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131★敵キャラ登場?10 爽やかバルドと黒い微笑みのヴァルキューレ
しおりを挟む自分が、周りにどう思われていたかを知ったからといって、和也の性格が変わるわけでもなく‥‥ぐるぐると‥思考してしまう。
だいたい‥既に、滅びた国でしょう‥‥
それなのに‥‥皇帝って‥‥はぁ~‥‥‥
やっぱり‥この服装‥意味があるんですね‥‥‥
コスプレって‥有名なキャラのマネですよね‥‥‥
皇帝とか‥皇太子のコスプレを‥‥あぁ‥恥ずかしい‥
ボクってば‥‥知らないから‥‥していたんですね‥‥
もう‥‥こうなったら‥‥もったいない‥は封印して‥
コレは、2度と着ないようにします
「‥‥‥‥」
憮然とした表情の和也に、バルドは清々しい笑顔でトドメを刺す。
「今日 皇帝どのと 我は会った このコトは
全ての妖魔 悪魔 魔族達に 映像付きで流れるし
そこの 精霊達や ヴァルキューレ達と
《契約》した時点で 精霊界や神界に
その情報は流れている筈だが?
現世だとて 皇帝どのと出会った
飛竜騎士達によって 情報は流れているぞ」
バルドの丁寧な説明に、和也は項垂れる。
いりません‥‥そんな親切‥‥‥
ボクに‥‥現実を突きつけるなんて‥‥
ほんとぉ~に‥‥妖魔ですよね‥‥
「‥‥‥‥」
「では 皇帝どの また 会おう」
ドナドナになっている和也を置き去りにして、妖魔なのに爽やかな笑顔を浮かべたバルドは笑いながら去っていった。
後に残ったのは、呆然と空中に浮いている和也だった。
和也が、立ち直るまで精霊達が待っていたのは確かなコトだった。
こうして、貴重な情報をくれた迷惑な妖魔バルドと和也の出会いは終わった。
なお、和也の中では、アンデッドモンスター達に襲われたコトは、綺麗さっぱりと記憶から消去されていた。
あまりにも、簡単に処理?出来た為に‥‥‥‥。
それよりも‥強烈に印象に残ったのは‥赤髪の妖魔バルドだった。
爽やかな?妖魔バルドからもらった情報を考えて、グルグルする和也に銀嶺が声をかける。
「ますたー‥ラ・ロシェールに‥もう少しで
着きますが‥どうしますか?」
銀嶺の問い掛けに、当初の目的を思い出した和也は、嫌な情報(ラ・アルカディアンの皇帝?と呼ばれたコト)を記憶から削除(現実逃避)した。
そして、銀嶺のもとに戻り、すとっと鞍に座った。
和也の行動で、銀嶺は空中停止(ホバリング?)をやめて、翼を動かした。
気疲れした和也は、その時、命綱の類いを一切つけなかった。
それに対して、銀嶺も精霊達も何も言わなかった。
もちろん、ヴァルキューレ達も黙っていた。
和也が、飛竜に乗り、空を飛ぶことに慣れたと判断したから‥‥‥‥。
もともと空中浮遊?の魔法を使えるし、ラ・ロシェール付近に降りる予定だったので、飛竜から堕ちても怪我をしないと判断したからだった。
銀嶺に乗って少し飛び、ラ・ロシェールを遠目に見た時、やっと和也は周りを見る余裕が生まれ‥‥‥‥。
そして、まだ、一緒にいるバイコーンペガサスやユニコーンペガサスに乗ったヴァルキューレ達を見て、心の底から後悔した。
ボクって‥‥どうしようもない‥‥馬鹿ですね
あ~んなに‥バルドに言われたのに‥‥まだ‥‥
多大な誤解のもとになる‥ヴァルキューレ様達と
一緒にいるなんて‥‥アホウとしか言えませんね‥‥
ここは、お礼を言って、お別れした方がイイですね‥
どこに、人目があるか判りませんから‥‥‥
でも、お礼に何を渡したらイインでしょうか?
ここは≪命の焔石≫と《魔石》のどちらか‥‥‥‥
欲しい方を、受け取ってもらいましょう‥‥
【黒の剣】も返品しなければ‥‥‥
とりあえず、ここは《いちの戦乙女》様に
声をかけましょう
打開策?を考えた和也は、隣りを飛んでいる≪いちの戦乙女≫に声をかける。
「あのぉ~≪いちの戦乙女≫様、この【黒の剣】を
お返ししたいんですが?
それと‥お礼に≪命の焔石≫と《魔石》を‥‥」
和也の問い掛けに≪いちの戦乙女≫は、にこやかに笑って答える。
「では、《魔石》を幾つかもらいたい‥‥それと‥
【黒の剣】は‥こっちに放り投げてくれればイイ」
「‥?‥?‥?‥」
えっとぉ~‥‥【黒の剣】を‥投げろって‥‥
ボクの聞き間違いでしょうか?
でも、《いちの戦乙女》様は、イイ笑顔を
ボクに向けて、手を伸ばしています
これは、ボクが、放り投げたら、すかさず
受け取る構えですね‥‥
確か《封印》する程の《力》ある剣でしたよね
【黒の剣】って‥‥‥‥
たぶん神器と思われる【黒の剣】に対して、あまりにぞんざいな扱いを奨励するので、和也は一瞬固まってしまう。
マジメな和也に、《いちの戦乙女》はくすくす笑う。
「翼竜をその身に宿す少年よ さっきも言ったが
【黒の剣】は 今 君を主として
安定しているから大丈夫だ
それに 【黒の剣】は 君と我々ヴァルキューレ
我が母 冥府の女神以外は扱えないから 大丈夫だ」
あまりにも、なんでもないことのように言うヴァルキューレの《いちの戦乙女》に、和也は肩を落として、言ってみるのだった。
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