112 / 173
109★幸と不幸を決めるのは?1
しおりを挟む2人はエドワードに服装の持つ意味を、教えてもらったときのことを鮮やかに思い出す。
大広間に掲げられていた大きな色鮮やかな絵を指差して、エドワードが言う。
『綺麗な絵だろう』
綺麗な皇子達の姿に、幼いながらも女の子のエリカは、ほぅーっと息を吐き出し、うっとりとした表情で言う。
『これが、ラ・アルカディアンの飛竜騎士なんですね』
姉の反応に対して、幼くても男の子なので、エルリックは綺麗な顔をしていても男に興味は無いので、中心にいる皇帝と思われる男の衣装に疑問を持つ。
『白の軍服?』
それに対して、エドワードは笑って答える。
『ラ・アルカディアンの皇帝は
全身を白と金で飾るんだよ』
エドワードの答えに、エルリックは疑問を深める。
『飛竜騎士は、戦う者なのに?
神官の衣装と同じ色?
神官達でも、仕える神によって
肩布の色を変えるのに?
皇帝達は白だけって? 変なの』
エドワードは、笑顔を深めて答える。
『それはな‥皇帝は‥全ての精霊を従える者だから
‥もし、皇帝が戦うのなら‥精霊達の《力》を使い
戦場に居る敵軍を全て一瞬で滅ぼすコトが出来るからなんだよ
‥皇帝や皇位継承権を持つ皇子達も‥‥
それに準じる《力》を有しているんだ‥‥
ラ・アルカディアンの飛竜騎士に敵う者は‥‥
人間には居なかった‥‥だから‥‥‥
戦う相手は居ないという‥意味で白を着ていたんだよ‥
神官は、従軍(治癒と連絡をする為)しても
戦いに参加しないのと一緒でね‥』
さらりとして、ソレでいて、良く考えるとかなり恐ろしいことをエドワードは、2人に教えた。
それに対して、エルリックは、更に疑問を口にする。
『そんなに《力》があったのに、なぜ?
流行り病などで、滅びたんでしょうか?
‥‥全ての病を治す‥‥水の精霊の薬とか
使わなかったんでしょうか?』
賢いエルリックに、エドワードは瞳をひそめて微笑む。
『それは、一年に3回しか使えないからさ‥‥‥
流行り病の種類は、七つ‥ちょっと考えれば‥‥‥
お前でも‥わかるだろう?』
考えるヒントを与えられたエルリックは、はっとした顔をする。
『‥‥あっ‥‥』
そんなエルリックの表情を見て、エドワードは軽く首をうんうんというように上下させて言う。
『だから、病におかされていない健康な皇子を
時空を超えた旅に出したのさ‥‥‥
それに‥‥従う‥飛竜騎士もな‥‥‥それを‥
ラ・アルカディアンの正統な子孫たる我等が‥
皇子を探しだし‥‥‥
新たなラ・アルカデイアン帝国を作るんだ‥
わかったな』
『はい』
在りし日の曽祖父エドワードを思い出し、2人は衣装の意味を知る。
私達は、皇子に仕える者になれると思うのだった。
衣装を見て去来する思いと感動に、言葉を無くして立ち尽くす2人に気が付いた和也が声をかける。
「2人とも、ぼんやりしてますね‥‥
とりあえず‥衣装合わせをして下さい‥
動き易さの有無と躯にあっているか? を‥‥
サイズが合わないとか‥動きに支障があるなら
言ってくださいね‥‥‥‥
チカ達になおさせますから‥‥‥
それと、自分の剣との相性を確認して下さい‥
特にエリカ‥君は‥男と違って力が無いから‥‥‥
剣の重さ、握りの部分とかもね‥‥
あと‥君達は、サークレットを付けなれてるかな?」
矢継ぎ早に和也に聞かれて姉弟は、はたから見てもわかるぐらい、ジタバタしていた。
和也に言われて、エリカは慌てて、衣装を手に取った‥‥‥‥。
なお、和也達が居る場所には大きな姿見が、設置されていた。
そこで、エリカは、胸の前に上着を持って、鏡に映る自分を見てみた。
これなら、着てみて確認してもイイわね
きっと、ぴったりだと思う‥‥
でも‥黒地に金の刺繍と鎖って‥‥‥‥
私が着てもイイのかしら
でも、マントの裏地が‥‥白? ‥‥
そういえば、あの絵には、黒の制服を着た人も居た
アレはどういう意味なのかしら‥‥‥‥
でも、そんなコトは、後でもイイわ
エリカは、黒の上着を握ったまま、鏡の前で考える。
その後ろには、同じく黒の上着を持ったエルリックが‥‥‥。
なお、エルリックは、生まれたときから、弟だったので『待て』が出来るのだ。
幼い男の子にとって、姉は決して逆らってはいけない相手だったから‥‥‥‥。
エルリックは、エリカが鏡の前から居なくなると、同じように鏡に映った自分を確認する。
0
お気に入りに追加
363
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる