絶滅危惧種のパパになりました………～保護して繁殖しようと思います～

0012★天の門を開く対価は………

　ただ一人残った鳳皇ほうおうラー・シン・ビャクレイは、静かに微笑う。

　「これで、良い
　　我が翼を落とし

　　女神サー・ラー・フローリアン様に
　　奉ささげ祈いのろう
　　門を潜くぐる彼等の無事を願おう」

　その言葉が終わると同時に、隠し扉が、音も無く開き、美しい女達が、絹擦きぬずれの音と共に現れる。

　「では、私が、皇子達の無事を…………」

　「ならば、私は
　　戦いに赴おもむいた者達の無事を…………」

　「私は、民達が、無事
　　天の門にたどり着くように…………」

　麗しい女達は、引退した鳳皇ほうおうの后きさきラー・ムン達だった。

　その言葉と共に、お互いの翼を切り落としていく。

　鳳皇ほうおうラー・シン・ビャクレイは、微笑む己おのが后きさきに、背を向ける。

　「貴方、共に、逝きましょう」

　「そうだな…………共に」

　鳳皇ほうおうラー・シン・ビャクレイの翼は、最愛の后きさきラー・ムン・セイカに切り落とされた。

　「貴方の作戦が、成功しますように…………」

　后きさきラー・ムン・セイカの言葉が終わると鳳皇ほうおうラー・シン・ビャクレイが、静かに翼を切り落とした。

　すべての言葉が唱えられると、最後の祈りの言葉を唱和する

　『我等の始祖たる女神
　　偉大なる最高神
　　サー・ラー・フローリアン様

　　我等の翼と命の焔ほむらを捧げます
　　どうか飛翔族に加護を』

　その部屋に居た者達は、祈りの言葉を唱えると短剣を自ら胸に刺し、全て息絶えたのだった。

　そして、ほんの瞬きの間に、その場で自害して者達の躯はキラキラと輝き、風など吹いていないのに、サラサラと空中に流れ…………。
　静かに、何処へともなく消え行く。

　その部屋には、始めからなにもなかったように、静寂だけが降り立った。