絶滅危惧種のパパになりました………～保護して繁殖しようと思います～

0082★アンデット飛竜は語る８ もしかしてインベントリ？

　そう言いながら、神護は腕輪をためつすがめつしてから、腕に通してみる。

　んーとぉ……手首だと……あっ…ダメだ…
　手首は、ゆるゆるでスカスカするから………
　これは…二の腕かな？　あっ……ぴったり………

　ためしに、左の上腕部、二の腕部分に嵌めてみる。

　『デハ　ホタル　ト　オ呼ビクダサイ
　　主ヨ　我ガ〈ドラゴン・ソウル〉ガ嵌マリシ
　　ソノ腕輪ヲ　卵達ニ翳かざシテクダサイ』

　神護は、ホタルに言われた通りに、嵌めた腕輪を抜いて、卵達へとかざす。
　と、すぅーと１２個の卵達が、消える。

　「えっ？」

　もしかして、この腕輪に吸い込まれた？
　コレってラノベのインベントリ？
　アレと同じ役割が出来るのか？

　つーか、卵って生き物だろう
　コレに入れて良いモノなのか？

　つーか、ホタルが言うんだから
　たぶん大丈夫なんだろうな

　困惑する神護に、ホタルは続けて言う。

　『我ガ　躯モ　翳かざシテクダサイ
　　我ガ身ハ　スベテ　薬トシテ
　　使用デキマス』

　神護は、言われた通りに、ホタルの本体にも翳かざす。
　と、卵達の時と同様に、綺麗に腕輪に吸い込まれてしまう。

　そして、そこは、最初から何も無いカラの巣だけが鎮座ちんざしていた。

　これで、終わったのかな？
　くすっ………この腕輪って…………

　まるで、あの水色のタヌキ…もとい
　猫型ロボットのポケットみたいだな………

　神護は、そんなことを考えながら、左の上腕部分へと嵌めなおす。

　『主ヨ　我ガ　知識ノスベテヲ
　　貴方ニ………』

　そう言って、ホタルはスゥーと神護へと浸透する。

　えっ……ちょっとまてぇぇぇぇ………
　既に、許容いっぱいのいっぱいの俺に
　それ……マズイってぇぇぇぇ………

　そう、思ったときには、再び知識酔いへと沈む神護であった。

　どこかホッとしながら、かなりの後悔と共に…………。


　そして、現実世界に帰った神護は、今まで通りの生活へ戻るのだった。

　ただし、異世界とのかかわりが、更に深くなったので、日常的に不可解なことが多発するようになったのは言うまでもない。