どこで、コレが必要になるか判らないからな
 用心はしておいた方がイイのは確かだ

 剣の存在を確認し、軽く剣を抜いて振ってみる。

 うん…ちっと重く感じるけど……振れないほどじゃない
 これなら、いざという時に使えそうだな……あとは………

 そう思いながら、神護は肩に背負う布袋を降ろして中身を確認する。

 この辺なんか、今は使わないモンだから………

 と、神護は左腕の腕輪の中に、余分なモノをポイポイと放り込む。

 とっさの時を考えると、中身は軽いほどイイからな
 これでヨシ………と、んじゃホタルを呼び出すか………

 左腕に嵌めたインベントリを兼ねたソレの中に潜むホタルへ、神護は呼びかける。

 「ホタル 《召喚》」

 神護の呼び出しに、ホタルは嬉しそうに出現する。

 『はい マスター お呼びですか………』

 「ホタル、ネズミーランドのイベントの時に言ってた
  飛翔族があがめる、女神サー・ラー・フローリアンの
  神殿に向かおうと思うけど……道案内頼めるか?」
 
 『はい マスター とは 言っても 卵が心配で
  しばらく動いておりませんでしたので…………』

 現世の時同様、ハヤブサ程度の大きさで、神護の肩に止まったホタルは少しうなだれる。
 自分が役に立つか不安を覚えているらしいホタルに、神護はくすっと笑う。

 「そこまで、過剰な期待をしてるわけじゃないから
  もし、道に迷ったら頼むな…とりあえず、進むから」

 そう言って、神護はザクザクと歩き始める。

 途中で、野生動物に何度か遭遇したが、比較的穏やかなタイプの草食動物と、小型の雑食動物に出会った程度だった。

 歩くこと、神護の体感で5時間くらいで、小さく開けた場所に出た。

 「はぁ~……あの地図だと……この周辺だよな」

 休憩も取らずに、歩き続けた神護は、辺りを見回し、危険なモノを感じなかったので、手直に有った大きな岩と呼んでいいような巨石に登って座る。
 少し高い位置に座ったお陰で、休みながら周辺を観察できるのだ。

 「ホタル、ちょっと…その辺の探索を頼めるか?
  この周辺に…飛翔族があがめる…いにしえの女神の神殿だっけ………
  このすぐ近くにると……思うんだよなぁ…………」

 神護の言葉に、ホタルは頷く。

 『はい マスター たぶん近くだと思いますので
  神殿と その入り口を見つけてまいります』

 そう言って、ホタルは周辺を確認する為に、スゥーと神護の肩から飛びたった。
 神護は、ホタルの姿を見送り、少し前から徐々にじんわりと暖かさを増してきている巾着袋を、胸元から引っ張り出す。

 神護の手のひらくらいしかない巾着袋は、あきらかに内側から発光していた。









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