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0025★ビャクヤの隠れ家処分 1軒目でちょっと休憩

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 ビャクヤは、ぶどう酒の封を開け、杯になみなみと注ぐ。
 芳醇な香りに、ここしばらくの緊張を癒され、無意識にほぉ~っと息を吐く。
 そのまま、コクコクとぶどう酒を飲み干してしまう。

 水も食料もとらずに動き回っていたので、その癒しは大きい。

 「できるなら…… このぶどう酒は
  ゆっくりと味わっていたかったが………」

 そう呟いたビャクヤは、杯をテーブルに置く。
 そして、長期保存がきくようにしてあるパンのようなモノと、肉や野菜を乾燥させたモノを、ビャクヤは横着してそのまま食べる。

 食物を摂取するのは、肉体の維持をする為の食事であって、今のビャクヤには、その味を楽しむという感覚は無いのだ。

 とにもかくにも この家の中の
 私の《魔力波》が染み付いている私物は

 全部処分して 次にさっさと行かねばな

 ふむ どうせ次の隠れ家も
 処分するのだから…………

 向こうでゆっくり飲む為の
 ぶどう酒は持って行くか

 黙々と、1回分と用意した保存食を食べ、楽しみの為に用意しておいた、ぶどう酒を水のかわりにカパカパとあおる。

 別の隠れ家には、酒の類いは用意していなかったのだ。
 が、この街では美味しいぶどう酒が手に入るので、ビャクヤは結構買い込んでいたのだ。

 ぶどう酒の杯をテーブルに置き、ビャクヤはとりあえず、この隠れ家にある自分の《魔力波》が染み付いたモノを石畳の床へと置く。

 この隠れ家には ぶどう酒以外のモノはかなり私物が少なく、ほんの半日程度で全部集められた。
 その集められたモノを見て…………。

 「くっくくくく………そうだったな
  ここは この街のぶどう酒を
  楽しみに来る為の基点だった」

 そのコトを思い出し、つい先日までの平和を懐かしむ。

 ……だが その平和な日々は
 茶羽根一族ちゃばねいちぞくの裏切りで………

 国王ジャアハード・ムハーリ・ハーリィア黒き鼠の王
 あの男の おぞまい野望の為に…… クッ……

 苦々しい重いと、失ったモノの大きさに、ビャクヤは唇を噛み締める。

 いや 私は こんなところで
 立ち止まるわけにはいかない

 私には 飛翔族の皇太子として
 真の故郷へたどり着き

 飛翔一族の者達を護る義務と
 なによりも…………

 あの薄汚い 穢れし者達から
 弟達や妹姫を護らねば

 それに 私には かの《力》を
 この身に秘めた者として責務がある

 意識が暗いほうへと陥るのを無理矢理そこから引き剥がし、ビャクヤはそこに集めたモノを、やはり《小結界》を張って灰燼かいじんとした。
 ただし、ぶどう酒だけは残して…………。
 そう、ビャクヤはとぉ~っても、ここのぶどう酒に未練があったのだ。








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