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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
173★とりあえず《気》の補充
しおりを挟む「……っ…あ…か…ず…き
寒い…の…ゾクゾクする
身体がガタガタと震える」
ようやく口をきけるようになった桜に、和輝はギュッと抱き締めてやる。
そうすると、落ち着くというコトを経験で知っているから、和輝は桜を宥めるように、もう大丈夫だと抱き締めるコトで教える。
桜は和輝に抱き締められ、その豊かな《生気》に包まれて、無意識にホッとする。
ふぁ~…あたたかい……
あ~んなに、全身が倦怠感に
蝕まれて寒かったのに………
とうしても、身体の震えが
止まらなかったのに………
和輝に抱き締められると
すごく落ち着く
寒いのも…怖いのも
スゥーっと消えていく
これは、私が一族の者に
変化しているセイなのか?
今、この屋敷には
生涯を誓った紅夜も
庇護者である白夜兄ぃ様も
居ないから………
血の近い同族が身近にいない
そのコトが、こんな寂しさを
呼ぶのかもしれない
なまじ、今朝紅夜が帰ってきて
ほんの半日とはいえ側に居たから
その孤独感が刺激されたのかも
今の私は、とても変だわ
雨に濡れた仔猫のようにブルブルと震える桜を宥めるように、和輝は何も言わずにただ抱き締めてやる。
う~ん…まずったなぁ
健常な者でも、あの距離は
かなりの疲労を味わうって
判っていたはずなのに………
《気》の補給で、一見すると
心身ともに全然問題ないように
見えるおかけで、その事実を
ついつい忘れちまう
だが、実際の桜の身体は
見た目よりもかなり衰弱
しているようだな
もう少し注意が必要だな
気をつけよう
桜の身体の震えが治まったのを確認してから、和輝は声をかける。
「桜、大丈夫か?
もう大丈夫なようなら
とりあえず軽い食事をしよう」
和輝にそう言われて、桜は顔を上げる。
ぅん……顔色は…オーケーだな
両目は…よし…こっちも大丈夫
極端に身体が疲労したりすると
危険信号として、瞳が真っ赤に
なるのかな?
これは…危険信号が誰にでも
判るような瞳に出る前に
出来るだけのケアをして
やるしかないな
何も知らない奴等に
こういう顕著な異変を
見られるのはマズイからな
特に変な宗教に凝ってる奴等や
自分達は神に選ばれた
聖なる戦士……だとかいう
はなはだしく、勘違いしている
危険な奴等の目にとまらないよう
注意しないとな
ああいう奴等は、マジで
手に負えないからな
自分達は、絶対に正しいと
思い込んで、その行動を
ひとカケラも疑いもしない
ああいう奴等は、残酷なコトを
何の感慨も無く平気でするから
とにかく、あんな変質者達に
目を付けられないように
行動しないとな
また、ああいうおかしな輩に
絡まれるのは、流石に面倒だ
排除するにしたって、今回は
きっと膨大な時間とお金が
かかるだろうからな
過去のうざったい経緯を思い出し、匂わない・目立たないを心がけ、地味に生きようとこころから改めて誓う。
が、いくら和輝が地味に生きようと思っても、どうしたって和輝は目立ってしまうのだ。
和輝は、桜の双眸が真紅色から、普段の穏やかな色合いに戻っているコトを再度確認し、ちょっとホッとする。
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