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0050★《封印》されし神殿とビャクヤ5 罠を張る

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 2人は同時に動いた。

 そう、ビャクヤが登る香焔樹かえんじゅの近くの大樹へと登る為に、描かれたサークルの内側へと踏み込んだのだ。

 それを確認したビャクヤは、樹上へと向かうのを止め、手を滑らせたふりをして、落下する。

 そして、全部を釣る為に、あえて変化の術を解き、飛翔族の姿へと変わる。

 ふわりと、地上へ足から降りたビャクヤは、男達の喜色の気配を感じて嗤う。

 ……くくっ……かかったなっ…………

 次々と自分から落下し、飛翔族の皇子を捕らえようと、鎖やら縄やらを手に駆け寄る男達に、ビャクヤは嫣然えんぜんわらった。

 地上に降りたビャクヤは、すぐさまバサッと翼を広げた。
 飛ぶ為ではない、大規模なサークルの術を発動させる為だ。

 ビャクヤが翼を広げて、わらった瞬間、血で描かれたサークルが輝きだす。

 『《封印》の地におわす
  忘れ去られし者達よ

  今 ひととき 私に《力》を
  大地を傷つけずに

  穢れし者達を滅する
  《力》をお貸しください

  地母神サー・ラー・メイリアン様

  冥府の女神サー・ラー・レイリアン様

  始祖 女神サー・ラー・フローリアン様

  3柱の女神よ 聞き届けたまえ  灰燼かいじん 』

 大地を傷つけたくないビャクヤは、女神達に、そうねがって、祈願成就の《ちから》を同時に放つ。

 そう、12人の男達全てが、ビャクヤを捕らえようとした、まさにその瞬間の発動に、誰一人その灰燼かいじんのサークルから逃れることは出来なかった。

 キラキラとした輝きを放ちながら、禁術の灰燼かいじんを放ったことで、自分の翼が崩れ落ちる覚悟をしていたビャクヤは、静かに双眸を閉じて、その時を待った。

 捕獲者達は、あっという間に、消失したが…………。

 ビャクヤに、大規模な禁術を使用したことによる、罰は訪れなかった。

 そして、この《封印》の地にも、傷ひとつ付いていなかった。
 そう、戦闘の痕跡こんせきなど、なにひとつ残っていなかったのだ。

 私のしたことは 許されたのか?
 戸惑いはあるが………

 今は 許されているなら
 《封印》されし神殿へ

 この私を襲って 手を焼かせたのだ
 こので じかに確認せねば

 ビャクヤは、すぐさま古地図に記された、女神の神殿へと向かった。








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