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0011★天の門・真の故郷へ 後編
しおりを挟むこの場に居ない弟を心配し、うなだれるグレンの頭を、ビャクヤは優しく撫でながら言う。
「大丈夫だ、グレン
シレイにも、優秀な部下はついている
なに、あやつとて、第三皇子なのだぞ
あまり心配すると、また、むくれるぞ
あの子はきかん気だからな
私達は、父上の命令通り
侵入者達を出来るだけ魔術で惑わし
王家の姫達や子供達
民達を1人でも多く
逃がす時間を稼ぐんだ
いくぞ、グレン」
「はい、兄上」
兄弟のやりとりを微笑ましく見ていた鳳皇ラー・シン・ビャクレイは、落ち着いた口調で言う。
「今は、私と引退した
先代の王や大神官達が
幻影にて、あやつらの進行を
惑わせているが………
軍隊が通れぬように
建物などを破壊することを許可する
その《力》で、進路を妨げよ」
「はい
では、しばしの時間を…………」
そう言って、ビャクヤは決意と決別を胸に、静かに礼をとる。
もちろん、グレンも同じように礼をとる。
当然、飛翔族を守る、武を司る者達も同じように礼をとる。
鳳皇ラー・シン・ビャクレイは、これが別れとなるコトを隠し、力強い口調で命令する。
「行け」
鳳皇ラー・シン・ビャクレイの命令と共に、それぞれが動き出す。
「さぁー……急げっ………全ての民を………
この地に住まう動物を連れて
天の門を潜るのだ」
「はっ、仰せのままに」
「行け」
そうして、戦う《力》を有する者が、全て鳳皇ラー・シン・ビャクレイの前から消え去ったのだった。
残った大神官長も、鳳皇ラー・シン・ビャクレイに、一礼すると神官達を連れて出て行った。
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